バイクはなんといっても音にこだわりたい!

バイクはなんといっても音にこだわりたい!

バイクの排気音というと、どうして排ガスとか騒音といったネガティブな印象となってしまう。エクゾーストノートという言い方もかっこいいのだが一般的ではない。バイクには「鼓動」という言葉が一番しっくりくる

バイクの音の話

鼓動(排気音)はバイク好きには大きな魅力のひとつだろう。

しかし、バイクに無関係な人にとってはそうではない。特に幼児や病人、妊婦、老人にとって排気音などは騒音以外の何物でもないのだ。

バイクのマフラーは構造上、排気音がバイク乗りにはあまり聞こえない。そのため、歩道を歩いている人や沿道に住む人と、バイク乗りが聞いている音には温度差があるのだ。

バイクは音と共に走るのではなく、音を置き去りにする乗り物といっていい。これをはっきりと認識していないと、とんでもないことになる。

バイク乗りが満足できるほどの音を得ようとすれば、それは客観的に大きすぎる音となってしまう。本格派を自認するバイク乗りが、大きな音を立てるマフラーに交換している。

地響きを伴う排気音を鮮明に記憶している中高年のバイク乗りには、現代のバイクの音は静かすぎて物足りないかもしれない。

しかし、もう時代は違う…。バイクに大きな音が許されたのは過去の話だ。静かに走り抜けることがバイクライフの新しい基本といっていい。これは最近のことでなはく、もう何十年も前からそうなっているのだ。

バイクメーカーはパワーを落とさずに音を抑えるという、相反した条件を克服するために研究と努力を続けている。音を抑えつつ、音質の向上を図る技術にも力を注いでいるのだ。マフラーを交換することで、その努力を無駄にするのはもったいない。

バイクの種類は2系統

バイクはオフロード、スクランブラー、トライアルなど多様化・細分化を繰り返してきた。根本的にはスピードあるいは高性能を追求してきたといっていい。

スピードの追求とは、すなわちテクノロジーの競争でもある。テクノロジーの競争という一本道を各メーカーが先になったり、後になったりして突っ走ってきたのだ。

1980年代に入って道が2本に分かれる。

高出力とスピードの追求の一本道に対して、カタログの数値で表すことのできない別の道を歩むバイクが出現したのだ。

出てきたのは、ホンダGB250クラブマン、GB400/500、ホンダ・ブロスプロダクトⅠ・Ⅱ、ヤマハSRX400/600など…。


当時はテイスティバイクとも呼ばれた、その多くはシングルエンジン搭載バイクだ。

2系統に分かれたというよりも、高性能を追求するバイクと、古き良きバイクを追求するテクノロジーの進歩から置き去りにされたバイクの2つと考えていい。

テイスティバイクの登場は、バイク社会の成熟に伴ってスピード一辺倒の欲求から脱したものだ。それまでとは、違った視野を持つバイク乗りが増えたことを意味している。

それは、進化しないバイクといった意味合いが強いと思いがちだ。しかし、ときを同じくして、異端と言われたアメリカンタイプの人気が上昇したことも同様の理由と言える。いわゆるテイスティバイクとアメリカンバイクは人気のうえで二人三脚のような歩み方をしてきたのだ。

これらに搭載されたシングルやツインエンジンは形式こそ古典的といっていい。しかし、最新のテクノロジーが注ぎ込まれていて、当然4発エンジンに駆逐される以前のそれとは、まったくもって似て非なるエンジンなのだ。

これらのバイクを語る際、振動に代わって鼓動という表現が盛んに用いられはじめた。

ビッグシングル!ヤマハSRとホンダCB400SS

現代にも続くヤマハSRはこの流れの先駆と言える。1978年に登場した時点においても、時代遅れのメカニズムとスタイルのバイクだった。SRは一度排ガス規制をクリアできずに生産中止となったが、すぐに復活しいまだに生産されている。

時代が(バイク乗り)がSRを必要としているのだ。SRのシングルエンジンにはセルモーターがなく、キックのみの始動方式というまさに古典的なメカニズムとなっている。

車体構成もシンプルで、これが長寿の秘訣なのだろう。基本設計が同一のままこれだけ長く生産されているものは、バイクに限らず日本のあらゆる工業製品の中でもSRとスーパーカブくらいしか思い浮かばない。

SRの登場から20年後、1998年にはホンダから同様のコンセプトとなるCL400が登場した。シングルOHCでエンジンの始動形式はSR同様キックのみだった。

70年代半ばまでホンダはCBと共通のエンジンとフレームを持つCLを作っていた。CBはロードモデル、CLはスクランブラーという味付けだ。復活したCL400はCBベースではなく、輸出用オフロード・モデルのXRのエンジンを搭載していた。

しかし、どうしたわけか3年で廃盤(製造中止)。

良くも悪くもホンダは売れないバイクは長く作らない…。

スタイリングが悪かったのか、CLの後に発売されたのが同じエンジンを持つCB400SSだ。見た目はライバルのSRに近く、さらにスタイリッシュだった。

キックしかないのもSRを意識したものかもしれない。ホンダのシングルの中では良く売れた。

しかし、利用者に迎合するかのように、すぐにセルモーターとキックの併用に移行し、そして間もなく生産中止となった。

古き良きバイクに群がったバイク乗りも、古き良きバイクに触れて、飽きれば次のバイクに移行する。

CB400SSは売れただけに、中古市場にたくさん出ている。現在でも入手はそれほど難しくはない。


バイク初心者には値段も手頃で入門用にもってこいだ。

シングルの鼓動

SRやCB400SSに代表されるビッグシングル。

魅力はシンプルな構造による軽量&スリムそしてコンパクトな車体だ。

当然のことながら、シングルエンジンはピストンが1つしかない。軽いので取り回しや低速時の扱いなど、余計な神経を使う必要がない。初心者にもとっつきやすいバイクだ。

そして何よりも鼓動が心地良い。ピストンが1つなので、シングルエンジンでは一回一回の爆発がはっきりと感じられる。そのため、マルチシリンダーのバイクにはない、身震いや音を楽しむことができる。

しかし、スピードはそれほど出ないので、軽く流すことでバイクと会話する類いのバイクだ。

もっとも、SRやCB400SSはビッグシングルなので、街中では余裕でクルマの流れをリードできる。

軽いが故に使い切れる適度なパワーと、シングル故の明確な鼓動…。スロットルを開けると手首の動きと唸るトラクション感覚がシンクロしていて、リアタイヤが路面をつかむ感覚をよりリアルに感じることができる。

バイクの鼓動を感じながら自由自在に操る喜びを感じたいならビッグシングルが絶対におすすめだ。

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