人生の晩年で「不幸になる人」の共通点

60代・70代から「不幸になる人」には、じつは“意外な共通点”があった…!

老いたら欲は捨てて、まわりに迷惑をかけないように、孫の面倒を見ながら穏やかに生きる……。

それが本当に、晩年の「正しい生き方」なのでしょうか。

精神科医で、著書『老人入門 いまさら聞けない必須知識20講』がある和田秀樹氏は、むしろ「老いてからの人生は、家族があきれるぐらい奔放なほうがいい」と断言。

老年医学の専門家でもある和田氏が、その真意を語りました。

「こういう年寄りになる」という気概を持つ

あなたがいま60代でも70代でも、老いはこれからです。

そのとき、自分がどういう年寄りになりたいのかということをぜひ考えてください。

「歳は取りたくない」とか「老いなんてそのときになってみなければわからない」という気持ちはあると思いますが、それは逃げですね。

どう言い繕ってみても、老いはやってきます。

いまがどんなに元気で若々しい人でも、いずれは老います。

どうせ老いるのなら「こういう年寄りになってやろう」という気概を持ってみましょう。

老いは誰にでも訪れますが、それを人間の抗えない流れと考えてしまうと、どうしても受け身になってしまいます。

「欲は捨てて、穏やかな日々を送ろう」とか、「孫の面倒を見て、若い人に愛される年寄りになろう」、「少しずつ身のまわりを整理して迷惑をかけないように人生を終えよう」……たとえばそういった考え方です。

いかにも模範的で成熟した人生観のように思えますが、少し達観し過ぎていないでしょうか。

あるいは取り繕ってはいないでしょうか。

もちろんそういった考え方が悪いとは言いません。

でも老いは自分自身の問題です。

一人ひとりが置かれた状況も違うし、個人差もあります。

それまでの人生が人それぞれだったように、老いてからの人生も一人ひとり違っていいはずです。

老いてからの人生はもっと奔放でいい

しかも老いれば自由になります。

少しぐらい身体の動きが不自由になっても、それまで背負ってきたたくさんのものから自由になるのですから、「こういう年寄りになろう」「こんな毎日を送ってみたい」と思えば、もっと奔放でもっとわがままなイメージをいくらでも描けるはずです。

「オレは家になんか居たくない、愛車に身のまわりのもの一切積み込んで旅から旅の人生を送りたい」

「孫の面倒なんてつまらない、自分の時間は自分の好きなこと、やりたいことだけやっていたい」

「まだまだオシャレだってしたいし、髪の毛も思い切り明るい色に染めてみたい。いままで我慢していたこと全部やってみたい」

たとえば老いてからの人生にこういった夢を描くのは少しも不自然ではないし、むしろもっと奔放な計画を立てることだって可能になってきます。

老いたらもう、それまで囚われてきた世間体だの体面だの、社会的な常識だのから自由になっていいはずだからです。

「結局はおじいちゃんは、わがまま一杯に生きたんだな」

「死ぬまでやりたいことができたんだから本人も満足だろう」

家族があきれるぐらいの晩年を送れるなら、年寄りとしては本望なはずです。

「思秋期」のうちにイメージを描く

私はかつて「思秋期」という言葉を使っていわゆる更年期の乗り切り方についての本を書いたことがあります。

思春期が「どんな大人になるか」を思い悩んだり考えたりする時期だとすれば、自分がどういう老人になってどんな人生を送っていくかを考えるのが思秋期ということになります。

難しいのはその時期です。

完全に老いてしまって脳の老化が進めば、意欲もときめきもなくなってきますから、静かな老いとか穏やかな暮らしといったイメージしか浮かんでこなくなります。

かといって若いころには老いはまだ実感できません。

そこで長寿の時代になった現代でしたら、60代から70代にかけての世代でも思秋期に当てはまるかもしれないと考えるようになりました。

この年代はかつてでしたら、十分に老いの最中ということになりますが、いまは違います。

何らかの形で仕事を続けている人はいくらでもいますし、意欲も旺盛で脳の老化もそれほど進んでいない人が多いからです。

つまり身体が元気で頭もしっかりしていて、それでいて自分の老いを実感できるという最適の世代が60~70代ということになります。

老いても挑戦できることはたくさんある

そういう世代の人でしたら、「こういう年寄りになりたい」という具体的なイメージがきっと描けると思います。

現役時代に仕事に追われてやり残したこと、世間体とか常識に縛られて手を出せなかったこと、あるいは失敗したときのダメージを考えて自重してきたこと、そういったものの中には「年寄りになってしまえばできるかな」と思える物事がきっといくつかあると思います。

老いてしまえば世間体からは自由です。

失敗したとしてもそれほどダメージはありません。時間ならいくらでもあります。

いままでの人生で制約となっていたものがすべて消えているのですから、それこそどんなに奔放なグランドデザインでも描けるはずです。

自分が好きな世界、やりだせば夢中になってしまうこと、憧れるだけでいままで諦めてきた世界の中に、きっと老いてからの人生で挑戦できるものがあるはずです。

それをそろそろ真っすぐに見つめてください。

見つめることで60~70代の人生に張り合いや意欲が生まれてきます。

感情も大いに若返るでしょう。

自分が高齢になることへの不安より希望のほうが膨らんでくるはずです。

ネットの声

「自由奔放と言うと、自由になったからと言って思い描くのは一人、もしくは夫婦で色んな所に旅行に行きたいとか考えますが他の人が言われている様に、お金の問題がどうしても出てきますよね。
でも、考え方でを少し変えると お金をあまりかけずに、色々楽しむ方法はあると思います。
私は現在、63歳で今はパートで継続勤務しておりますが現役の時代より少し時間の余裕が出てきました。
そこで以前からやりたかったギターの練習を始めました。
ギターなんか手にするのは40年ぶりですが、当時使っていた楽器を修理したら案外少額で済みました。
最初は、全然思う様に行きませんでしたが毎日10分でも5分でも楽器を触る様にしました 気長にかまえて練習していると そこそこ弾けるようになりました。
今後は、英会話の学習やデジカメで近くの風景や花や昆虫等の撮影をしたいとも考えています。
皆さん 色々楽しみましょうよ。」

「老い先短い人生ですから、他人に迷惑を掛けない範囲で自由にしたい。正論だと思います。但し、条件があって金銭的に余裕がある場合ですね。年金や不労所得があり生活のベースが確保されているなら大いに自由にするべきで、健康年齢限界までやりたい事をすれば良い。統計では65歳の年金世代で約50%の人が働き、70代でも約30%の人が生活の為に働いています。そういう人達にとってはこの記事は贅沢と映るでしょう。
私も還暦をとうに過ぎて何とか年金で生活していますが、自分らしい自由にする為にはアルバイトして軍資金を稼ぐ必要があります。妻からは健康年齢もあと少し、今のうちにやりたい事をしておいた方が良いと言われています。お互い様ですがこの記事は現在の60代70代の金銭的に余裕のある人には刺さると思いますが、今の40代50代が60代になった時に当てはまるか非常に疑問に思います。」

「60代70代で第二の人生を楽しめる人はどのくらいいるでしょうか。今は誰でも長生きリスクを考える時代であり、年金額と認知症は心配になると思います。なお老後の資金は現役時代に蓄え、引退後は今ある資産で生きていくしかありません。 若いうちは長期の分散投資が有効ですが、65歳以降は現実的ではありません。既に運用を終えている年齢であり、物欲も食欲も徐々に減りますから、通常の生活が送れるのであれば、何もしなくても節約出来るようになります。貧困であれば持ち家は最強です。修繕等も最低限で済み固定資産税も古家なら土地分だけですから、年金14万円でも生活できます。しかしながら高齢になれば伴侶との死別は避けられません。 その時、一人の年金で生活するのは困難になると思います。」

老人入門 いまさら聞けない必須知識20講 和田秀樹 (著) ワニブックス (2022/8/20) 990円

老いに対する正しい知識がないことで、 過度に不安になったり、老いが加速したり、 結果的に不幸な老い方をしている人が多くいます。

そこで本書では、老年医学の専門家による 「これだけは知っておかないともったいない」という 必須知識をわかりやすくまとめました。

「老いはゆっくりとしか進まない」
「筋肉は日常生活で維持できる」
「脳の機能は自由時間を楽しめば維持できる」
「認知症は過度に心配しなくていい」
「With病気という考え方で穏やかな老後を迎えられる」
「ほかの高齢者はどういう感情で生活を送っているのか?」
「老いは本来、幸せな時間」
「老いてからの人生はどんなに奔放でもいい」
など――。

年齢を重ねるたびに“どんどん楽に、幸せになっていく” 老い方の手引きをご紹介します!

老親をもつ世代にもおすすめです。

「①著者のアドバイスは健康面のみならず自由な老後の人生への指南書となっている。自由を楽しむ生き方が「好きなことをする」行動に繋がり、老化の防止と健康維持に効果を発揮するのだ。
②好きなことを見つけ、与えられた収入の範囲内で楽しむのである。散歩、読書、音楽鑑賞、楽器演奏、旅行、食べ歩き、書店巡り等自分のやりたいことをやれば良い。
③こう考えると、生きるのが楽しくなる。週刊誌には毎週のように、遺産相続や生命保険、健康診断、死後の備えをしきりに煽り立てる情報が氾濫しているが、振り回される必要はない。
本当に元気が出る本だ。
若い人にもお勧めの一冊だ。」

 

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