
バイクツーリングでの写真は必須だ。SNSにアップして「今ここにいるよ」と発信して、コメントを書いてもらうのが楽しい。1人であって1人でないことが実感できるのだ。
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「アウトライダー」というツーリング誌があった
「アウトライダー」という月刊誌があった。日本で唯一のメジャーなツーリング専門誌だった。
掲載される写真が実に美しく、そのどれもがバイク乗りの気持ちにフィットしているので、ページをめくっているうちに旅に出たくなってしまう。
アウトライダーも2002年に発行を停止…発行元を変えながら季刊誌や隔月発行など、紆余曲折を受けて現在は定期発行を休止状態。
現在は不定期発行に向けて準備中ということだ。
バイク乗りにとってのバイブル的なツーリング誌だっただけに、再開を望む声は多い。
なにしろ、プロ顔負けの一般ライダーの投稿写真には目を見張るものがあった。
バイクに乗りはじめて、今まで出会えなかったような人と景色と美味しい食べ物に出会えたかなと思っています‼︎ pic.twitter.com/H82S4Qwzad
— ヤマハ バイク (@yamaha_bike) August 15, 2019
現在はスマホで、いくらでも写真が撮影し放題となった。
それでも、基本的な撮影方法はフィルムカメラとそれほど変わらないらしい。
ツーリング写真を撮ってみる
初歩的なツーリング写真の撮り方というのはどういったものだろう。
「良いツーリング写真を撮るには勇気がいる」
これは、多くのバイク乗りに共通した言葉だ。
それは、「停まる勇気・戻る勇気・切り捨てる勇気」だという。
停まる勇気とは良い景色だと思ったところでバイクを停めることをいう。
戻る勇気もこれに似ているが、通り過ぎた場所まで写真を撮るために戻ることをいう。
多くの場合、撮影ポイントというのは、走っていて気持ちの良い場所にある。
だから、つい停まるのをためらってしまう。
写真と走りとどちらを優先させるのか…それはひとそれぞれだ。
あのとき戻ってさえいれば…と、後ろ髪をひかれることが多い。
それでいて、戻ってみたら、思ったほどの景色ではなかったという経験も少なくない。
それでも、戻らずに後悔するよりも戻って確かめたほうがいい。
「切り捨てる勇気」というのは、撮影する対象を絞り込むことだ。
山と空が両方素晴らしかったら、両方を一枚に収めたいと思いがちだ。
しかし、たいていはうまくいかない。
だからこそ、山なら山、空なら空というように、山か空のどちらかを切り捨てる。
一見、難しいようだが、要するに2枚とれば簡単に解決する。
1枚は山にポイントを絞り、もう1枚は空にポイントを絞ればいい。
撮影ノウハウ
撮影のノウハウを箇条書きに書いてみる。
スマホカメラもいいが、デジタル一眼レフなどを対象にしている。
もちろんスマホカメラでもあてはまるところは多い。
○単焦点カメラ
ツーリング写真には単焦点カメラが向いている。
なぜなら、ズームの付いたカメラはレンズが暗く、望遠側で撮影するときにシャッタースピードが遅くなるためブレやすい。
○ズームに頼らない
ズーム付きは一見便利そうだが、構図を決めるときはズームに頼らないで自分が動くようにしたい。
2,3歩前に出るだけでずいぶん違う。
○防水カメラがおすすめ
防水になっているカメラを勧める。
防水カメラ(防水スマホカメラ)は埃もはいらないのでケースの必要がなく、無造作にポケットに入れて持ち歩ける。
つまり、カメラに余計な気を遣わなくていい。
雨上がりなどにドラマチックな写真が撮れるものだ。
そんなときは、雨が少々ばらついていても安心だ。
○セルフィーも工夫を
セルフポートレートの撮影には三脚などがあれば便利だが、なくてもなんとかなる。
バッグの上に置いたり、ストラップで木から吊すなど工夫すればいい。
○ホールドはしっかり
より上手に使いこなすポイントとして、しっかりホールドすること。
コンパクトカメラは軽量だし、捜査が簡単なので片手でも写せる。
長野県の絶景ロード「チェリーパークライン」
浅間山の外輪山を、高峰高原まで駆け登る、標高2000mの絶景山岳路!
スイッチバックとも呼べる九十九折れの連続タイトコーナー!
序盤の林間路からピーク付近の大展望と、景色変化も豊富で、満足度は大変高い〜‼︎😆https://t.co/RnvpCx9fL7 pic.twitter.com/xKy2JQPTO5
— Accela@バイク記事紹介 (@PutiMotor) August 20, 2019
そこが落とし穴でもあって、シャッターを押すときにブレやすい。
ピンぼけと思っている写真の大半がブレなのだ。
○構図を考える
バイクを画面のど真ん中に入れない。
画面の右寄りか左寄りにずらすだけで、背景の風景との調和が得られ、生き生きとした写真になる。
これは人物を撮るときも一緒だ。
真ん中に人物(自分を含めて)配置しがちだが、やはり右か左にずらしたほうがいい。
○水平線と地平線
水平線と地平線も真ん中にもってこない。
上か下にずらすようにしよう。
たいていの場合は空を多めにするから、水平線あるいは地平線は画面の下から3分の1くらいにくる。
空が曇っているようなときは、変化が乏しいので逆に空を少なくするのもいいだろう。
季節感を写真に取り込む
季節感を写真に取り込むのも大事な要素だ。
写真に日付けを入れたら済むと言った問題ではない。
季節を感じさせるものを配することによって雰囲気がよくなるのだ。
そればかりではなく、ツーリングの記録としても充実する。
俳句に季語があるように、ツーリング写真には季絵とも言えるべきものがある。
春…梅、桜、菜の花、残雪、ランドセル、モンシロチョウ、ショートジャケット、山菜、桜餅、田植え
夏…ひまわり、アサガオ、スイカ、入道雲、ゆうだち、かき氷、Tシャツ、麦わら帽子
秋…コスモス、すすき、紅葉、月、落ち葉、サンマ、きのこ、秋祭り、いわし雲
冬…門松、枯れ葉、白い息、マフラー、干し柿、ストーブ、雪、湯気、牡蠣
地方によって季節を感じさせる独特の風物がある。
それらを入れ込むことによって地方色が出て、写真に奥行きを与えてくれる。
そういった要素は、五感をフルに働かせて発見しなければならない。
ツーリング写真の醍醐味
自分がいったい何を撮りたいのか、何に感激し、何を残したいのか…
そういったことを考えて写真を撮っていけば、自然にセオリーに沿った写真が撮れている。
プロになるとさらにそこから掘り下げて撮っている。
大切なのは、風景を捉えるバイク乗り自身の感性だろう。
どんな高価な一眼レフを使ったとしても、スマホで撮った画像に負けることも少なくない。
「こんな風景が撮ってみたい」走っているときにそう思ったときにバイクを停めて写真を撮る…それだけでいい。
しかし、くれぐれも後続車などに気をつけて停車するようにしたい。
誰でも一流のカメラマンのような写真が撮れるわけではない。
漫然と撮るのも楽しいが、考えて撮ることも意識したい。
ツーリング写真の醍醐味はそこにある。