「自宅で充電できないと所有できない」「走りがつまらない」! EVに乗ったことがない人にありがちな勘違い

東京都が2030年を目処にガソリン車の販売を禁止にする、などという目標宣言が飛び出したり、国内外で急激にEVシフトが進んでいるように感じるこのご時世。

今までは興味がなかった人も、「EVってどうなのかな?」と気になり始めているかもしれません。

カタログを見たら、なんだかいいことばっかり書いてあります。

当たり前といえば当たり前ですが、これ、鵜呑みにしていいのかな? 気になるところですよね。

ここでは、まだ実際にEVを手にしたことがない人が、勘違いしがちなポイントをご紹介します。

自宅に充電器がなくちゃダメ?

まず1つ目は、「EVに乗るには、自宅に充電器がなくちゃダメなんでしょ」。

そう思うのも無理ないですよね。

でもじつは、そうでもないのです。

というのは、最近のEVは航続距離が長くなってきていて、500kmオーバーも珍しくなくなってきました。

そのため、近所のチョイ乗りが多い人ならば、1週間くらい充電しなくても平気。

なので、休日にショッピングモールなどへ出かけ、買い物している間に充電器につないでおいたり、高速道路を走った際に休憩がてらにちょこちょことSAに立ち寄って、30分の急速充電を何回か行ったりすれば、しのげてしまうという人もいます。

また、自宅になくても職場に充電器があるので、通勤で使って毎日仕事中に充電器につないでおけばOKという恵まれた人も多いようです。

そしてテスラのオーナーなら、テスラ専用のスーパーチャージャーと呼ばれる高出力の急速充電器を使うと、たった15分で半分程度の充電が完了するため、自宅で長時間つないでおくよりも便利だという人もいるほどです。

なので、マンションなど集合住宅で自宅に充電器を設置するのが難しいからと、EVの購入をためらっている人も、自宅に充電器がなくても今までと少し行動や時間の使い方を変えれば、十分に維持できるのではないでしょうか。

後何km走れる…はあてにできない

2つ目は、先ほどの話と少し矛盾しますが、カタログのスペックに表示されている一充電あたりの航続距離や、メーター内に表示される「あと何km走れるか」の数値は、鵜呑みにしてはいけないということです。

現在はWLTCモードで航続距離が示されているのですが、一般道でそのとおりに走れることはほとんどないと思ったほうがいいでしょう。

ガソリン車の場合には、エアコンを使ったり渋滞にハマったりすることで多少、燃費が悪くなった経験がある人も多いと思いますが、EVの場合は多少どころじゃなく、さまざまな要因によってかなり走行距離が削られてしまいます。

エアコンやヒーター、雨の日にワイパーを動かす、風が強い、上り坂や高速走行の追い越しなどでアクセルを強く踏む、などなど。

たとえば出発する際に、あと400km走れるという表示だったとしても、上り坂を走り始めたら急に表示が320kmに減ったり、ヒーターをつけたらまたさらに300kmに減ったり、という具合です。

そのかわり、下り坂が続いたり、ヒーターを切ったりすると表示が増えることもありますが、慣れている人はだいたい表示の6~7割くらいの走行距離かなと、はなから少なめに心づもりをしながら走っているのです。

思ったよりもパワフル

3つめは、走っていて楽しくないのではないか、というのもじつは勘違い。

確かにモーターはエンジンのように音もしないし、振動も少ないし、オイルの匂いもしないし、そういった五感で味わうような楽しさは減っているかもしれません。

しかし、エンジンであっても多くの人が期待するのは、背中を押されるようなパワフルさや、ワクワクするような加速フィールではないでしょうか。

モーターはそれを感じさせるのはとても得意で、コンパクトカーであってもアクセルを踏んだ瞬間からスーパーカーのような爆発的な加速フィールを出すことだって可能です。

それがいつでも、何度でも味わえるのがEVの大きな魅力であり、楽しさにつながるところです。

バッテリーは劣化する

4つめは、新車のときのバッテリー性能がずっと維持されると思っているかもしれませんが、それも残念ながら誤解です。

スマートフォンなどをずっと使っていてバッテリーの減りが早くなったな、と感じることも多いと思いますが、同じようにEVのバッテリーも劣化します。

とくに、高速走行と急速充電を頻繁に繰り返すような使い方をすると、劣化が激しくなると言われています。

また、真夏などバッテリーの温度が高温になっている時に急速充電をするのも、あまりよくないと言われています。

ただ最近の新型EVではそうしたバッテリーの劣化に関する研究が進み、技術も蓄積されてきて、たとえば日産サクラ、三菱ekクロスEVでは、そうした劣化しやすいと言われる使い方をしても、バッテリー性能を維持できるような技術が投入されているとのこと。

でもまだまだ、なるべく長持ちさせるために扱い方には気を使ったほうがいいのは間違いないでしょう。

維持費はかなりメリット

5つ目は、コストのメリットとして注目すべきは、ガソリン代より電気代のほうが安いところでしょ、と思っている人が多いと思いますが、じつはもっとメリットを感じるのは車検や点検の費用かもしれません。

確かに、ガソリン価格が高騰している今、月に500km走る人のコストを比べると、ガソリン車で燃費が18km/Lのクルマならガソリン価格が168円/リットルだと約4666円かかります。

EVなら、たとえばBMW iXで50kWの出力の急速充電器で30分充電すると、走行距離120km分程度になります。なのでだいたい126分で500km分とすると、急速充電器のビジター利用料金が16.5円/分で、料金は2079円ということになります。

ガソリンの半額以下ですね。

これが積もり積もればコスト面でのメリットも大きいですが、車検や点検ではオイル交換やラジエーターのクーラント、エアクリーナーなどといった消耗部品がすべていらないのがEV。

交換するのはワイパーブレードやエアコンフィルターくらいのものとなり、1回で数万円のコストダウンが可能となるのです。

これが何年も経つと、ガソリン車ではタイミングベルト交換など高額な修理代がかかることもありますから、EVは車検や点検での負担が減るのも魅力の1つと言えそうです。

ということで、なかなかカタログには書いていない、EVのリアル。メリットもデメリットもありましたが、いかがでしたでしょうか。

航続距離を見極めてフレキシブルに賢く走ることや、バッテリーの劣化を遅らせる努力をすることが、EVと上手に付き合うカギとなりそうですね。

ネットの声

「自宅に充電器が無いと厳しいと思います。
サービスエリア等にある急速充電器でも30分充電しても半分も充電できなかったりしますし、充電器が空くのを待つ時間も当然必要です。
ガソリン車なら数分で給油できるけど、途中充電が必要なバッテリー残量なら充電時間だけでなく待ち時間も考慮しなければいけない。
なので自宅で夜間にでも充填させておいた方がいい。
自宅に充電器は必要ないなら、欧州などで設置が増えている超急速充電できる大規模な充電スタンドが日本国内でも普及する必要がある。現在日本国内には超急速充電できる充電スタンドは無いそうです。」

「自宅敷地内に充電設備ないとEV運用は現実的でない。商業施設やPA・SAの駐車場見ればわかりますが、駐車台数に比べて充電器は圧倒的に少ないですよね。
充電器が全部使用中の場合には空き待つことになる。
自宅なら気兼ねなくプラグ刺しっぱなしできますし、家族でEV複数台持ってる場合にも気楽に抜いてほかの車に充電できる。なんなら充電終えた家族の車を運転して場所を変えることもできる。
公共スペースの充電器でこういうことはできないですよね。」

「ショッピングセンターで充電するにしても、充電時間が短く設定されているショッピングセンターの場合、買い物途中でクルマの移動が必要になる。
ところが充電時間が終了していても放置するドライバーが多く、他のEVで来店しているドライバーが充電器を使えないと困っているシーンを何度か見た。
勿論それはショッピングセンターの問題では無い。
先に使用していた放置ドライバーのモラルの問題だ。
しかし充電器を使えないドライバーは、ショッピングセンター側へ放置車両のドライバーを呼び出せといき巻き、別のトラブルに発展する。
ひと月もしない間に、そのショッピングセンターの充電器は使えなくなっていた。」



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