
現在、世界最強の戦闘機は米国空軍のF-22ラプターです。日本駐留米軍にも2016年、北朝鮮への圧力強化のために沖縄県の嘉手納基地に12機が暫定配備され、その存在感を内外に示したのも記憶に新しいところです。
F-22ラプターは機密の宝庫
現在の最高の技術で作られたのがF-22ラプターです。日本も次期主力戦闘機にF-22が選定されたのですが、米国が頑として首を縦に振らなかったのは有名な話です。そのため同じステルス戦闘機であるF-35が次期主力戦闘機となってすでに140機の注文を完了しています。
もっとも、日本だけではなく、米国は世界のどの国にもF-22ラプターを売却していません。それだけ虎の子の戦闘機であり機密の宝庫でもあるということなのです。
F22
最大速度M2.42、航続距離2,960km
先進戦術戦闘機計画にて開発されたF22はラプターと呼ばれ、初めてのステルス戦闘機となった。ステルス特性を生かして航空優勢を確保する機体だが、維持費などが高い。 pic.twitter.com/E7R4xgxGdG— 世界の航空機bot (@aircraft_bot) August 21, 2019
在日米軍基地の航空祭などでは、F-22ラブターの機体展示が行われることがあります。しかし、機体の周辺ではMPが常に監視していることでも知られていて、機密性の高い機体である事をうかがうことができます。
日本では残念ながら機体の展示のみとなっていますが、アメリカ空軍内には「F-22ラプター」のデモフライトチームがあり、全米はもとよりヨーロッパやアジアのエアショーなどで機動飛行のデモを披露し、大きな人気となっています。
デモフライトでは、ラプターの離陸準備が整うと「First look, First shoot, First kill!(先制発見・先制攻撃・先制撃破) Air Dominance(空の支配者) F-22 Raptor!」といった司会者が叫び離陸、急角度で一気に上昇し上空で様々なマニューバー(戦術的機動、展開のこと)を披露するのが定番となっています。
推力偏向ノズルによる独特の動きは見る者を圧倒することは間違いありません。まさに、世界最強の戦闘機である事を誇示しているのです。
最強の戦闘機F-22ラプター
F-22の機動飛行のデモフライトでは世界中にその能力の高さを誇示し、アメリカ空軍の力の象徴なっている「ラプター」です。
演習においてもその強さをいかんなく発揮しています。2006年(平成18)にアラスカで行われたアメリカ陸海空軍の合同演習「ノーザンエッジ」での出来事ですが、1機の損害も出さず144:1といった信じられないようなキルレシオ(撃墜比)を叩き出したのです。
その後の演習でも、圧倒的な撃墜率を誇り、最強の戦闘機の地位をほしいがままにしているといっていいでしょう。
実は演習では負けている??
向かうところ敵なしのまさに無敵の「ラプター」ですが、実は何度か訓練や演習で負けています。
2009年(平成21年)には、なんとアメリカ空軍の練習機であるT-38に撃墜判定されているのです。
撃墜したT-38のパイロットは相当な手練の教官だと言われていて、かつ「ラプター」にはかなり不利な条件での格闘戦だったようなので、有視界での格闘戦では経験が勝ったということでしょう。
また、同年には、海軍機のEA-18Gとの模擬戦闘で、中距離空対空ミサイルAIM-120によって撃墜判定を受けています。
航空自衛隊が導入検討しているEA-18Gは、ジャミング(電波妨害)を主とする電子戦機であり、ベースはF/A-18F「スーパーホーネット」です。
どのような状況下での訓練かは公表されてないので不明ですが、飛行性能で劣るEA-18Gが「ラプター」を撃墜判定したのは興味深いトピックスといえます。
そして、この撃墜したEA-18Gには「ラプター」のキルマークが描かれているということです。
それでもF-22ラプターは最強戦闘機
2012年(平成24年)の、アメリカ空軍はじめその軍事同盟国などが参加する空戦演習「レッドフラッグ」では、ドイツのユーロファイターとの模擬格闘戦、いわゆるドッグファイトで「ラプター」が撃墜判定されてしまいます。
このときは、ステルス機にも有効なIRST(赤外線捜索追尾システム)が優位に働いて撃墜したということですが、実際のところドイツのユーロファイターにはこのIRSTが装備されていません。ということで、ことの真相は定かではないのです。
この格闘戦では「ラプター」が相当不利な状況で行われたといいうことなので、一概に「『ラプター』が近接戦不利」という評価にはなりません。
F-22(米)
ロッキード・マーティン社とボーイング社が共同開発したレーダーや赤外線探知装置などからの隠密性が極めて高いステルス戦闘機。愛称は猛禽類の意味のラプター。複数の用途での運用が可能なマルチロール機である。 pic.twitter.com/xpOk1kyhfA— 陸海空の兵器bot (@heiki_bot) August 12, 2019
むしろ膨大な数の演習において、わずか数度の撃墜判定しかないと評価するべきでしょう。
実際、そのユーロファイターも目視外の戦闘では、「ラプター」に完敗しています。
F-22ラプターが最強といえるのにはワケがあるのです。
このようにドッグファイトになれば、ラプターが負ける可能性はゼロとは言えません。
強力なレーダーとステルス性能で敵に気付かれずに遠距離から先制攻撃を行うことがラプターの真骨頂です。
ということは、ドッグファイトになる前にすでに勝負がついてしまうのです。
まさに「First look, First shoot, First kill」のコンセプト通りのスタイルというわけですね。
最強と言われるにはワケがあるのです
ネットの声
「無敵の戦闘機だから常にハンデありありの模擬ファイトはいたしかたない」
「F15クラスのベテランパイロットだったらドッグファイトでF-22には負けないと思う」
「ステルス戦闘機だからドッグファイト前に撃滅するのはあたりまえ。日本にも欲しかったな」
F-35よりもF-22のほうが欲しいという声が多いのも頷けます。