
SNSはあまたありますが、中高年に人気があるのはFacebookでしょう。
学生時代の仲間への近況報告や、仕事相手とのやり取りなどで、投稿を張り切る人も少なくありません。
ただ、一歩使い方を間違えると、イタい投稿をする「Facebookおじさん」のレッテルを貼られかねないのです。
ソーシャルメディア・ハラスメントの加害者になるかも…中高年はFacebookとどう付き合うのが正解なのでしょうか。
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Facebookから若者が消えた
リアルと密着しすぎているから…
株式会社リスキーブランドが2018年に発表した「SNSユーザー動向」によると、15~24歳の年代におけるFacebookのアクティブユーザーの割合は10.7%と減少傾向にあることが分かりました。
その代わりに若者たちが支持するSNSがTwitterとInstagramです。
この調査では、TwitterとInstagramが若者に支持される理由を「現在の社会トレンドである『冷笑主義』が、若者の『社会とは一定の距離を置く』『刹那的に生きる』というニーズと合致しているから」と分析しています。
つまりFacebookはこうした需要とは正反対に位置すると見られているわけです。
「Facebookは規約上、偽名での登録が禁止されています。加えて、個人が持てるアカウントは1つまでと限られており、リアルな社会との密着度が極めて高いのです」(鈴木さん、以下同)
個人が取得できるアカウントが、実名登録かつ、1アカウントのみという点が、中高年層には支持され、一方で若年層からは敬遠されてしまう理由なのです。
「30代以降になるとそれぞれがキャリアや実績を積んでいるので、『人ベース』でのつながりにシフトしていきます。一方で若い世代は、趣味に合ったテーマや著名人などの『情報ベース』でのつながりが主です。SNSごとのカラーと、年代別のニーズの合致が、アクティブユーザーの層の違いを作るのでしょう」
人ベースでのつながりをメインとする30代以降のビジネスマンは、Facebookでの実名検索を、学生時代の友人との再会や、仕事関係の知り合いとの交流に利用しているといいます。
「高校の同級生の○○は今こんなことをしているのか」
「取引先の○○さんは、こういうこともできるのか」
など、相手のことを深く知ることで、ビジネスチャンスにもなり得るのです。
「さらに、140字と文字数が制限されたTwitterと、文章より画像や動画がメインのInstagramに比べFacebookは長文の投稿が多く、相手へのコメントも密なコミュニケーションを求める傾向にあります。投稿内容の個性も、SNSごとの特徴を際立たせていますね」
SNS上でのアクションの強要はハラスメントの一種かも…?
若者が去ったFacebookだが、なかには上司のアカウントを自主的に探す部下もいるというのです。
「メッセンジャーで仕事の相談ができたり、異動した上司との交流のきっかけが持てたりという理由から、Facebookで上司とつながりたがる部下もいるようです。しかし、こうした若い世代は少数派で、ほとんどはSNSで上司と関わることに抵抗があると思います。フォロー申請を送っていいかは、事前に確認しましょう」
部下が上司にSNSを見られたくない理由としては「ネガティブな投稿がしづらいから」「プライベートが筒抜けになり、監視されているように感じるから」などが挙げられます。
「自分の投稿が制限されてしまう以外に、部下がうっとうしいと感じるのが、上司からの『俺の今朝の投稿、見た?』や『いいねしてくれた?』など、アクションの要求です。上司の承認欲求を満たすために自分が使われている気がして、面倒くさいと感じる部下が多いようです」
こうした要求は、「ソーシャルメディア・ハラスメント」という、SNSにおけるハラスメントとも捉えられかねません。
また、相手の投稿のコメント欄に、プライベートに踏み込みすぎた内容を書き込む行為も禁物です。
「たとえば、相手がわが子の写真を投稿したとき、『○○ちゃん(相手の子どもの実名)、大きくなったね』とコメントをしたとします。一見当たり障りのない内容に思えますが、投稿した相手がわが子の名前をネット上に公開しないと決めていた場合、他人に勝手に名前を公表され、嫌な気持ちになるでしょう」
FacebookはほかのSNSより私生活と密接であるとはいっても、誰もが何でもかんでもオープンに投稿しているわけではありません。
部下に限ったことではないのですが、他人の投稿のコメント欄に残す言葉は慎重に選ぶのがマナー。
「このように、世代によってネット上での距離感が違うことを理解していなかったり、承認欲求が強すぎたりすると、『Facebookおじさん』と揶揄(やゆ)されかねません。Facebook上でのアクションだけでなく、投稿の内容次第でも『Facebookおじさん』と呼ばれてしまうこともあります。ただ、Facebookを利用している若者は減ってきていて、同世代との交流が大半だと思いますから、若者の意見を過剰に気にする必要はないと思いますけどね」
Facebookおじさんは「自慢」と「愚痴」が鉄板ネタ
そこまで気にしなくてもいいとはいえ、一体どんな内容が「Facebookおじさん」と、揶揄されてしまうのでしょうか。
鈴木さんは「大きく分けると3種類あります」といいます。
「1つ目が、自己顕示欲が強い投稿です。とくに多いのが、長文の自分語りや、自慢の投稿。とくに『こんなに頑張って働いている』という『仕事忙しい自慢』と、『俺は一流経営者の○○さんとつながりがある』という『人脈自慢』はアウトです。こうした投稿は、同世代の間でならまだしも、若い世代からすると『イタいおじさん』に見えてしまいます」
また、人脈自慢の際に「タグ付け」の機能を使う人が多いのですが、この使い方も注意が必要です。
というのも、タグ付けをすると、された人は自分の意思とは関係ないところで情報が出回ってしまうからです。
先述しましたが、Facebookで個人情報をどこまで公開するかは人それぞれの線引きがあるため、不用意にタグ付けをすると思わぬトラブルになりかねないのです。
「2つ目が愚痴投稿です。こうした投稿は内容をぼかして書いたとしても、読んだ人に『自分のことかな…?』と不安を与えてしまいます。さらに、仕事相手に見られると『こんなネガティブな発言ばかりの人とは仕事をしたくないな…』と思われ、仕事に支障が出る恐れも。もやもやした気持ちを吐き出してはいけないわけではありませんが、感情的にならず、見た人が不安にならない言葉を選ぶことと、最後はポジティブな言葉で締めくくるようにすることが、重要かと思います」
失敗しないFacebookでの投稿は節目ごとの近況報告
「3つ目は、投稿する内容によって相手を選ぶことができないFacebookの特徴が関係しており、特定のコミュニティーにしかウケない投稿が挙げられます。家族や仕事仲間も見ている場で、学生時代の友人にしかウケない話題ばかりを話していると、ほかの人は置いてけぼりになり、身内ノリに引いてしまうのです」
鈴木さんの知り合いにも、毎朝、高校の同級生たちとおのおのが好きなグラビアアイドルの写真をアップし合っている男性がいるといいます。
公開範囲の設定もできるのですが、基本的には、家族、友人、仕事相手、すべての相手に同一の情報を発信するFacebook上では、過度な内輪ネタは避けたほうがいいでしょう。
「Facebookのタイムラインに投稿するのは、日常というより、私生活の大きなイベントごとや、なにかの節目の時のみにするのが無難です。投稿数がやたらと多いのも、Facebookでは嫌がられますからね」
Facebookでは、誰かが「いいね」を押した投稿は、他の人のフィード(投稿が表示される画面)でも最上部に表示される仕組みになっています。
投稿数が多い友だちがいると、その人の投稿だけでタイムラインが埋まりかねないのです。
もしも日常的な話題を頻繁につぶやきたい場合には、24時間で投稿が消える「ストーリーズ」の機能か、ほかのSNSを利用するといいでしょう。
もちろん賢く利用すれば有益なビジネスツールになることも確かなFacebook。
特性を理解したうえで賢く付き合えば、プライベートでも仕事でも有益なソーシャルメディアとして使いこなせるはずです。
ネットの反応
「見た見た?なんて言われるのほんまつらい…アカウント削除してないけどFBは使わなくなったなあ…」
「一時期フェイスブックに移ったけどTwitterの良さを再確認したよ」
「確かにFBはつまらなくなったな…リア充って自己満足の世界だから相手にしたくないんだけど、チェックが入るんだよなあ…」
確かに中高年世代の承認欲求の強さに辟易している若者世代は多いように思いますね。