
燃料を燃やすことで動力が生まれる不思議…バイクのエンジンの原理と種類、さらには成り立ちなどを大解説!
エンジンの原理
バイクのエンジンは、燃料であるガソリンを燃やすことで動力を得る。詳しく言うと、ガソリンと空気を混ぜたものに火をつけて燃やし、燃焼するガスが熱で膨張する力を利用するものだ。
エンジンは、ガソリンから「熱エネルギー」を得て、動力となる「機械的なエネルギー」を取り出すメカニズムなのだ。
このように熱エネルギーを機械的なエネルギーに変える、つまり「熱から動力を得る装置」のことを一般に「熱機関」と呼んでいる。
熱機関にも2通りあり、「内燃機関」と「外燃機関」に分けることができる。このふたつは燃料の燃やし方によって区別している。
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バイクのエンジンのように、燃料を内部に閉じ込めて燃焼させるのが内燃機関。燃料そのものが燃焼ガスとなって力を生み出す。小型軽量で効率よく「仕事」に変えることができるのだが、燃える燃料が限られるというデメリットがある。
これに対して、燃料を外で燃やして、内部の気体に熱を与えて「仕事」をさせるものが外燃機関だ。例えば、石炭などを燃やして、水蒸気の膨張する力を使う蒸気機関などがこれにあたる。
外燃機関の欠点は、小型軽量化が難しいことだ。気体、液体、固体などさまざまな燃料を使えるのがメリットで、特殊なものでは原子力も外燃機関の仲間に数えることができる。
蒸気機関のバイクなどは不可能なように思えるが、19世紀には蒸気機関を積んだバイク(らしきもの)が作られている。ただし、当時すでに実用レベルに達していた蒸気自動車と違って、蒸気バイクが普及するまでには至らなかった。
大きく重い蒸気機関はバイクに積むには問題が多く、当初から内燃機関であるエンジンを積むようになったのだ。
エンジンの種類
エンジンは内燃機関の仲間だが、内燃機関といっても種類はさまざまでさらに細かく分類される。バイクのエンジンはどうなのかというと、内燃機関の中の「レシプロエンジン」に分類される。
レシプロという名称は「往復運動」を意味する英単語「reciprocating(レシプロケーティング)」に由来し、ピストンが往復運動することからそう呼ばれるようになった。
ちなみに「ロータリーエンジン」はピストンの代わりに、ローターを使って回転運動を直接取り出す仕組みだ。ロータリーエンジンはレシプロエンジンとは呼ばない独立した内燃機関のエンジンと考えていい。
レシプロエンジンは、そこからさらに「ガソリンエンジン」と「ディーゼルエンジン」に分けられる。ガソリンエンジンは、10分の1程度に圧縮した混合気に点火プラグで着火し、燃焼させる火花点火式エンジンで、燃料がガソリンのため、ガソリンエンジンと呼んでいる。
ガソリンエンジンはさらに「4ストローク」と「2ストローク」に分類、現在では4ストエンジンが大半を占めている。
2ストエンジンにもさまざまなメリットがあるので、小排気量のエンジンに長く使われてきたが、燃料の消費が大きく環境対応が難しく、現在ではごく一部で使われているにすぎない。
ディーゼルエンジンは、空気だけを20分の1程度にまで強く圧縮し、そこに燃料である軽油を噴射して燃焼させるエンジンだ。強く圧縮された空気は600℃ほどにもなり、この熱で燃料に火が付くことから「自己着火エンジン」とも呼ばれている。
ガソリンエンジンよりも効率はいいが、サイズが大きく重くなることが多く、振動も多いことから、バイクとの相性はよくない。
「技術者というのは、可能性があれば何にでも挑戦する」との言葉通り、かつてバイクでもロータリーエンジンやディーゼルエンジンが試された。しかし、普及するまでには至らなかったのだ。
トラックやバスに使われるディーゼルエンジンはともかく、振動が少なく高回転までスムーズに回る特性を持つロータリーエンジンはスポーツカーに使われていることを考えても、バイク向きのような気がするが、ガソリンエンジンに勝ることはできなかった。
過去に唯一、ロータリーエンジンを搭載した量産バイクがある。1974年に発売されたスズキRE-5だ。これも輸出専用だったので日本では未発売となっている。
エンジンの成り立ち
エンジンとは、燃料が持っている化学エネルギーを熱エネルギーに変え、さらに熱エネルギーから機械エネルギーに変えるものだ。つまり、エネルギーの変換を行うメカニズムといえる。
最も気筒数の多いバイクのエンジンは48気筒で、カワサキKH250の3気筒エンジンを16個つなげたもので、イギリスでは公道走行可らしいです。#バイクの日 #ギネス世界記録 pic.twitter.com/Kbu1MEAKnM
— ギネス世界記録【公式】 (@GWRJapan) August 19, 2019
化学エネルギーを熱エネルギーに変えるために燃料を燃焼させ、熱エネルギーを機械エネルギーに変えるために「燃焼するときの圧力でピストンを動かして動力を取り出す」というわけだ。
燃料を燃焼させるのは、主にエンジンの上半分であるシリンダーやピストンを中心としたメカニズムの仕事だ。ここでは、燃料をシリンダーに供給し、シリンダー内で燃焼させ、燃え残ったガスを外に排出するといった働きを担う。
燃料をエンジンに供給するのは、キャブレーターやフューエルインジェクションといった吸気システムの役目だ。これで、燃料を空気と混ぜ合わせて混合気を作り、シリンダー内に送り込む。
シリンダーに入った混合気はピストンで圧縮された後、着火されて燃焼、膨張し、ピストンを強く押し下げる。そして、燃え残りは排気ガスとなってシリンダーの外に出るのだが、この排気ガスをスムーズに引き出し、騒音や有害物質を抑えるのがマフラーの役目で、これを排気システムと呼ぶ。
「燃焼するエンジンから動力を取り出す」働きは、主にエンジンの下部分、ピストン、クランクシャフト、それらを繋ぐコンロッド(コネクティングロッド)の役目だ。
燃焼の圧力でピストンが押し下げられる力は、コンロッドを通してクランクシャフトに伝えられる。このとき、ピストンの直線運動は、クランクシャフトで回転運動へ変わり、エンジンの動力となるのだ。
人間の仕組みとエンジンは似ている
「燃料を燃焼させてエネルギーを得、燃え残りのガスを排出する」というエンジンの原理は、人などの動物が食物からエネルギーを得る原理と似ている。燃料からエネルギーを得るのがエンジンで、養分からエネルギーを得るのが動物と、表現は違っても中身は同じだ。
どちらも有機物と酸素の酸化反応でエネルギーを取り出している。
従って、エネルギーを得ることで二酸化炭素を排出するのも同じで、これは蒸気機関にもあてはまる。
大きく違うのは、人間の場合は、食物は米や小麦など再生可能は作物に多く頼っているということだ。