みなさんは、夕食を何時頃に食べていますか?

仕事などで早い時間に帰れず、夕食の時間が遅くなる人もいるでしょう。

「食べてすぐに寝ると体に悪い」「寝る前3時間は食べないほうがよい」とよく言われます。

実は、夕食の時間とがんのリスクにも関係があるのです。

がん専門医の佐藤典宏医師に、がんを遠ざける「食事のタイミング」を聞きました

21時半以降に夕食をとるとがんリスクが上がる?

最近、「夕食の時間が遅い人ではがんのリスクが高まる」という研究結果が報告されました。

1日の最後の食事を夜9時半以降に食べる人は、肥満度や睡眠時間とは関係なく、乳がんになるリスクがおよそ1.5倍、前立腺がんになるリスクが2.2倍も高くなることがわかったのです(フランスにおける4万人以上を対象とした研究より)。

また、別の研究では、夕食からベッドに入るまでの時間が短い(2~3時間)人は、長い(4時間以上)人に比べ、大腸がんのリスクが2.5倍も高くなることが示されています。

一方で、スペインでの大規模な研究では、夕食後すぐに寝たグループと比べ、夕食後2時間以上経ってから寝たグループは、乳がんのリスクが16%、前立腺がんのリスクが26%低下していました。

また、午後10時以降に夕食を食べるグループに比べ、午後9時前に夕食を食べるグループでも、同様のがんリスク低下が見られたのです。

つまり、夕食や夜食を遅い時間に摂取すること、また、食後にすぐ寝ることは、乳がん、前立腺がん、および大腸がんのリスクを高めるということです。

それだけではありません。

実は、夜間に食事をすることはがんの再発リスクを高めるという報告があります。

夜間の絶食の長さと乳がんの再発率を調べた研究があります。

米国のカリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームが、早期乳がん患者2413名(平均年齢52.4歳)に対し、約12年間にわたって食事調査を行いました。

夜間の絶食時間(夕食から翌朝の朝食までの時間)が13時間未満だった女性と、13時間以上だった女性を比較したところ、絶食時間が短かった女性のほうが、再発率が36%、死亡率が21%も高かったのです。

なぜ夜遅い食事ががんを引き寄せてしまうのか?

夜間の絶食時間が乳がんの再発・死亡に影響を及ぼす理由の1つとして、血糖値(血液中のブドウ糖の値)が関与していると考えられています。

この研究では、夜間の絶食時間が短い人は、長い人に比べ、平均的に血糖値が高いことがわかりました。

血糖値が高い状態(高血糖)が続くと、がんを進行させることがわかっています。

実際に、血糖値が異常に高い糖尿病患者は、大腸がんやすい臓がんなど、乳がん以外のがんの再発率や死亡率がアップすることもわかっています。

夜間の絶食時間を長く保つことは、がんの患者さんにとって何より大切なことなのです。

さらに、遅い時間に夕食をとると、サーカディアンリズム(概日がいじつリズム)を乱します。

サーカディアンリズムとは、睡眠・覚醒のサイクルをはじめ、体温や血圧、脈拍の調節、およびホルモンの分泌など、体の基本的な活動を約24時間周期で調節してくれるリズムのこと。

「体内時計」とも呼ばれています。

食事を遅くとることによって熟睡できず、サーカディアンリズムが乱れると、ホルモンの分泌量が変化し、乳がんや前立腺がんといったホルモンとの関係が深いがんのリスクが高まる可能性があると考えられています。

寝る直前の食事にも注意

食事を寝る直前にとることは肥満や高血糖につながり、大腸がん、すい臓がん、子宮体がんなどの肥満や糖尿病に関連したがんのリスクも高くなることも明らかとなっています。

いずれにしても、遅い時間の夕食はがんのリスクを高める可能性があります。

可能な限り早い時間に食べるように心がけてください。

また、夕食後すぐに寝るのは避け、できるだけ時間を空けてベッドに入る習慣をつけましょう。

寝る前2~3時間は食べないことを強くおすすめします。

もし仕事の都合などで夕食が遅い時間になってしまった場合は、朝食は遅めにとり、夜間の絶食時間をできるだけ長く保つように心がけてください。

 

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