キャリア十分の中高年の転職が評価されない理由とは

「大過なく勤めた」中高年社員が転職市場で全く評価されない根本的理由

「失敗しない」という キャリア上のリスク

仕事の中で何らかの失敗をしたとしても、反省して原因を分析し、次は同じ失敗が起こらないように対策を立て、改善に結び付けられれば新しい学びを得られます。

それが新しいプロジェクトや新サービス、新規事業の立ち上げなど大きなチャレンジであれば、たとえ結果としてうまくいかなくても必死に仕事をしている限り、業務の延長線上で志を共にする仲間ができたり、未知の領域での知見が蓄積されたりします。

つまり、チャレンジをして成功すれば最高ですが、仮に失敗に終わったとしても焼け野原にさんぜんと輝くような宝物が残ります。

事業家ではなく会社員としてチャレンジする限り、債務を背負うリスクもありません。

とはいえ、仕事上で大なり小なり何らかのチャレンジをすることに、躊躇(ちゅうちょ)する人は少なくないと思います。

多くの人はわざわざ新しい何かを始めて、失敗などしたくないからです。

しかし、チャレンジの回避がキャリア上のリスクになりかねないのは、注意しておく必要があります。

以前は職能資格制度で年功的な人事を行ってきた多くの日本企業で最近、ジョブ型人事制度の導入が進められています。

年功的な人事のもとでは一定の年数が経過するとジョブローテーションが行われ、ほとんどの人はある程度のポジションまで昇格でき、おのずと給与も上がっていきました。

その背景には、右肩上がりの経済成長がありました。

しかし経営環境は大きく変わり、同じことをやっていればおのずと成長できる時代ではとっくになくなっています。

企業としては既存の事業を変革したり、新たな領域にチャレンジしたりしなければ成長できず、ジリ貧に陥ってしまいます。

各ポストの職務内容を明確にして、それに合った人材を起用できるようにするジョブ型人事制度の導入は、このような状況への対応といえます。

こうした制度を導入した企業の資料に、社員の専門性や能力の向上、自律的なキャリア形成、チャレンジの評価といった内容がうたわれているのはそのためでしょう。

これは会社主導のキャリア形成に従い、普通にやっていればある程度までは誰でも出世できる仕組みからの大転換であり、成果志向で自ら公募で高位のポジションに手を挙げたり、未知の業務に取り組んで新たな知識や経験を身に付けたりしなければ、ポジションも給与もずっとそのままか、他の誰かに取って代わられてしまうでしょう。

失敗がキャリアの傷になるのは 経済が右肩上がりだった時代の昔話

振り返ると、かつては下手にチャレンジして失敗するのが大きなリスクとなる時代もありました。

一時期の金融機関がその典型で、エリート人材ほど企画部や人事部など失敗の少ない部署を歩かされたと言われます。

「ワンストライクアウト」で失敗するとその人のキャリアに「×」が付けられ、出世に響いてしまうからです。

しかし、そうしたキャリアでは調整能力は身に付くかもしれませんが、何か新しい事業をつくったり物事を変革したりするような能力は身に付きません。

その結果がバブル崩壊以降の日本企業の低迷だといえます。

このような経験を踏まえて、現在はそうした慣行は排除されていると思います。

大企業で定年を迎えた人のあいさつで、「大過なく勤め上げさせていただきました」というフレーズが定番だったのも、会社員が失敗しないことの重要性を表しています。

それもそのはずで、経済成長が右肩上がりで続く世界では、従来通りやっていれば業績は伸びていくので、リスクを取ってチャレンジする必要性は低いわけです。

あえてチャレンジして失敗すれば、誰がやっても大して変わらないのだから他の人に置き換えられてしまう。

だったら大過なく過ごそうという発想になるのは必然的です。

しかし現在の環境下ではチャレンジを回避し、大過なく過ごす発想がかえってリスクになるのは先に述べた通りです。

チャレンジして失敗した人と大過なく過ごした人、転職市場で評価されるのは?

では、キャリア形成においてどのようにチャレンジしていくのがよいか。

さまざまな人の例を見ていて一つ言えるのは、やはり本気で取り組んでいないチャレンジは失敗の確率が非常に高いということ。

本気になれないチャレンジはやめておいたほうがよいと思います。

大きめのチャレンジをした人なら分かると思いますが、たいていの場合、勇気を持って踏み出した一歩目から想定外の連続です。

私もいろいろな新規事業に手を出しては失敗してきましたが、びっくりするほど想定外のことが起こります。

事前に打診した段階では十分な資金が集まるはずだったのに、いざスタートしてみると想定の2割しか集まらなくていきなりつまずく。

「それならできます」と確認してから製作に着手したはずなのに、実際につくりはじめてみたら技術的な要因でできない…などなど。

外的な要因に大きく影響される場合も珍しくありません。

現在の新型コロナ禍はその典型で、オリンピック開催を受けて投資を行っていた人などは、本当に大きな影響を受けていると思います。

こうした想定外を乗り越えるには、やはり当事者の本気度が高くないと無理です。

真剣に取り組んでいなければ、部下や周囲の人に見抜かれて、必要な協力も得られないでしょう。

もちろん本気でチャレンジしても失敗することはあります。

しかし大過なく過ごして人事評価が高い中高年と、大きなチャレンジをして失敗したがいろいろな経験と学びを持っている中高年のどちらが転職市場で評価されるかといえば、間違いなく後者です。

面接をすると、大過なく過ごしてきた人は全く面白くないし、逆にチャレンジしてきた人は話が面白く、人間的な魅力もあるので採用したくなる気持ちが分かります。

そもそも現職の人事評価など、採用する側は気にしません。

失敗を恐れてチャレンジしないほうが、キャリア上のリスクになるのです。

ネットの声

「変化の激しい時代だからコトナカレや現状維持を是とする人には転職は厳しい。いずれにせよ上っ面だけジョブ型もどきを取り入れてもベースがメンバーシップ型組織の日本企業へ中高年で転職するのはかなり厳しいけど。」

「評価され無いでは無く評価し無いでしょ?確かに仕事が合わない出来ない人達も居るけど、今までのスキルを行かせれば良いけど面接等ではスキルはと聞かれ何々と言っても我社ではと言われ1から仕事を覚えてと成る。賃金も其以上は出したく無いって事でも有る」

「転職せずにその勤め先で勤め続けることも大変ですよ。どっちがどっちと較べられる時代ではなくなったと思います。ただ、今も昔も年齢だと思います。最善の選択をしていきたいと考えます。」

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