近年は邦画ががんばってる!逆に洋画は低迷してる現状も…

映画界はすっかり「邦高洋低」が定着…

「名探偵コナン」歴代1位スタートの陰で“ハリウッド俳優”来日も激減した洋画のさみしすぎる現状

主演する最新作映画「ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング」(5月23日公開)を引っ提げ、米俳優トム・クルーズ(62)の3年ぶり25回目となる来日が発表された。

ゴールデンウイークの最終日、5月6日にはジャパンプレミアを開催し、ほかのキャスト陣や監督も来日するという。

洋画のPR活動が減っている

同作をPRするワールドツアーの皮切りに選んだ日本のファンに向け、トムは

「日本のみなさん、5月に来日することになりました。また会えるのをとても楽しみにしています。美しい都市 東京へ、『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』をお届けします。すぐにお会いしましょう。ありがとう」

とコメントを寄せた。

「前回の来日は2022年5月。『トップガン』(86年)の36年ぶりの続編となる『トップガン マーヴェリック』のジャパンプレミアでした。予定時間を大幅に超えて、会場に足を運んだファンにサインや握手で交流する神対応を見せました。そうしたPRのおかげで、同作は国内公開作品では歴代20位(日本映画製作者連盟=映連調べ、4月14日まで)となる興行収入138.1億円の大ヒットとなりました。とはいえ、ハリウッドの大スターで、こうした地道なPR活動を行うのは、いまやトムぐらいです」(映画担当記者)

「ミッション」シリーズの前作「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」は、全米俳優組合のストライキ問題があり、トムの来日は叶わなかった。それでも興収は53億円のヒット作に。

「前作超えは確実でしょう。いや、むしろ稼いでもらわないと、今の映画界の問題点が変わらないままになってしまいますから」(映画担当記者)

「映画界の問題点」とは、作品興収の上位に邦画ばかりが目立ち、洋画は苦戦気味という“邦高洋低”の状態だ。

それは今年に入ってからも変わっていない。

「ドラえもん」の劇場版最新作は約42億円突破(4月20日まで、以下同)。

「機動戦士Gundam GQuuuuuuX Beginning」が約33億円突破。

松たか子の好演が話題になっている「ファーストキス 1ST KISS」が約27億円突破。

人気バンド・HYの名曲をモチーフにした「366日」が約25億円突破。

「一方、洋画では『ウィキッド ふたりの魔女』が約29億円突破と健闘しているものの、実写版『白雪姫』は大苦戦で、ヒットの基準となる10億円に達していません」(映画業界関係者)

洋画が強かった時代

映連が統計を公開している1955年以降のデータを見ると、かつて「娯楽の中心」だった映画の国内公開本数の割合は7:3もしくは6:4で、邦画が圧倒的にリードしていた。

しかし、映画館数(スクリーン)は1960年の7457をピークに徐々に減り、87年には約7割減の2053にまでダウン。

さらに同年、劇場公開された637作品のうち邦画は286本、洋画は351本。

統計開始以来、初めて洋画が邦画を上回った。

「徐々に洋画人気の兆しが訪れたのが80年代です。『E.T.』(82年)、『ゴーストバスターズ』シリーズや『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズなどが、次々にヒットしました。洋高邦低が決定的になった87年を例にとると、邦画でヒットしたのは『ハチ公物語』、『マルサの女』、『竹取物語』など。それに対し、(映連の統計では86年12月の公開なので87年の統計に入っている)『トップガン』、さらに『プラトーン』、『アンタッチャブル』、『ビバリーヒルズ・コップ2』など、ヒットはもちろん、今もファンの間で語り継がれる名作が揃っています。また国内では家庭用ビデオデッキの普及により、レンタルビデオ店が出現しました。劇場に行かなくても洋画に触れる機会が多くなり、お目当てのハリウッドスターを見ようと、劇場に足を運ぶファンが増えたのが、洋画市場が勢いづいた理由です」(ベテラン映画記者)

また、80年~90年代にかけては、日本人にも馴染みのあるスター俳優が数多くいた。

「酔拳」「スパルタンX」「プロジェクトA」が日本でもヒットしハリウッド進出を果たしたジャッキー・チェン(71)。

「ターミネーター」シリーズを代表作に持つ、元ボディービル世界王者から俳優に転身し、米・カリフォルニア州知事も務めたアーノルド・シュワルツェネッガー(77)。

「ロッキー」と「ランボー」が人気シリーズのシルヴェスター・スタローン(78)……彼らに共通しているのは、いずれも親日家として知られ、何度も来日を果たしていることだ。

「87年以降の“洋高邦低”が続く中で、97年に公開されたレオナルド・ディカプリオ主演の『タイタニック』は、国内公開の洋画では現在も1位の興収277.7億円(映連調べ、以下同じ)を記録。2014年にディズニーアニメ『アナと雪の女王』がメガヒット作となりましたが興収は255億円で『タイタニック』には届きませんでした」(同前)

「タイタニック」以降も、2000年代前半までは「ハリー・ポッター」シリーズ、「マトリックス」シリーズ、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ、「スパイダーマン」シリーズ、「A.I.」(01年)、「モンスターズ・インク」(02年)、「ラストサムライ」(03年)、「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち」(同)など、ほぼ毎年のように大型ハリウッド作品がヒットした。

ディカプリオの他にも、ジョニー・デップ(61)、ブラッド・ピット(61)ら、新たなハリウッドスターも来日する度に話題になっていた。

ところが、06年の公開本数は邦画が417本、洋画が404本で、87年以来19年ぶりに邦画が洋画を上回った。また、全体の興収のうち邦画は1079.4億円、洋画は940.9億円となった。

この年、映画市場に何があったのだろうか。

邦画の巻き返し

「邦画は興収76.5億円のジブリアニメ『ゲド戦記』を筆頭に、『LIMIT OF LOVE 海猿』、(05年12月公開で統計が06年の)『男たちの大和/YAMATO』など、興収50億円超えが7本。また、いずれもロングランの劇場版シリーズ『ポケットモンスター』『ドラえもん』『名探偵コナン』など、同30億円超えが4本と活況でした」(配給会社関係者))

対する洋画は、「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」と「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」がいずれも100億円超え、「ダ・ヴィンチ・コード」も90億円超えだったものの、50億円超えは5本。10?20億円台にとどまった作品が多く、トータルでは邦画が上回った。

「『ゲド戦記』は、出せば必ず当たったジブリ作品。『海猿』は、伊藤英明主演のフジテレビ系でヒットしたドラマの初の劇場版。『大和』は終戦60周年記念作として、東映と映画界に一時代を築いた角川春樹氏の協力タッグでプロモーション活動に力を入れ、作品のクオリティーも高く、ヒットにつながりました」(前出・関係者)

08年以後は、公開本数と興収ともに邦画が洋画を上回り続け、本数・興収のシェアは6:4前後で推移していた。

しかし、20年にコロナ禍の影響でハリウッドでの製作がストップしていた時期もあり、洋画の割合は7:3~8:2まで落ち込んでしまった。

「懐かしい話ですが、20年ほど前は、特に外資系映画会社は予算が潤沢だったので、トム、ブラピ、WWEのトップレスラーから俳優に転向し“世界一稼ぐ男”となったドウェイン・ジョンソンらのインタビュー取材のため、各媒体の記者を海外に連れて行っていました。しかし、最近はそんな取材も、スターたちが来日することもほぼなくなりました。今年では、ボブ・ディランの半生を描いた2月公開の『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』に主演のティモシー・シャラメがジャパンプレミアで来日。イベントは盛り上がりましたが、映画のヒットにはつながりませんでした。最初からヒットの見込みがないと判断すると、配給元は宣伝費をかけません。主演のスターや監督らを海外から呼んでイベントを行うこともなくなるでしょう。結果、ますます洋画の興収減に拍車をかけることになります」(映画専門誌編集者)

洋画ファンは配信へ

コロナ禍以降に公開された洋画のヒット作は「トップガン」続編以外では、世界的人気ゲームを映画化し興収140.2億円の「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」(23年)、人気シリーズ最新作「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」(同)の63.2億円が目立つぐらい。

一方、邦画は国内の最高興収となる404.3億円を記録した「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」(20年)を筆頭に、劇場版を重ねる度に興収を伸ばしている「名探偵コナン」シリーズやジブリ作品、そして劇場版「THE FIRST SLAM DUNK」(22年)の164.8億円など、アニメ作品が快進撃を続けている。

実写では山崎賢人主演で、これも人気コミックの実写版「キングダム 大将軍の帰還」(24年)が80.3億円。

米の「第96回アカデミー賞」で邦画・アジア映画史上初の視覚効果賞を受賞したゴジラシリーズの最新作「ゴジラ-1.0」(23年)が76.5億円を記録した。

昨年の公開本数は、統計以来過去最高となる19年の689本に次ぐ685本を記録し、洋画も年々増え続け505本の計1190本。

興収も邦画が過去最高の1558億円を記録。対する洋画は511.8億円。

ほぼトリプルスコアだった。

なぜ、ここまで日本で洋画の動員が落ち込んでしまったのだろうか。

「思い返せば、『ジョーズ』、『E.T.』、『ゴーストバスターズ』、『ターミネーター』などは、家族そろって何も考えずにただ楽しめる作品でした。さらに、ホラー好きな人は『13日の金曜日』シリーズ、SFもホラーも好きな人は『エイリアン』シリーズなど、それぞれにハマるジャンルがありました。ところが最近は、『スター・ウォーズ』シリーズやディズニーにアニメなど、観客層が絞り込まれてしまう作品が多い。また、Netflixなど動画配信サービスのオリジナル作品の方が多種多様なので、映画を見るよりもそちらで楽しむ人が増えました」(前出・専門誌編集者)

相変わらず、ハリウッドの製作費は飛び抜けている。だが、それをうまく切り盛りしてヒット作を生み出したジョージ・ルーカス、スティーヴン・スピルバーグ、ジェームズ・キャメロンといった、才能あふれるクリエイターの後継者がなかなか現れない現状もあるという。

「日本で絶大な知名度を誇る、新たなハリウッドスターも現れていません。日本でのプロモーションが縮小してしまったことにもそれは大きく関係しています。また、米の『アカデミー賞』受賞作品も、大衆娯楽的ではなく主義主張のある作品がメインになり、日本ではあまりヒットしなくなりました。今後、海外の作品を日本で流行らせようと思ったら、真田広之さんのように、日本に縁の深い俳優がかかわっている作品を逆輸入するのがベストではないでしょうか」(前出・映画担当記者)

ネットの声

「大規模な映画館はどこも似たような作品しか上映せず、しかも日本のアニメと邦画ばかり。向こうもビジネスなのでヒットしそうな作品しか上映しないのは理解できます。
私はコナン作品は世代じゃないので見たことがないけど、お客を引きつける魅力がきっとあるんでしょうね。
今はネットの配信サービスで見たい映画を見たり、海外に行って地元の映画館で色んな作品を見て楽しんでいます。
日本はミニシアターがなくなったり経営が大変だったりと、良質な作品に触れる機会が少しづつ減っている気がします。」

「80後半?90年代たくさんの洋画を観てきました。映画館では予告編見てまた次の映画も観たくなり年間20作くらい通った年もありました。結婚して子供とも、ディズニーやドリームワークス作品、SWシリーズでも親子で楽しませてもらいました。今は年末年始もGWも本当に観たくなるような洋画がないのが残念です。我が子は親の好みの映画を観て育ったので洋画好きなのですが、周りに一緒に観に行ってくれる友達が少なく、洋画は親子でたまに友達に付き合って邦画観に行ってます。
まだまだワクワクするような新作洋画を観たいです。」

「テレビでやらなくなったのが大きいと思うよ。日曜洋画劇場も無くなって金ローもディズニーやジブリが増えた。コナンは毎週テレビて長年やってるし子供から大人まで馴染みがある。
サブスクで観れると言っても自国の文化じゃない異国の馴染みが無いものに自分からアクセスするのはちょっと厳しい。
やっぱり偶然テレビつけたらなんか面白そうな映画やってるみたいな偶然盧出会いってもんが需要だったんだと思うわ。」

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