砲丸投げの砲丸は日本製…世界に選ばれる18,000円の球体の秘密

日本製の「砲丸投げの砲丸」はなぜ世界に選ばれるのか ルール変更に惑わされ辿り着いた“18000円”の球体の秘密

人類は投げるのが上手い

私たち人類には、生き物の中で投げること、つまり投擲が上手いという特徴があります。

走りや泳ぎでは負けても、投擲は無敵なのです。

“人類のお家芸”投擲から砲丸をピックアップ。

男子一流選手の多くが愛用するニシ・スポーツの『F251』は、税別1万8000円。

直径125.5mmで重さ7.260kg、鋳鉄でできているのです。

脚光を浴びたのはアトランタ五輪

ちなみに一般男子用の砲丸は7.260kgと重さが決まっているのですが、直径は110mmから130mmと、20mmの幅が許されています。

同社では、その範囲内で大中小3種類の砲丸を生産。

素材はすべて鋳鉄で、大は中心を空洞化(発泡系の軽い素材を詰める)、中は空洞なし、小は中心に重い鉛を入れることで重さを揃えています。

すでに半世紀以上、砲丸の生産を続けているニシ・スポーツですが、いつも業界の先頭を走り続けてきたわけではありません。

同社の砲丸が脚光を浴びたのは、1996年アトランタ五輪。

アメリカのバーンズが優勝し、「“ついにウチの砲丸で金メダリストが生まれた! ”と社内が沸きました」と第一開発部マネージャーの木村裕次氏は振り返ります。

最大の強みであった切削痕に唐突な規定

大本命バーンズが同社の砲丸を愛用したのは理由があるのです。

それは、表面に世界で唯一、「切削痕」が施されていたからです。

「弊社では旋盤で砲丸を球体に削るとき、表面にらせん状の溝を残す加工をしていました。その切削痕のおかげで、“ひっかかりが良くて投げやすい”と好評を博しました。砲丸を遠くに飛ばすには、重心に向かって最後の最後まで指で押し出すことが重要ですから」

しかし、2000年シドニー五輪の翌年から冬の時代が訪れます。

「表面が滑らかでなくてはならない」という規則が唐突に定められ、最大の強みであった切削痕がNGとなったのです。

しかし、一度沈んだニシ・スポーツの砲丸が、'07年世界陸上大阪大会を機に再浮上します。

飛ぶ砲丸には、完全な球体であることに加えて大切な条件がふたつあるのです。

重心が寸分の狂いなく中心にあること、そして指にひっかかること。

ニシ・スポーツは、この2点、とくに後者を徹底して突きつめたのです。

「一流選手は一度触れただけで、良し悪しを判断します。一般的に金属は高強度のものが好まれますが、砲丸はそうでもありません。素材の感触を試行錯誤した結果、大阪世界陸上で表彰台を独占することができたのです」

以来、ニシ・スポーツは世界陸上、五輪の表彰台の最上位を一度も明け渡していません。

ネットの声

「ニシスポーツさんの努力には敬意を評します。一方でいつも思うのは、日本の技術などの優位性が欧米のルール変更で割りを食うの、何とかできないものかということです。柔道などスポーツもそうですが、F1なんかでもあったと記憶してます。欧米人と仕事してても思いますが、自分たちがそのままでは勝てないと思うと、ルールを変更して勝とうとするのは国民性の違いなんでしょうかね。」

「軽い成分と重い成分が完全に均等に混じってるワケではない合金をバランス良く球に削りだしていく技術が凄い匠の技。ニシに勝てないから公式球諦めて練習球しか作らなくなった会社もあるんでしょ。余談ですがweightリフティング公式バーベルは昔いくつか会社作ってましたが、求められるクオリティが高すぎて今は日本と中国とスウェーデンで一社ずつになりました。」

「ニシスポーツの砲丸?有限会社辻谷工業の辻谷政久さんの砲丸と違うのかな。だいぶ前だけれども、TVで同じ様な事を言っていたけれども、砲丸の直径は125.5ミリ、真円度は直径0.5ミリ以内。汎用旋盤で一個一個手作りだった。そのように当時伝えていたようだった。亡くなられてはいられますがもう少し職人についても書き加えて欲しい。もしお暇な方がお読みでしたら是非、『辻谷の砲丸』でお調べ下さい。凄く男気な人で有る事が分かります。」

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