米海軍は対中優勢を喪失しつつあります。

30年前には中国海軍は取るに足らない存在でした。

正面戦力で337隻対6隻と圧倒していたのです。

しかし、その差は今では199隻対134隻まで縮まっています。

米国は艦隊戦力整備をなおざりにしてきたといっていいでしょう。

その間に中国は外洋艦隊建設に邁進したのです。

「米中海軍力はいずれ逆転する」とも予想されています。

この予想は正しいのでしょうか。

結論を先に言うと、中国海軍は米海軍を超えません。

逆に米海軍は巻き返し中国海軍に再び有利に立つからです。

以下、その理由を3つにわけて説明します。

中国建造数の鈍化

第1の理由は中国海軍力の成長鈍化。

中国海軍は軍艦の高価格化と老朽更新の2つの問題を抱えています。

そのため今後の成長は頭打ちとなるのは間違いありません。

まずは高価格化の問題があります。

軍艦の高級化により建造費も高騰するでしょう。

そのため従来どおりの数は新造できなくなるのは間違いありません。

最新の055型駆逐艦はそうなります。

排水量1万2000トン超と従来の6000トン級の2倍に増加。

しかもイージスに相当する中華神盾艦です。

そのセンサや武装も従来の神盾艦より充実しているのです。

この055型は大量建造できるでしょうか。

まずは無理です。

建造費は相当に高額化しています。

価格は従来神盾艦である052C/D型の少なくとも1.5倍から2倍となるでしょう。

在来艦の052B以前と比較すればまずは5倍。

そのため052C/D型のように40隻規模の建造は難しいといえます。

また、中国海軍は今後は老朽更新の問題にも直面します。

90年代以降に大量建造した外洋艦が大量退役するためです。

053H3型はすでにその時期にあるのです。

現代型、051B/C型、052/B型、キロ型も退役は遠くはないでしょう。

これも艦艇数増加を抑制する。軍艦を10隻建造しても10隻退役すれば差し引きゼロとなります。

そのような時期が来るのです。

つまり艦隊戦力増勢にはそれ以上を建造しなければなりません。

例えば15隻を作る必要があるのです。

そしてその場合でも純増5隻にしかならないということです。

海軍戦略の変化

第2は海軍戦略の変化です。

両国はマハン戦略とコーベット戦略を入れ替えます。

前者は制海権獲得の重視、後者は獲得した制海権利用の重視です。

中国はこれまでマハン戦略をとってきました。

中国周辺から米海軍を排除するのが目的で、中国が制海権を確保するというものです。

その目的のため海軍建設に努力してきました。

それが今後はコーベット戦略に転換するのです。

これは、制海権確保は一定の成果を収めたからです。

今後は制海権の活用、陸上への力の投射も重視されるようになるでしょう。

強襲揚陸艦の建造はその象徴です。

南シナ海で獲得した制海権を利用します。

そのための上陸戦機能整備ということです。

この戦略転換の結果、何が起きるでしょうか。

正面戦力の成長が鈍化します。

中国海軍は例示した強襲揚陸艦ほかに力を削がれるのです。

その分、空母、潜水艦、駆逐艦の建造数は減少するでしょう。

米国はこの逆となります。

コーベット戦略からマハン戦略に転換するのです。

これまで米海軍は制海権確保に自信を持っていました。

それは、世界一強の海軍だからです。

だからコーベット的な制海権の利用を重視していました。

制海権獲得への今以上の投資は無意味です。

それより陸上への力の投射が重要である…そう考えたためです。

しかし、中国海軍力の成長により状況は変わりました。

「中国海軍の成長により制海権確保は危うくなった」のです。

この問題意識によりマハン戦略への回帰が始められたのです。

それが現今の355隻海軍構想。

制海権確保のため潜水艦や駆逐艦の増強についに着手したのです。

米中海軍力の今後についてはこの戦略転換の影響も受けます。

コーベット戦略への転換により中国の軍艦建造数は今後減少するでしょう。

マハン戦略への回帰により米国の軍艦建造数は今後増加するからです。

分布式殺傷

第3がDL、分布式殺傷の導入です。

これは米海軍の正面戦力を短期間で増加させることになります。

また同時に中国旧式艦を戦力外にする効果も持つのです。

米海軍にはDL:ディストリビューテッド・リーサリティと称する構想があります。

これは戦闘用、非戦闘用を問わず全ての艦艇に各種の攻撃力を与える内容です。

漢訳では「分布式殺傷」とされます。

その適用範囲には揚陸艦や補給艦も含まれているのです。

そのような非交戦用の支援艦船にまで強力な武装を施します。

その結果、支援艦船を駆逐艦やフリゲートに準じた戦力にできるでしょう。

特に揚陸艦は攻撃にも使える準軍艦となります。

サン・アントニオ級に対艦ミサイルNSMを仮設搭載、対空ミサイルESSMを復活装備、さらに搭載機を輸送ヘリから哨戒ヘリに変えるのです。

それだけで中国054A型護衛艦に相当する水上戦力となります。

それによって対中海軍力比も改善させることになるのは必然です。。

まずは米海軍の正面戦力を増加させます。

仮にドック型揚陸艦の全数約20隻を軍艦兼用とするだけでも米正面戦力は1割増となるのです。

また中国旧式艦を戦力外に追いやることでしょう。

054型以前の中国軍艦はそうなります。

米揚陸艦に劣り米補給艦との戦いも怪しくなるからです。

ネットの反応

「かつて、軍拡(宇宙)での米国と競い、その経済的負担に耐えられないことがソ連が崩壊の原因の一つと、聞いたことがある。中国の軍拡は、米国との貿易黒字をベースとした経済力が原資となっていると思うが、今後米国の経済的締め付けで経済力が落ちたら、ものすごい人数の人民下方軍や近代兵器装備の経費が中国を圧迫して、崩壊するとの見方は無いのだろうか?」

「そもそも艦隊決戦が生じることはあるのだろうか。現状の艦隊は見世物的な示威活動でしか使われないと思う。中心をなす空母とその周辺を守る艦艇と潜水艦、そして軍事衛星や哨戒機らの連動運用は米軍以外にできる者はいないのだろう。中国の見様見真似の運用も基礎も運用もおのずとレベルは低い。ましてや空母搭載機は作戦機としては米軍に全く歯が立たないだろう。ただ艦艇数をそろえても現在の艦艇使用年数は短い、そして艦艇乗組員の確保養成はどこの国でも難題となっている。中国もかってのソ連の瓦解形態を想像してしまうのだが・・・」

「中国は日本以上に高齢化のスピードが速いと聞きます。今は新型艦をバンバン就役させてますが、20~30年経てば、定員割れを起こしてくるのではないでしょうか?(おかしな愛国心をあおって、新兵募集をかけまくるかもしれませんが。)」

練度と経験値が違います。現在もこれからも中国が米国を軍事力で超えることはないでしょう。

米国が衰退するとそれを追うかのように中国も衰退します。

米国もそうですし、中国の一人勝ちということもありえません。

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