
ドコモ値下げの大本命が「ahamo」ではなく「5Gギガホ プレミア」な理由
12月18日、NTTドコモは既存の「5Gギガホ」を値下げした「5Gギガホ プレミア」発表しました。
7650円だった月額料金を1000円値下げし6650円としたのです。
これまで100GBだった容量制限は「無制限」となりました。
減収をどう穴埋め?
この発表を見て、ライバルのキャリア関係者は「NTTドコモにしては1000円を値下げしてくるとは、相当、思い切ったのではないか」と舌を巻いています。
別のキャリア関係者は「まともにやると減収は間違いない。他社から顧客を奪うことで減収の穴を埋めてくるのではないか」と分析したのです。
ドコモは今回の値下げで予想される減収額は明らかにしていません。
しかし、5Gスマホ契約者数の計画としては2021年3月末までに250万契約を目標としているのです。
そのようななか、5Gスマホ契約者における「ギガホ」の契約割合は4割になるそうです。
つまり、来年3月末までに計画通りに5Gユーザーが増えれば、250万の4割、つまり100万契約に対して、月1000円の値下げが実施されることになります。
ドコモは5Gだけでなく4Gでも値下げを行っており、減収額はさらに拡大する見込みなのです。
もちろん、ギガホの値下げだけでなく、2021年3月から月額2980円の「ahamo」もスタートします。
20GBということもあり、多くの人が満足できる容量となっています。
これまで、ギガホなどを使っていた人が「ahamo」に切り替えると、さらなる減収要因になってしまうでしょう。
ドコモは武田良太総務大臣からのプレッシャーによって大胆な値下げに踏み込みました。
今後は「ahamo」でKDDIやソフトバンク、楽天モバイルや格安スマホからユーザーを奪うことに注力していきそうです。
やはり、月額2980円で20GB、しかも「あのNTTドコモが始める、限りなくサブブランドっぽい料金プラン」という安心感は大きいものがあります。
すでにネットでの契約を経験しているであろう格安スマホや楽天モバイルのユーザーからすれば、「ahamo」がオンラインのみの受付でも何ら苦労なく乗り換えられそうです。
+1500円で容量無制限 「5Gギガホ プレミア」の誘惑
ドコモが次に仕掛けてくるのが5Gエリアの拡大です。
街中で5Gが使えるようになれば、自ずと、スマホに流れるデータ量は増えることになります。
テザリングも無料で使えるので、「出先でパソコンを使ってネットにつなぐ」というニーズも増えるでしょう。
「ahamo」はKDDIやソフトバンクのサブブランドと違って5Gスマホでも使えます。
5Gによってデータが大量に流れるようになると、次第に「20GBでは足りない」という人が増えてくるはず。
そこで、NTTドコモとしては「5Gギガホプレミア」をプッシュしてくるのは間違いありません。
5Gギガホプレミアは最初の金額は6650円ですが、「みんなドコモ割(3回線以上)」「ドコモ光セット割」「dカード支払い割」を適用すると4480円まで下がります。
ahamoユーザーからすると「あと1500円支払えば、20GBから無制限になるのか」ということで、ahamoから5Gギガホプレミアに乗り換えたくなる人も増えてきそうです。
NTTドコモとしては、減収をできるだけ減らすために、こうした「ahamoより5Gギガホ プレミアがいいよ」アピールをしていくことでしょう。
ドコモショップにもチャンス到来
「ahamo」が発表された12月3日以降、ドコモショップ店頭には「ahamo」をアピールするポスターなどが貼られています。
他キャリア関係者によれば
「ahamoが始まるのは2021年3月だが、ドコモショップ店頭ではすでに『とりあえず、いますぐNTTドコモを契約し、3月になったらahamoに切り替えればいい』という触れ込みで新規契約者を獲得しているようだ」
というのです。
おそらく2021年3月以降、「ahamoに切り替えたい」というユーザーがドコモショップを訪れてきたら
「ahamoはオンラインのみで手続きが面倒。5Gギガホプレミアなら、ahamoよりもちょっと高いが店頭でのサポートも充実しており安心して使える」
という触れ込みで、5Gギガホプレミアを売っていくことになるのではないでしょうか。
「ahamoを契約したい人がドコモショップに殺到したら、ショップとしては対応で疲弊してしまうのではないか」という心配の声があります。
逆に「ahamo目当てで来た客に5Gギガホプレミアを契約させるチャンス」とも捉えることができるでしょう。
「ahamo」では、メールアドレスがつかなくなったり、複数回線割引である「みんなドコモ割」が適用されないという弱点もあります。
そうした弱点を丁寧にユーザーに説明することで「5Gギガホプレミア」に契約させることになるでしょう。
そもそも、ドコモショップに来る客は、すでに家族まるごとドコモ回線という人も多いはず。
そうした人からすれば、複数回線割引の金額が減るというのはマイナスに感じるのは間違いありません。
ドコモの場合、他キャリアのユーザーに比べてデータ利用量が少ない傾向があります。
「ahamo」と「5Gギガホ プレミア」の導入によって当面は減収が続くでしょう。
そこから、「ahamo」をきっかけに5Gスマホユーザーを増やし、データ利用量を増加させ、「5Gギガホ プレミア」に移行させることで、収益を回復させていくことになりそうです。
ネットの声
「5Gギガホ プレミアはテザリング無制限なので固定回線不要になるかもですが、最大割引を受ける条件に「ドコモ光」が必要…ドコモは策士か。」
「そういえばdocomoに5Gギガホ プレミアについていくつか問い合わせたんだけどまず前提として今は5Gギガホの人も申し込みは必要なのとあと個人的に気になったのは5Gデータプラスの容量は30GBで変わらないものの、プレミア変更後の5Gデータプラスは超過後の速度が3Mbpsから1Mbpsに下がるみたい」
「なんだろう。高いはずなのに悪い印象を受けないのは、やっぱりahamoのインパクトが大きかったからなのかな…「割引適用前」のフォントサイズも絶妙笑。5Gエリアの人なら、リアルに固定回線いらなくなりますね。」
ドコモの戦略はかなりハイレベルです。ahamoで価格を落としておきながら従来のプランも値下げして割安感を演出しています。