
波乱のフランスGP制したザルコ。
魔法のような勝利がホンダのファクトリー昇格の追い風に?
MotoGP第6戦フランスGPの勝者であるヨハン・ザルコ(LCRホンダ)は、2026年にホンダのファクトリーチームにステップアップするための助けになると考えている。
目次
はっきりしない天気が明暗を分ける
フランスGPは、各ライダーが雨に翻弄されるレースとなり、スタート直前のウォームアップラップで雨用のバイクに乗り換えるライダーが続出。赤旗掲示でスタート手順が中断されることになった。
クイックスタートで仕切り直しとなったが、再び多くのライダーがペナルティ覚悟でウォームアップラップ後にピットインし、今度はスリックタイヤを履いたバイクに乗り換えた。
しかしレース中に雨が再び強まり、スリックタイヤでスタートしたライダーはピットインを余儀なくされることに。結果的には、レインタイヤでスタートを切ったライダーが正解となった。
ザルコはその正解を出したライダーのひとりであると同時に、雨の中で随一のペースを発揮。他を寄せ付けず、2位のマルク・マルケス(ドゥカティ)に20秒近い差をつけて優勝を果たした。
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— MotoGP??? (@MotoGP) May 11, 2025
ホンダとは相思相愛
この勝利は、ザルコのキャリアのハイライトとして語り継がれるだろう。
2023年のオーストラリアGPに続いてのMotoGP2勝目というだけでなく、フランスGPをフランス人ライダーが制したのは、1954年ピエール・モヌレ以来の71年ぶり2人目という記念すべき勝利だった。
「オートバイの歴史が好きだから誇りに思うよ」とザルコは語った。
「ビッグネームも知っているし、昔のレースも見てきた。ずっと興味を持ってきたからね。今日、フランス人ライダーがフランスGPで優勝するという、(歴史に)ラインを引くことができるなんて……まさにマジックだよ」
LCRの代表であるルーチョ・チェッキネロが、ザルコがチームから離れることは「意味がない」と発言するなか、ザルコは週末前にホンダのファクトリーチーム昇格への願望を語っていた。
フランスGPのレース後記者会見でこの勝利がファクトリーチームのシート獲得のチャンスにつながると思うかと尋ねられたザルコは、次のように答えた。
「たぶんね! ホンダとの話し合いは、優勝する前からとてもとてもいい感じだった。なぜなら僕が彼らと、チームとやっている仕事と、その仕事の仕方やフィーリングが……とてもハッピーだからだ」
「だから僕はホンダに残るだろう。ホンダが本当に何を望んでいるのか待っているところだ。ルーチョともはっきり話している。LCRでもホンダの全面的なサポートがある……しかし、明らかに勝利はそれ以上のものを与えてくれる」
「だからどうなるか見てみよう。話し合いはとても前向きだ。今や(自分がどこにいくのか分かるまで)時間の問題だろう」
A winning backflip in front of a record home crowd ??
Dream fulfilled! ??#FrenchGP ???? pic.twitter.com/gwutPxgH3I
— MotoGP??? (@MotoGP) May 11, 2025
ホンダの勝利は2年ぶり
ル・マンでのザルコの成功は、復活の道半ばにあるホンダ陣営を引っ張るライダーとなった今季の新たな1ページに過ぎない。
ホンダにとって、優勝は2023年のアメリカズGPをアレックス・リンスが制して以来、丸2年ぶりだ。
ザルコは現在72ポイントを獲得しており、ホンダのファクトリーライダーを大きく引き離している。
ルカ・マリーニは37ポイントで、ファクトリー・チームメイトのジョアン・ミルは12ポイントにとどまっている。
フランスGPでワイルドカード参戦した中上貴晶が6位で10ポイントを獲得し、ミルのポイントを一気に追い抜くところだった。
マリーニとの契約が今季限りで切れるため、ザルコが2026年にファクトリーチームに招集されるとすれば、その後任となる可能性が高い。
Simply MAGNIFIQUE ???#FrenchGP ???? pic.twitter.com/G9dZJif4u4
— MotoGP??? (@MotoGP) May 11, 2025
ネットの声
「ザルコはかつての日本人ライダー(坂田、若井など)に対してリスペクトが大きい選手。
かつてヘルメットに旭日旗デザインを入れていたくらいに。
そんなザルコはホンダ、特にホンダワークスに対する想いも強いと思う。
最高峰クラスのホンダワークス。
それはかつてスペンサー、ガードナー、ローソン、ドゥーハン、ロッシ、ストーナー、そしてマルクなど、錚々たるレジェンド達が所属したチーム。
現状はさておき、ホンダワークスという言葉に胸が高鳴る気持ちはわかる。」「ホンダはドカティに連勝記録を追いつかれ、誰もが追い越されると思っていたが、まさかのザルコが優勝し阻止してくれた。この恩は大きいでしょう。しかも去年は8耐にまで積極的に参加し優勝してくれた。今年も8耐に出ると言ってくれている。これにホンダは礼をつくさずにはいられないでしょうね。」
「ザルコ、バンザイ!ホンダ、バンザイ!おめでとう、おめでとう、おめでとう!
屈辱の日々を耐え抜いて、ついにホンダが表彰台の一番上に戻った!次はドライコンディションのレースで真っ向から勝負だ。」