アニメ『フランダースの犬』50周年!ベルギーでは人気がない!?

50周年『フランダースの犬』OP曲「ランランラ~」のあとの歌詞の意味は? 

知って観ると面白いトリビア

OPは弾むような明るい曲だけど物語は超悲劇

1975年1月にスタートした、名作アニメ『フランダースの犬』(フジテレビ系 全52話)が50周年を迎えました。

再放送やネット、動画などで観た人も多いでしょう。

ところでみなさんは、あのOP曲の冒頭(※サビでもある)を歌えますか?

「♪ランランラ~ランランラ~、ジング、ジング、なんちゃらかんちゃら」と、耳コピではなかなか難しかったはずです。

この「外国語はどんな意味か」は、ご存じでしょうか。

物語の内容に通じる深い意味でもあるのか、と興味もわく部分です。

この歌詞は、ベルギーで話されるオランダ語(フラマン語)で「LaLaLa……Zingen Zingen Kleine Vlinders」。

カタカナ表記にすると「ラララ……ズインゲ ズインゲ クライネ ヴリンダーズ」となります。

これを翻訳すると

「ラララ……歌え 歌え 小さな蝶々」です。

確かにアニメの映像では、「ネロ」「アロア」「パトラッシュ」の頭上を、黄色い蝶々がたくさん飛んでいます。

つまり、歌詞と映像はリンクしていたのです。

ちなみに、この主題歌シングル『よあけのみち』は、1975年のオリコン「TVマンガ・童謡部門」において年間チャート1位を獲得しています。

さて、この『フランダースの犬』は、かなりトリビアが多い作品としても知られています。

いくつかご紹介しましょう。

舞台のベルギーの人びと、『フランダースの犬』を知らない説、むしろ嫌い説

原作はイギリスの女性作家ウィーダ氏が1871年に発行した児童小説で、彼女が実際に旅行で訪れたベルギー北部のフランダース地方、アントワープに近い村が舞台だとされています。

アニメの最終回にネロとパトラッシュが天国へ駆けて行く「ノートルダム大聖堂」が実際にあり、ピーテル・パウル・ルーベンスの絵も飾られています。

ただ、イギリスの短編小説なので、この地域のほとんどの人は本の存在を知りませんでした。

日本でアニメが放送された1975年以降、ベルギーに問い合わせが増えたことで小説の存在を知った人が多く、またアニメが世界各国で放送された影響もあって、モデル地の一部は観光地化されていきます。

しかし、物語が「少年が村人に冷たくされ、最後は死んでしまう」という内容のため、イメージ的に地元の人からはあまり好かれていないそうです。

アニメと原作の違い

原作は短編の児童小説で、アニメは悲劇的でかわいそうな主人公という物語の大筋は変えずに、オリジナルのエピソードを追加しています。

設定も、視聴ターゲットとなる子供の年齢に合わせて変更していました。

ざっと挙げると……。

・アニメの主人公「ネロ・ダース」の年齢は8歳ですが、原作は15歳(名前はニコラス・ダース)。アニメのアロアは7歳ですが、原作は12歳でした。

・原作は年齢がやや高いためふたりの恋愛感情も多少描かれていますが、アニメでもアロアの父(バース・コゼツ)がネロを毛嫌いしたのは、原作のネロが貧乏なくせにイケメンだったので、思春期の娘との関係を良く思わなかったからです。

・パトラッシュは、アニメでは、ネロが8歳のときに金物屋でこき使われていた老犬を「ジェハンじいさん」が金銭で引き取り、じいさんはその1年後、ともに天国へ旅立ちます。原作では、ネロが2歳頃に金物屋に捨てられた老犬を拾い、それから15歳時まで一緒に暮らしたことになります。

・ジェハンじいさんは、アニメでは第44話で亡くなります。80歳以上でしたが、数か月前まで元気に働いていました。原作では、84歳のときリウマチで歩けなくなっています。そのため、6歳のネロがパトラッシュと牛乳運びの仕事を始めました。

・ネロがコンクールに提出した絵は、アニメでは「おじいさんとパトラッシュ」の絵ですが、原作では「木こりの絵」です。

・アニメの最終回では、大聖堂でネロとパトラッシュが力尽き、天使たちに導かれて天国へ召されるというラストシーンで終わります。原作では、翌日、ネロがパトラッシュを強く抱きしめたまま亡くなっていて引き離せないため、村人たちがそのままふたりを埋葬するというラストで終わっていました。

何を言いたい作品だったのか

同じことを言う人が大勢いる部分ですが、「児童書『フランダースの犬』を通して、作者は何が言いたかったのか?」、これが謎として残ります。

とにかく、この物語には「救い」がありません。

ただの不幸で終わるのです。

貧しいながらも真面目で誠実な少年が、家族を失い、放火犯の濡れ衣を着せられて仕事も家も失い、最後に賭けた絵のコンクールにも落選して夢もついえ、不幸の連鎖の末に路頭に迷います。

その後、知らないところで絵の才能を認められ希望の光が射し、さらに放火の誤解も解けたにも関わらず、少年は死んでしまうのです。

「福祉施設の充実を訴えている」
「困難に立ち向かう勇気を持つこと」
「純粋な心と人を思いやる心の大切さ」

などなど、作品にはこんなメッセージがあるという人もいます。

感じることは人ぞれぞれでしょうが、改めてあなたは『フランダースの犬』からどんな教訓を得ましたか。

ネットの声

「何年か前に子供と全話視聴しました、もちろん子供には結末を教えずに。(ネットで調べないように何度も念押ししときました)
最後のシーンでは大泣きしていましたね。普段あまり感情を表に出さない子なのでびっくりしましたが、優しい心を持った子に育っているのだと知ることができて安心したものです。」

「小さい頃は意識せずに歌っていましたが、文字で見てみると、オランダ語?とびっくり。(それにしてもドイツ語と似てますね)
ベルギーが舞台なのに?と思いましたが、調べてみるとアントワープでは、オランダ語が公用語みたいですね。
今回、調べてみて、いろんなことが分かり面白かったです。」

「大人になってから、原罪がテーマだと思った(少なくともアニメは)。罪なきネロ(キリスト)を疑い、蔑み、更なる逆境に追い込むコゼツやハンス、手を差し伸べず見て見ぬふりの村人達、アロアやお母さんは味方だけど無力…。ネロがどうすれば良かったのかというより、こういう子供が身近にいたら、あなたはどうしますか?と問うている気がする。
主題歌で「そらにつづく道を」と出てくるから、結末は最初から暗示していたと気づいたのも大人になってから。」


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