アルツハイマーは脳疾患ではない説?脳の免疫系障害かも
Anti-neuronal antibodies in neuredegenerative diseases and dementia. Conceptual 3D illustration showing an elderly person with highlighted brain and antibodies affecting neurons

「アルツハイマー病は脳疾患ではなく、脳内の免疫系障害なのではないか」との仮説が話題に…

アルツハイマー病は長年、脳疾患と考えられ、脳内で生成されるタンパク質の一種「アミロイドベータ」の凝集を抑制する治療法について研究されてきました。

結果が捏造された経緯も

2006年3月16日付の学術雑誌「ネイチャー」に掲載された「『アミロイドベータスター56(Aβ*56)』というオリゴマー種がアルツハイマー病に関連する認知障害に寄与している可能性がある」との研究論文は、アルツハイマー病の早期治療法の確立に向けた有望な成果として大いに注目されました。

しかし2022年7月、学術雑誌「サイエンス」で「この研究論文は画像操作され、結果が捏造されたおそれがある」と報じられています。

アルツハイマー病は脳内の免疫系障害?

アルツハイマーの新たな理論として、加クレンビル研究所の研究主幹ドナルド・ウィーバー博士らの研究チームは、2022年4月22日付の学術雑誌「アルツハイマー&ディメンシア:トランスレーショナルリサーチ&クリニカルインタベンションズ」で「アルツハイマー病は脳疾患ではなく、脳内の免疫系障害なのではないか」との仮説を明らかにしました。

免疫系は脳を含め、体内のあらゆる器官に存在する細胞や分子の集合体であり、損傷した組織の修復やウイルス、細菌などの侵入を防ぐ役割を担っています。

アミロイドベータは異常タンパク質であると考えられてきましたが、ウィーバー博士の仮説によれば、脳の免疫系の一部として正常に生成される分子で、脳が外傷を負ったり、脳内に細菌が侵入した際、脳の免疫応答に重要な役割を果たします。

アルツハイマー病の新たな治療法につながる

問題なのは、細菌の膜と脳細胞の膜を構成する脂質分子は極めてよく似ているため、アミロイドベータは細菌と脳細胞の区別がつかず、脳細胞を誤って攻撃してしまう点です。

これによって、脳細胞の機能が慢性的に低下し、最終的に認知症なってしまうのです。

脳の免疫系が本来防御すべき器官を誤って攻撃するとすれば、アルツハイマー病は自己免疫疾患だと考えられます。

ウィーバー博士は

「これまで自己免疫疾患の治療に使われてきた薬剤はアルツハイマー病には効かないかもしれないが、脳内の他の免疫調整の経路を標的とすることで、アルツハイマー病の新たな治療法につながるのではないか」

との見解を示しています。

ネットの声

「細菌やウイルス、異常タンパク質といった病原体が直接体に害を与えるだけでなく、それらに過剰反応して炎症を起こす免疫系が体を蝕むという話は最近ポツポツ聞きますね。病気の新しい仕組みが分かってきたということでしょうか。
免疫自体は必要なものですから、過剰な炎症をどう抑えるかもこれからの健康寿命を伸ばす医薬品開発の大きなテーマの一つになるのかな。」

「今のところはあくまでも仮説なのですか。
でもいろんな切り口からのアプローチが進んで、より多くの人たちが「元気に長生き」できるようになるといいね。
アルツハイマー克服も含めて、歳をとっても認知力が落ちない世界が来るならばすごく素晴らしい未来だと思うよ。」

「この世から認知症が無くなれば明るい。
母も認知症です。85歳で発症して今88歳です。そんなに重い認知症ではないけど料理も出来なくなりテレビを見て1日終わる。自力で歩くことも出来なくなりました。」



おすすめの記事