
コンドームは何歳まで必要?ピルは使い続けても大丈夫? 産婦人科医と考える「40代以降の避妊」
更年期は女性なら誰もが通過するステップ。しかしネガティブなイメージで捉えられがちで、不安を感じている人も多いのではないでしょうか。
まずは更年期を正しく理解することが大事。
そこでAskDoctorsでは、産婦人科医の宋美玄先生に、更年期の過ごし方についてわかりやすく解説します。
ここでは「閉経が近づいてきたら、避妊はどうする?」です。
妊娠を望まない場合、避妊はいつまで必要だと思いますか?
答えは閉経まで。
しかし「もうすぐ更年期だから大丈夫」などと考えている人も少なくありません。
確かに年齢とともに妊娠率は下がりますが、更年期でも排卵がある限りは妊娠の可能性はあり、避妊は必要です。
ただ、40代以降は避妊方法を少し考えたほうがいい場合もあります。
コンドームを使っている場合
コンドームを使っている場合は、40代以降もそのまま使い続けてかまいませんし、閉経後は避妊をやめてもOKです。
ただし、いつが閉経なのか自分ではわかりづらいもの。
医学的には「生理がなくなって1年以上経過」したら閉経ですが、生理が徐々に不順になって閉経に至ることが多く、その時期を予測するのは難しいんですね。
「そういえば1年以上、生理がない」とあとから閉経に気づくパターンがほとんど。
閉経したかどうか知りたい場合は、婦人科でホルモンの値を調べる採血検査を受けるといいでしょう。
大体さ、人工中絶って、40代の主婦のが多いらしいやん。もうこれ以上産めない、育てられないのに、夫が避妊をちゃんとしてくれないパターン。まぁ、性的DVやわな。本人たちは気づいてないけど。
— せみまるこ (@semimaruko) April 13, 2022
低用量ピルを飲んでいる場合
低用量ピルには、2つの女性ホルモンが配合されています。
一つは「卵胞ホルモン(エストロゲン)」で、不正出血をおきにくくしてくれます。
もう一つの「黄体ホルモン(プロゲステロン)」は排卵を抑え、子宮内膜が厚くなるのを防ぎます。
経血量を減らし、過多月経や月経痛にも効果があります。月経がなくなる場合も。
2種のホルモンのうち、エストロゲンは血管の中に血のかたまりができる「血栓症」のリスクがわずかながらあります。
そのため40代以降は、プロゲステロンのみが入っている「黄体ホルモン製剤」がおすすめです。
黄体ホルモン製剤には、飲み薬タイプの「経口黄体ホルモン」と、子宮内に装着する「子宮内黄体ホルモン放出システム(ミレーナ)」の2タイプがあります。
経口黄体ホルモンは毎日飲むことになります。一方、「子宮内黄体ホルモン放出システム」は医師に装着してもらう必要がありますが、一度装着すれば最長で5年間効果が持続し、手間や費用を抑えられます。
避妊目的で黄体ホルモン製剤を使う場合も、閉経を迎えれば使う必要はなくなります。
とはいえ、黄体ホルモン製剤を使っていると生理がなくなる場合もあるので、閉経の判断がしにくいもの。
ホットフラッシュなどの更年期症状が出てきたら、一度休薬したり、子宮内に装着した子宮内黄体ホルモン放出システムを取り出したりして、ホルモン量の検査を。
その上で、今後も続けるかどうか医師と相談しましょう。
なお、黄体ホルモン製剤は避妊や月経困難症に使うぶんにはいいのですが、PMS(月経前症候群)を改善する効果は期待できません。
いや、緊急避妊薬市販はともかく
40代で避妊して貰えなくて、、とかほざいてるのさすがに
避妊薬売れば良いってもんじゃないだろこれ、、ドン引き— 。 (@ma1030am) June 7, 2021
ピルとホルモン補充療法はどう違う?
さて、更年期はホットフラッシュやイライラなどさまざまな不快症状に悩まされる人が多く、治療としてホルモン補充療法が効果を上げています。
よく「低用量ピルも女性ホルモン剤だから、更年期症状を抑制する効果がありますか?」と聞かれることがあります。
確かに、エストロゲンが含まれているタイプの低用量ピルであれば、更年期症状に対する効果はあります。
しかし、更年期障害の治療を目的としたものではないので、ホルモンの量が多いんですね。
また、先ほどもお話ししたように、40代以降は血栓症のリスクを考慮して黄体ホルモン製剤に切り替えることが望ましく、この製剤ではエストロゲンの補充はできません。
そのため、黄体ホルモン製剤を使っている場合は、貼り薬やジェルのような経皮薬(皮膚経由で薬効成分が浸透する薬)でエストロゲンを補充するといいでしょう。
経皮薬は肝臓に負担がかからず、ホルモン量も少なめ。血栓症リスクが上がることもありません。
40歳を過ぎると、更年期障害の治療を始めたり、低用量ピルの薬を切り替えたり、婦人科系疾患の相談をしたりと、婦人科を訪れる機会は増えていくことでしょう。
そうした時、相談しやすい婦人科医をもつことは大きな安心感につながります。ぜひ、早めにかかりつけ医を決めておいてくださいね。