
ドイツ銀行<DBKGn.DE>は、来月末に償還可能になる債券の返済オプションを行使しない方針。
新型コロナウイルス感染拡大を背景とする最近の市場の混乱を受けた決定で、他の銀行が追随する可能性があります。
ドイツ銀行破綻??
「ドイツ最大の民間銀行」として知られるドイツ銀行。
長らく経営年不振や破綻の危機などのニュースが取り上げられていて、世界中への影響を危惧する声も少なくありませんでした。
ドイツ銀が返済を見送るのは総額12億5000万ドルのAT1債(その他ティア1債)。
AT1債は偶発転換社債(CoCo債)の一種で、銀行が発行する債券としては最もリスクが高いものです。
償還期限がない永久債と同等に扱われますが、償還可能日を迎えれば返済できます。
ドイツ銀のAT1債は4月30日に償還可能日を迎えます。
AT1債は、発行体の銀行の財務が悪化した場合、公的資金で救済するのではなく、債券の保有者が損失を被るよう設計されており、2008年の金融危機後に出回るようになりました。
AT1債を発行する銀行はこれまで、償還可能日を迎えてからすぐに返済するのが通例でした。
ただ、例外的なケースもあり、スペインの銀行サンタンデール<SAN.MC>は昨年、返済を遅らせています。
欧州企業の社債販売を担当する銀行関係者は
「市場の混乱でAT1の発行体が償還を見送るとの見方が強まった」と指摘。
償還を見送るほうが大幅にコストが低いと説明しました。
最近発行された他のCoCo債は、感染拡大が深刻なイタリアの銀行が発行したものを中心に、新型コロナ流行の打撃を受けています。
伊銀UBIバンカが1月に発行したAT1債(発行額4億ユーロ)は9日に利回りが174ベーシスポイント(bp)急騰し、7.17%となりました。
伊銀バンコBPMのCoCo債は利回りが9.67%と、月初の6.6%から大幅に上昇しています。
ドイツ銀行って?
1870年、ドイツ銀行はベルリンで創立された銀行です。
もとはドイツ帝国(統一ドイツ)の資本海外進出を目的に創立され、海外貿易に特化した銀行として始まっています。
19世紀においては、横浜や・海など海外進出に動くも、海外支店はいずれも閉鎖。
国内銀行の買収によって力をつけた後、オスマン帝国やアメリカの企業買収にも精力的に動いたのです。
第二次世界大戦の前後においては、ナチ党(国家社会主義ドイツ労働者党)の指示を受け、ユダヤ系の役員を追放するなど、歴史における「影」の側面も見せる銀行です。
戦後は東西ドイツ分割にともない、10の銀行に分割。
その後、再統合を受けて、1957年に「ドイツ銀行」は復活。
戦後ドイツの経済発展を支えました。
投資銀行業務はさらに拡大し、1998年の米バンカーストラストの買収、そして1999年にさくら銀行(現・三井住友銀行)の買収に名乗りを上げたことは記憶に新しいところです。
こうした急速な拡大路線で強さを見せつけるものの、2008年のリーマン・ショック以後、株式売買による収益も低下、経営不振が続いていました。
経営不振の最大の原因はグローバル化できていなかったこと
ドイツ銀行の経営不振は、どのような問題が起点となっているのでしょうか。
今となってはリーマンショックが、その大きな分岐点になっていると考えられています。
米金融機関は株式売買業務を縮小し変化に対応したものの、ドイツ銀行は対応が遅れ、低迷していったのです。
その要因は、組織内の「グローバル化」が遅れていたことが起因していると言えます。
今やグローバル企業にとって経営陣の多様性は不可欠です。
例えば、ドイツ銀行と並んで、ドイツを代表する企業であるシーメンスの取締役には欧州域外の出身者がいるなど、大企業の事例としては枚挙にいとまがありません。
一報で、ドイツ銀行では取締役会、監査会など、経営陣ののグローバル化が進まず、特に米国でのリスク対応を遅らせたと分析しています。
ネットの声
「とうとうドイツ銀行の懸念が現実にはじまりましたね…コロナに人の意識が向いてる間に紛れてコロナを理由にが、世界が大きく変わる2020年がはじまりました…大変なニュースがこんな感じなんですね、終末の時がはじまりました。」
「これは別にデフォルトじゃないし、ミクロ的には正しい選択なんだろうけど、デフォルトとの誤解を生むことで、信用不安につながり結果的にデフォルトしかねない。」
「市場の混乱もあるがそもそも中国に依存していたところは全て大損。もし破綻とかしたらもう世界中が無茶苦茶になるんでないかい?」
コロナショックがドイツ銀行破綻から…にならなければいいのですが…。
謝れば破綻ではない…と言われていますが誰がどう見ても破綻ですよね。