ホンダはまたF1に戻ってくる…ハズ

ホンダがF1に戻ってくる日は近い?

日本GPタイトルスポンサー決定の裏にあるもの

モータースポーツは、まさに「金」と密接に関係がある世界です。

最近、日本のF1ファンを喜ばせたニュースは、2022年F1日本グランプリ(GP)のタイトルスポンサーにホンダが決まったことではないでしょうか。

ホンダは20年10月2日に21年シーズン限りでのF1完全撤退を発表しました。

それだけに、一体どんな変化があったのかと思う人も多いでしょう。

この世のさたは金次第

ホンダに「金」の余裕が生まれたのだなと確信。

過去のF1活動も、参戦と撤退は常にホンダの業績と連動していました。

F1活動はまさに金を「湯水のよう」に使います。

当然のように、ホンダ本体の業績の影響を大きく受けることになります。

このことはホンダが発表している決算報告書を見れば一目瞭然です。

じつはホンダのF1撤退は19年から関係者の間でうわさになっていました。

その時は何とか延命が決まり20年シーズンを迎えることができたのです。

しかし、その年の10月に力尽きて完全撤退した格好となりました。

その裏側も決算報告書を見れば透けて見えます。

19年3月におけるホンダ株の配当(年間)を見ると、1株で345.99円を稼ぎ、111円の配当を行いました。

配当性向(連結)は32.1%です。

それが、1年後の20年3月で見ると、1株当たりの稼ぎは260.13円と大きく減少したのに配当は19年を上回る112円だったのです。

配当性向(連結)は43.1%に跳ね上がりました。

さらに新型コロナウイルスの影響で、21年3月の配当金予想の発表をしませんでした。

資産の増減を示す指標の包括利益は18年度が7026億円増だったのに対して、19年度は587億円増と急激に落ち込みました。

当然コストカットを全部署に発令していたはずです。

加えて、カーボンニュートラルという逃げることが許されない課題も控えています。

結果、F1完全撤退の決定が下されたと想像するのは難しくないでしょう。

ホンダの稼ぎは2輪>四輪だった…

肝心の4輪事業がまるで稼げてなかったことがF1活動にとって逆風となったのです。

2輪事業と比較すると19年度の4輪事業営業利益は1533億円(2輪は2856億円)、20年度の営業利益は902億円(2輪は2246億円)となっていて、ホンダの稼ぎは2輪事業と金融サービス事業で成り立っている状態でした。

これではF1からの完全撤退を通告されても反論できないでしょう。

今なお、新型コロナウイルスは収まっていません。

世界的な半導体不足による工場停止が何度も続いています。

このように、自動車業界の生産状況は決して安定しているとは言えない状況です。

しかし、決算報告書を見ると違った面が見えてくるのです。

まず収益性が高くなっています。

22年3月のホンダ株の配当(年間)を見ると1株で441.09円を稼ぎ、120円の配当を行いました。

配当性向(連結)は29.2%です。

しかも、ホンダは5月13日に直近の配当予想だった55円から65円へ増配して年間120円配当としたほど。

それでも配当性向(連結)は30%を超えなかったのです。

それは包括利益にも現れています。

21年度の資産の増減、そして企業の成長力を測る指標でもある包括利益は1兆6957億円と激増しています。

19年度の28.88倍です。

先行きも明るいものがあります。

日米の金利差などから当面円安基調は変わらないと予測されて、世界的半導体需給も改善されていくでしょう。

つまり、もっと稼げるようになります。

結果、さまざまな分野への投資や販促に力を入れていくことが可能になるのです。

今回の日本GPタイトルスポンサー決定はそののろしとも言えるものではないでしょう。

もちろん、ホンダがF1からの完全撤退を撤回したわけではありません。

そぁそ、F1を取り巻く環境は明らかに変化しています

。新型コロナウイルスが登場する前の熱気を取り戻しつつあるのです。

F1人気の高まりが後押し!?

世界販売台数でトヨタ自動車と覇を競っているフォルクスワーゲン(VW)グループ傘下のアウディとポルシェが26年からのF1参戦を発表しました。

動画配信大手ネットフリックスが放送しているドキュメンタリー番組の人気に引っ張られるように、米国を筆頭にF1人気が高まっています。

事実、チケットが売り切れるのは高額なものからです。

F1に対する世界からのリベンジ消費は想像を超えています。

予想でしかありませんが、今回のホンダによる日本GPタイトルスポンサー決定は未来への足掛かりというか、観測気球を上げたのではないかと思われます。

ホンダがF1で積み重ねてきたブランド価値と歴史を考えれば、世界的マーケティングなチャンスをみすみす逃すのは企業としては誤った戦略だからです。

昨シーズンでF1から撤退したばかりなのに、再挑戦を明らかにするのは言うまでもなく簡単ではありません。

しかしながら、世界情勢は常に大きく変化しています。

であれば、“朝令暮改”をいとわない姿勢をホンダにはぜひとも見せてほしいものです。

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