昭和天皇のご聖断に日本は救われた…

日本の降伏を、国民にどう伝えるか…

御前会議で重臣らを号泣させた「昭和天皇の言葉」

日本という国の現在のあり方を知るためには、その歴史を学ぶことが重要です。

とりわけ、近代化を遂げた日本が、なぜ太平洋戦争という無謀な戦いに突入したのか、

その戦争のさなかにはどのようなことが起きていたのか、

そして、いかにして戦争が終結したかを知ることには、大きな意義があることでしょう。

昭和天皇の知られざる姿

戦時中、国家の意思決定に大きな影響を与えた一人として昭和天皇があげられますが、その昭和天皇が戦中どのようなことをしていたかを知るのに便利なのが、『侍従長の回想』(講談社学術文庫)という本です。

著者の藤田尚徳は、海軍兵学校、海軍大学校を出たあと、海軍省人事局長、海軍省次官などを経て、1944(昭和19)年の8月に天皇の最側近である「侍従長」となった人物です。

本書は、藤田が1961年に侍従長時代のことを振り返ったもの。

本書では、藤田の目から見た昭和天皇の戦時中の日々がつづられており、そこからは天皇の知られざる姿とともに、終戦が近づくなかでの政府中枢の動向が見えてきます。

たとえば、御文庫地下壕(昭和天皇が起居していた防空施設)では、ポツダム宣言を受諾することが決まり、日本が降伏することを国民と軍隊に発表する準備の御前会議が行われていました。

そこで昭和天皇はどのような発言をされたのでしょうか。

侍従長の回想 藤田尚徳 (著) 講談社 (2015/3/11) 1,320円

2014年における史学界最大の話題は『昭和天皇実録』の完成でした。

天皇裕仁の一生と「昭和」という時代をいかに描き、評価するか……。

この点において『実録』編纂者の苦心は並々ならぬものがあったと思われます。

同時にこれを読む側も眼光紙背に徹する必要があります。

そのためにもマッカーサーとの会見など『実録』の資料ともなった本書『侍従長の回想』はきわめて重要なものです。多くの読者の目に触れることを願います。


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昭和天皇のお言葉

「外に別段意見の発言がなければ私の考えを述べる。

反対論の意見はそれぞれよく聞いたが、私の考えはこの前申したことに変りはない。

私は世界の現状と国内の事情とを十分検討した結果、これ以上戦争を続けることは無理だと考える。

国体問題についていろいろ疑義があるとのことであるが、私はこの回答文の文意を通じて、先方は相当好意を持つているものと解釈する。

先方の態度に一抹の不安があるというのも一応もつともだが、私はそう疑いたくない。

要は我が国民全体の信念と覚悟の問題であると思うから、この際先方の申入れを受諾してよろしいと考える、どうか皆もそう考えて貰いたい。

さらに陸海軍の将兵にとつて武装の解除なり保障占領というようなことはまことに堪え難いことで、その心持は私にはよくわかる。しかし自分はいかになろうとも、万民の生命を助けたい。

この上戦争を続けては結局我が邦がまつたく焦土となり、万民にこれ以上苦悩を嘗めさせることは私としてじつに忍び難い。

祖宗の霊にお応えできない。和平の手段によるとしても、素より先方の遣り方に全幅の信頼を措き難いのは当然であるが、日本がまつたく無くなるという結果にくらべて、少しでも種子が残りさえすればさらにまた復興という光明も考えられる。

私は明治大帝が涙をのんで思いきられたる三国干渉当時の御苦衷をしのび、この際耐え難きを耐え、忍び難きを忍び、一致協力将来の回復に立ち直りたいと思う。

今日まで戦場に在つて陣歿(じんぼつ)し、或は殉職して非命に斃(たお)れた者、またその遺族を思うときは悲嘆に堪えぬ次第である。

また戦傷を負い戦災をこうむり、家業を失いたる者の生活に至りては私の深く心配する所である。

この際私としてなすべきことがあれば何でもいとわない。

国民に呼びかけることがよければ私はいつでもマイクの前にも立つ。

一般国民には今まで何も知らせずにいたのであるから、突然この決定を聞く場合動揺も甚しかろう。

陸海軍将兵にはさらに動揺も大きいであろう。

この気持をなだめることは相当困難なことであろうが、どうか私の心持をよく理解して陸海軍大臣は共に努力し、よく治まるようにして貰いたい。

必要あらば自分が親しく説き諭してもかまわない。

この際詔書を出す必要もあろうから、政府はさつそくその起案をしてもらいたい。

以上は私の考えである。」

陛下のお話の途中から、出席者の涕泣する声は次第に高まった。

そして、陛下がわが一身はどうなろうとかまわぬ、国民を戦火から守りたいと言われた頃から、人々は号泣していた。

陛下の聖断が下ってからも出席者の慟哭する声は、次室の侍従たちの所まで聞えた。

ネットの声

「国際的には敗戦に際し殆ど唯一保身に走らなかった皇帝と言われる所以ですよね。その天皇陛下のご覚悟により最終的には日本国と国民の今日が保持されることになった訳です。敗戦はありましたが、昭和天皇は難しい時代を乗り越えられた名君と思います。」

「戦争を終わる事は始める事より難しい。このお言葉がなかったら、あと何百万人の命が必要であったか計り知れない。次の戦争に備え、始める準備は徐々に進められているが、終わる準備は全く想定されていない。」

「玉音放送での終戦の詔って、恐らくはこの御前会議での発言が元となっていますよね。
この時既に「耐え難きを耐え、忍び難きを忍び」と言っているのが興味深いところです。

実際の玉音放送を聞いてみると、緊張されているのか基本棒読みでしかも文章が格式の高すぎる、一般人が普段使わない言葉のオンパレードですから何を言われているのかサッパリ判らなかったという話を、大変良く聞くます。しかし、この耐え難きをの部分だけは、「耐え難きを・・・耐え」という感じで感情のこもった、それゆえにだと思いますが「耐え」の手前で少しつまった言い回しでここだけは何を言っているのが良く判り、それで終戦を理解できたという方が大勢いらっしゃったとか。」

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