デジタルインナーミラーの時代…カメラで後方を写す弱点も… 

ルームミラーはもう古い!? カメラで後方を映す「デジタルインナーミラー」が急普及! 弱点はある?

最新型のクルマにはさまざまな先進技術が搭載されていますが、そのなかで近年新型車への採用が増えているのが「デジタルインナーミラー」です。

ミニバンやSUVなどを中心に普及が進むデジタルインナーミラー

デジタルインナーミラーとは、リアウインドウに設置されたカメラの映像を、ルームミラー代わりのモニターに映し出すシステムです。

技術的にはもっと早い段階で実現できたようですが、バックミラーの国際基準の改正に伴い、日本でも2016年6月から保安基準が改正、認可されるようになった「モニタリングシステム」で、認可されて10年足らずというかなり新しいアイテムです。

そんなデジタルインナーミラーは、すでに数多くの社外品が市場に出回っています。

インターネット通販では1万円以下の格安モデルのほか、最近ではアルパインやコムテック、セルスターなど日本の有力メーカーからも発売されるなど、ラインナップも充実。これからさらに装着率が高まりそうな気配を見せています。

さらに普及が進みそうな理由のひとつとして、新型車にもメーカー純正装備としての採用やオプション設定されるケースが増えていることがあげられます。

トヨタやレクサス、ホンダ、日産、スバル、三菱など国産メーカーのほか、輸入車メーカーでもオプションとして採用される車種が拡大しつつあります(一部モデルは標準装備化)。

これも技術の進歩のおかげですが、カメラや液晶モニターの解像度や輝度が向上してリアルタイムでの表示が見やすくなったことや、普及により価格も手頃になったことで採用が広がっているようです。

また普及に一役買っているのが、「ドライブレコーダー」の必要性です。

今までは前方の映像録画が主流でしたが、最近では360°撮影や後方も録画できる2カメラタイプが主流になっており、録画可能なデジタルインナーミライは後方用ドライブレコーダーの代わりになることも多いようです。

実際、都内の中古車販売店のK店長に話を聞いてみましたが、ミニバンや大型SUVなどを中心に、通常のミラーでは後方視界が見にくい車種での装着率が上がっているといいます。

またプライバシーガラス装着車の場合は夜間での視界が悪化することから、デジタルインナーミラーの後付けを検討する人も多いのだそうです。

デジタルインナーミラーって実際どうなの?

実際にデジタルインナーミラーを後付けした「アルファード」オーナーのSさん(30代・男性)に、使用した感想やメリット・デメリットを聞いてみました。

「一番のメリットは昼夜を問わず、視界良好なことです。とくにミニバンは通常のバックミラーでは車内のシートが干渉する部分が大きく、後方視界はかなり限られたものでした。
それが後方カメラをリアウインドウ上部に取り付けることで、乗車人数や荷物の積載量に影響されずに後方を確認することができます。
あと輝度(明るさ)が調整できるので、夜間でも通常のミラーでは得られなかった明るい映像が見られるのも大きなメリットだと思います」

デジタルインナーミラーは夜でも車両後方を明るい映像で確認できる

明るくクリアな映像が見られると満足度は高いとSさんはいいます。

また、あおり運転などを記録できるドライブレコーダーとしても活用でき、(機種にもよりますが)タッチパネル式モニターでカメラを上下に微調整もできる点も重宝しているそうです(注:左右方向の調整は不可能)。

ではデメリットや弱点はあるのでしょうか。

「私はすぐに慣れましたが、やはり通常のミラーとは見え方がだいぶ違います。映っているものが逆にクリアすぎて、一瞬距離感が掴みにくいときがあります。ウチの父は目のピントが合わないと嘆いていました。
また、これはカメラやモニターの解像度などの問題なのかもしれませんが、信号機やヘッドライトなどLEDの光がチラついて見えることがあります」(アルファードオーナー Sさん)

LEDは実際には速いスピードで点滅を繰り返しており、人間の目では脳が情報処理してくれているので常時点灯しているように見えますが、カメラは正直に映し出すためモニターを通じるとチラついて見えてしまうのです。

今の技術であればソフトなりハードなりで情報処理できるとは思いますが、ほんの一瞬でも処理に時間がかかり、リアルタイムな映像ではなくなってしまう可能性もあります。

「あとはトンネルなどを抜けた直後などは、カメラの性能が追いつかず瞬間的に真っ白になることも。これも慣れが解決してくれるとは思いますが」(アルファードオーナー Sさん)

すでに数多のデジタルインナーミラーが販売されていますが、一体どれを選べばいいのでしょうか。

やはり多少高価でも日本の一流メーカー製は安心です。

ただ、昨今の中国製品のなかには手頃な価格で高性能なものもあるようです。

昨今のデジタルインナーミラー事情について、前出の中古車販売店 K店長が教えてくれました。

「やはり製品のクオリティ的には日本のメーカーならば問題ないと思います。しかし最近は、中国製でも2万円から3万円の高性能モデルが増えました。そして、これらの高級モデルは性能が良いみたいです」

かつての1万円以下の格安商品は、新品なのに映像が映らないといった粗悪な商品もあったとういわれていますが、現在ではそれなりの画質を確保しているものも多いようです。

また低価格ではありませんが、ある程度の価格の中国製デジタルインナーミラーでは、日本メーカーのものを凌駕する高画質で高性能なものも登場しているのだそうです。

そのようななか、何台も取り付け作業をしてきたK店長が懸念しているのは耐久性です。

「標準装備では問題も少ないでしょうが、まだ新しい装備だけに何年使用できるのかが未知数なんです。
それが個体差なのか経年によるものかは、あと数年かけないと判断が難しいところです。
今後はさらに純正パーツとしての採用がかなり増えるでしょうし、社外品の取り付けは増えていくと思っています」(中古車店 K店長)

デジタルインナーミラーは、故障などによってモニターに映像が映らなくなってしまっても、通常のミラーとしても使えます。

デメリットもいくつかありますが、それよりも暗部がきれいに映せたり、ドライブレコーダーとして後方の映像を記録してくれるのは非常に便利です。デジタルインナーミラーは今後さらに普及していきそうです。

ネットの声

「カーシェアでデジタルミラーを何度も使ったことがあります。個人的にはまだデジタルミラーを使う必要はないと感じました。理由はデジタルミラーの画面解像度が低く後方の車両が近い場面ではよく見えますが距離がある場合だとそれが車なのか判断がしづらいです。それと車内の後部座席も見えなくなるため、子供や知り合いを乗せたときに車内状況が見えないというのもデメリットを感じました。ただ車によってはもともと後方が設計により見ずらい車種もあり(プリウスが見にくかった)その場合には必要だと思います。おそらく販売しているかもしれませんが通常のミラーとデジタルミラーを切り替えられ状況に応じて使い分けできるミラーならだれても使用できるのではないでしょうか。」

「カーシェアの利用で偶にデジタルミラー装着車に乗るが、正直使い辛い。デジタルミラーは、焦点を後方の対象物ではなく、ミラー其の物に合わせる必要がある。低速度でミラーを見る時間が長い場合は焦点を合わせやすいが、速度が高く瞬時に情報を得るには、前遠方からミラーへの焦点移動にはかなり難がある。私の場合概念として、前方六後方四位の頻度でとてもよく後方を確認する。その都度の焦点移動をして得る情報より、通常ミラーで瞬時に得られる情報の方が格段に早いし多い。」

「純正装着車に乗ってます
確かに最初は違和感がありますがその違和感も3~7日も乗れば消えます
そしてメリットのほうが大きいです
・朝や夕方の逆光の場面でもしっかりと確認できる
・夜でも明るく歩行者や無灯火の自転車もちゃんと見える
・ハイビームで走る後続車がいても眩しくない

距離感がつかみにくい、というのも慣れです
慣れれば問題ありません。反対に私は普通のミラータイプだと距離感がつかみにくくなってしまいました

デメリットとしては後部座席に乗っている人の状態が確認できない、ということでしょう
子供を乗せている時などは別途、チャイルドミラー等を付けたほうが良いかと(スイッチで普通のミラーに切り替えできるけど面倒なので)」



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