一体なぜ?
原付一種モデルの現行ラインナップが減少している理由
普通自動車免許を取得すると運転免許が付帯するなど、原付一種は手軽で便利な交通手段として、長年親しまれてきました。
しかし、一般社団法人「日本自動車工業会」が公開している情報によると、原付一種の販売台数は減少の一途を辿っています。
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値段・需要・ライバル…さまざまな要因で減少する原付一種
例えば、1980年には原付一種の販売台数は197万8426台でしたが、2020年では12万2416台となり、その数はピーク時の10%以下。
それに対して、原付二種を同じ年で比較すると、1980年は20万238台、2020年では10万1737台と、数は減っているものの、ピーク時の50%ほどの販売台数を維持しています。
加えて、原付二種の販売台数は2000年から2022年8月現在まで、およそ横ばいの10万台をキープしていますが、原付一種は年々その台数を減らしているのが現状です。
年々、現行車ラインナップが減少している原付一種モデル
また、原付一種は販売台数だけでなく保有台数も減少傾向にあり、前述の日本自動車工業会のデータによると、1985年には約1460万台を超えていた原付一種ですが、2020年では485万台となっています。
一方の原付二種は1985年には約171万台保有されていましたが、その後一時的に減ったものの、2020年には181万を超えており、2016年から2020年の間でも、少しずつ台数を増やしています。
さらに、国内メーカーも原付一種のラインナップを減らす方向に動いています。
2017年、ホンダは原付一種で知名度のある「モンキー」や「エイプ50」、「ディオ」、スズキは「バーディー」の生産を終了。
原付一種モデルの現行ラインナップは、ヤマハとスズキが共にわずか3車種、ホンダは商業モデルを含めても8種類しかありません。
しかし、原付二種の現行ラインナップは、ヤマハで5車種、スズキで3車種、ホンダは13車種を揃えるなど、ニューモデルやリニューアルが年々追加されています。
では、なぜ原付一種の数は減少傾向にあるのでしょうか。
バイクの排気量を50cc単位で(ハン)と呼ぶようになったのって80年前後なのかなあ
石井いさみ先生の「750ライダー」が爽やか路線になったときには順平が「ゼロハンライダー」と自称していた記憶があり、池沢さとし先生の「街道レーサーGO」でもRZ350は「サンパン」読みだった
GS650G刀もロクハン読み— ジョー・ヨースケ (@xiR6q2AqumjtTjm) August 27, 2022
日本独自の規格
原付一種の現行ラインナップが減る原因のひとつに、排ガス規制があります。
排気ガス規制をクリアするためには、メーカーは多大なコストをかけないといけません。
当然ではありますが、コストをかけると、それだけ販売価格を上げる必要があります。
しかし、そうなると原付一種の「安価な移動手段」という最大のアドバンテージが無くなってしまうのです。
また、排ガス規制をクリアするために大きな触媒を搭載すると、エンジン出力が落ちることも要因のひとつ。
多少の出力低下であれば問題ではありませんが、排気量が50ccしかない原付一種では、走行性能に著しい影響が出ることは想像に難くないでしょう。
そもそも、排気量50ccというクラス自体が日本独自のものであり、海外では125ccや150ccが小排気量モデルとして普及しています。
そのため、国内メーカーは原付一種よりも、世界的にも需要がある125ccや150ccクラスの開発に資金を投入する流れになっていることも要因といえるでしょう。
さらに、原付一種のライバルとして登場した、電動アシスト付き自転車の存在も大きいでしょう。
最近の電動アシスト付き自転車は、値段も原付一種より手頃な傾向にあるだけでなく、原付一種と同じぐらいの行動範囲を可能とするモデルが多いことが特徴。
なにより自転車なので、軽自動車税の支払いや自賠責保険への加入義務がありません。
駐輪場を探しやすいというメリットも、大きなアドバンテージになっています。
これらを考慮すると、片道10km以内の距離であれば、原付一種よりも電動アシスト付き自転車のほうが使い勝手が良いというのも事実です。
ホンダ創立50周年記念を飾ったのは
400ccでも750ccでもなく
50ccの小さな原動機付自転車でした。
DOHC単気筒エンジン。
ホンダはそのバイクに夢を乗せ
「ドリーム50」と名付けました。 pic.twitter.com/cOKYB8aBmA
— おいたん。 (@New_Oitan) August 19, 2022
50cc市場はこれからも縮小する
また、仮に排ガス規制をクリアできたとしても、商品としての魅力が損なわれてしまえば、買い手は減ります。
縮小を続ける国内市場よりも、右肩上がりで伸びているアジア市場に目を向け、125ccや150ccを開発するほうがメーカーとしてもメリットが大きいことも理由です。
例えば、インドの自動車工業会が発表した統計によれば、2021年度のインド国内の二輪車販売台数は1346万台を超えており、日本国内よりも市場規模が桁違いに大きいのがわかります。
また、インド国内や東南アジアなどでも、主に売れるのは125ccと150ccクラスのバイクで、EUでも125ccは小排気量クラスとして定着しており、ベスパを筆頭に一部のバイクメーカーでは、専ら125ccクラスのモデルを開発、販売していることも大きいでしょう。
これらを踏まえても、原付一種は今後も販売台数、保有台数ともに減少していくことが考えられます。
もちろん、原付一種のバイクが完全に無くなることはないかもしれませんが、以前ほど見かけなくなるのは明白です。
5年前に50ccのスクーターに乗ってた時はグローブなんてしてなかったのに、
今はグローブがないと怖くてバイクに乗れない
不思議。— こうちゃん (@pickman_xsr700) August 27, 2022
ネットの声
「法定速度が半分(30km/h差)ってのが危険。守って走ってれば速度差が大きすぎて、車に合わせたら免停レベルの違反になる。他車から見ても追い越しが違反になる相手として遅すぎる。
こんなに違う物が同じルールで同じ場所を走るのが間違い。免許取得にハードル(実技試験)を課して小型自動二輪なみの制限速度で一人乗り限定、二段階右折廃止にするべき。そして筆記だけで乗れる免許を残すのであれば、電動チャリ程度のものにして、他車は追い越し可とするべきだと思う。
既得権である現在普通自動車のオマケでもらった免許まで上記のルールにすると危険だが、昭和中期の小型自動車に現在の大型二輪が付いてきていたことを考えれば、講習会などを頻繁に行うことで乗り切れるかな。」「50cc原付の免許は、自動二輪に統合する方向をそろそろ打ち出した方が良いと思います。
今年4月に免許不要、ヘルメットも努力義務に緩和した「特定小型原付」制度を定める道交法改正がなされ、2024年までに施行されることとなりました。
時速20kmしか出せない電動車、という制限は付きますが、これが普及し始めれば、免許の必要な今の原付は絶滅に向かうと思います。
特定小型原付の交通ルールは、歩道通行禁止である点以外は、ほぼ自転車と同じ。
原付のルールは、一部二段階右折のようなややこしいルールがあるので、この機会に原付ルールを廃止してしまえば、ルールがシンプルになるメリットもあります。」「50cc原付(一種)は30kが最大のネック。しかし車の数が少ない郊外や田舎・山間部では非常に重宝するアイテムと思う。
電動キックボート・アシスト自転車・50原付 これらが全てEV車のように自宅充電&長距離可能になったら便利かつ利用目的も変わるかもと想像
そこで壁になるのが法制度。アシストじゃなく連続走行できる自転車は電動バイク認定?になり、免許制度の話になるのかな?
車社会の代替え手段として電動○○など小型移動手段は有意義と思うが、日本を含めてアジア全般は道が狭くて人口が多いので、専用道路など棲み分けが難しい。法整備する人(政治家)は身近な都市部の状況を基に制定しがち。」