『デジタル終活』サブスク大好き高齢者の悩みの種はやっぱりこれ!

父の死後 突然”督促状” サブスク解約されず退会に約5カ月『デジタル終活』でIDやパスワードの整理を

葬儀や遺産相続などについて考えるいわゆる「終活」。

インターネットやスマートフォンが身近になった今、「デジタル終活」という新しい動きに注目が集まっています。

大切な人を亡くした後…あなたの身近にも起こりうるデジタルの世界での意外な落とし穴。

【神戸市の男性(60代)】「いきなり弁護士から『支払いがないと差し押さえに入ります』というのが来て、ちょっと驚きの展開でした」

スマートフォンやインターネット上の情報。

いわゆる“デジタル遺品”を巡るトラブルが急増する中、注目を集めるデジタル終活とは―。

「デジタル遺品」に関するトラブル 8年間で相談件数がおよそ3倍に

「遺言の日」の15日、「遺言」にまつわる落語が披露されたのは、兵庫県で行われた相談会です。

毎年4月15日は「良い遺言」の日。

【参加者】「終活っていうのは僕もきらいだったんでやってないけど家族から色々いわれて…」

(Q:「終活」をゆっくり進めていこうかなという感じ?)
【参加者】「ゆっくりって時間ないから早くせないかんでしょうね」

終活の中でも、いま特に注目を集めるのが「デジタル終活」。

スマホやパソコンなどに残ったデータなど「デジタル遺品」に関するトラブルが急増していて、この8年間で相談件数がおよそ3倍になっています。

大切な人を亡くしたあとに巻き込まれる、思わぬトラブル。

その実態とはー

親の葬儀後、“サブスク”が解約されず督促状が届く

【神戸市の男性(60代)】「『支払いがないと差し押さえに入ります』というのが来て、驚きの展開でした」

ランナーが取材したのはおととし父親を亡くした、神戸市に住む60代の男性。

葬儀後に突然、父親のクレジットカードが「未払い」とする督促状が届いたといいます。

調べてみると、父親が生前に契約していた動画配信の定額サービスいわゆる“サブスク”が解約されていないことが判明。

■父親の死亡届を出してから退会が完了するまで5カ月要した

男性は、急いで解約しようとしましたが…

【神戸市の男性(60代)】「(父親の)名前、生年月日、IDを求められるんですけれども(中略)名前と生年月日だけじゃわからんって言われる」

「サブスク」などのサービスでは、解約時にIDやパスワードが必要となるケースも多く、男性は必死に探しましたが、手がかりは見つかりませんでした。

【神戸市の男性(60代)】「遺品のノートとか、手紙とか見たんだけども、本人がサブスクの契約をしてること自体、気が付いてなかったみたいで何のメモもなかった」

結果的に、カードの支払いを止めて“強制退会”するという選択肢を選んだ男性。

死亡届を出してから退会が完了するまで、約5カ月もの時間がかかりました。

【神戸市の男性(60代)】「ログインIDの方が死亡届よりも上位にあるんですね」

請求書とかの書面は1カ所の決まった場所にまとめてあるとかそういう形のこと(対策)はあったけども、デジタルは全く無策でしたね」

専門家によると、「トラブルは今後増えていく」

終活に詳しい伊勢田弁護士は、デジタル化が進むことでこうしたトラブルはさらに増えると指摘します。

「2024年から新NISAがスタートしてネット証券の口座開設増えたと思うんですが、ネット証券の所在がわからない、暗号資産のお持ちの方だったら暗号資産がわからないとこういったトラブルは今後増えていくと思います」

「デジタル遺品」が多くなった現代だからこそ、重要となる「デジタル終活」。どのように備えれば良いのでしょうか?

■生前に家族とIDパスワードを共有するほかに管理してくれるネット上のサービスも

【吉原キャスター】「自分でもどのサブスクに契約しているか分からなくなっちゃうのに、家族のIDやパスワードなどは把握していないですよね」

【犬山紙子さん】「(把握)していないですし、父のものも把握していないんですよ。どんなサブスクに入っているかすらも知らないので、ログインIDが死亡届よりも上位にくるって言われたら、打つ手が本当にない。どうしたらいいのっていう今不安です」

生前の対策でもっともシンプルなのが、生前に家族とIDパスワードを共有しておくことですが、話を切り出しにくく、なかなか難しいかなという感じもします。

そういった方は『スマホのスペアキー』というやり方もあります。デジタル遺品を考える会の古田代表によると、紙にIDなどを書いて修正テープを上から貼ります。そうするとスクラッチカードのようになるので、硬貨などで削るとIDやパスワードなどを伝えられるというものです。

もう一つがデジタルキーパーというネット上のサービスです。有料で月額330円ほどのサービスで、まさかのときに備えて企業がIDやパスワードを管理してくれるそうです。利用者に定期的に生存確認メールが届き、このメールに一定期間クリックなどのリアクションがなければ、家族などあらかじめ登録した相手にIDやパスワードが引き継がれるというものです。

亡くなったタイミングでアクセスできなくなる、などあるとパスワードを共有しやすい」

個人としても手は打てるということですが、サービスを提供する側も何か対応する必要があるんじゃないでしょうか。

【大阪大学大学院 安田洋祐教授】「例えばサブスクに関して言うと、自動更新されるところが結構問題なんですよね。なので、例えば本人が生きていても亡くなっていても、リアクションがない限り自動更新しないみたいな設計にしてもらえれば、亡くなったらもう同意しようがないので、自動的に止まることになりますし。

あとはパスワードを共有した時の懸念点で、支払い面に関しては家族と共有したいけれど、自分のメールやSNSなどの過去のメッセージを見られたんじゃないかということもあります。

その場合にはそういったサービスが、亡くなったタイミングでアクセスできなくなる、あるいは過去のデータを消去するみたいなものがあると、少し安心して家族とパスワードを共有しやすくなるかもしれないです。

今の時代ならではの取り組みが求められていると思います」

万が一のことを備えて家族と話をしておくということもこれから大切になってきそうです。

ネットの声

「私が定期契約して、料金を銀行口座引落としで払っているのは、電気、水道、NTT、NHKのみ。買物しなければ引落としが発生しないのはデビットカード。ほかは終活として解約した。
これから(私をふくむ)高齢者の死亡が増えていくから、契約の自動解約を設定しておくほうがいいと思う。たとえば、銀行口座から引落としできなくなった時点で、強制的に解約する。最後の料金をとりっぱぐれないように、過去の実績から推定した3か月ぶんを「保証金」として徴収しておく。2か月ぶんは,迷惑料としてくれてやるよ。
あるいは,死亡届にマイナンバを書くと、いっさいの手続きが連動して自動的に行われれば、遺族が助かる。私が死ぬまでに間に合うかな?」

「その辺マイナンバーとかで連動して、死亡通知がサブスクの会社に届くと遺族への継続確認をする必要がある制度に、そこで遺族のクレカに変更して契約継続(通信とかはそのまま使いたい場合もありそうだし)の手続きをしてなかった場合は、死亡後の請求を無効化できるみたいな法整備が要るかも。」

「法律職ですけど、亡くなったお客さんのAmazon定期便を止めるの大変でした。あれだけ大きな企業なのに、カスタマー関係は非常に脆弱。時間帯によってはカタコトの外国人が対応します。諸手続きにはAmazonアカウントが必須とのことです。」

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