帰ってきたウルトラマン…初代ウルトラマンの続編的な存在ですが、初代ウルトラマンとは別人です。そのため、「帰ってきた」は名前ではなく、新ウルトラマンと呼ばれることも多く、2021年に公開される「シン・ウルトラマン」を帰ってきたウルトラマンの映画化と思っている人も少なくないようです

ウルトラ兄弟の中で唯一名前がない??

ゴジラを現代に蘇らせて大ヒットしたのが「シン・ゴジラ」(2016年公開)です。庵野秀明(企画・脚本)&樋口真嗣監督コンビによる大ヒット映画となったのですが、同じコンビで『シン・ウルトラマン』が2021年に劇場公開されることが発表されました。

人気キャストである、斎藤工、長澤まさみ、西島秀俊らが名前を連ねていることも早くも話題となっているのですが、特撮シーンに並々ならぬこだわりを持つ庵野&樋口コンビだけに、新しくなったウルトラマンがどんな活躍を見せるのか、今から興味津々といったところです。

円谷プロの公式サイト「円谷ステーション」でも、2019年8月1日に『シン・ウルトラマン』について触れられています。

それによると

「昭和41年(1966年)に放送された「ウルトラマン」を『シン・ウルトラマン』として映画化することが決定しました。」

とあります。

これを読んで「えっ?」と思った人もいたようです。

というのも、以前からアナウンスされていた『シン・ウルトラマン』というタイトルから、『新ウルトラマン』=『帰ってきたウルトラマン』がリメイクされると思っていた人も少なくなかったからです

シンは「シン・ゴジラ」のときに説明されています。

「これは、庵野総監督のアイディアです。“新、真、神…”見る人にさまざまなことを感じてもらいたいということで、正解があるわけではありません」

ということなので、はっきりとしたものではないのですが、「シン・ウルトラマン」は説明にもあったように初代ウルトラマンを指していることだけははっきりとしています


このことから、「帰ってきたウルトラマン」のことではない…ということになります。

しかし、このことが逆に「帰ってきたウルトラマン」が脚光を浴びてしまう形となったのです。

「そういえば『帰ってきたウルトラマン』あったよね」

「面白かったよね」

という声が多いのです。

「新マン」「帰マン」の略称で知られる『帰ってきたウルトラマン』は、『ウルトラマン』『ウルトラセブン』に続くウルトラヒーローとして、3年の空白を経て製作されたシリーズ第3作です。

しかし、抜群の知名度を誇る「初代」や「セブン」に比べて、かなり不憫なヒーローでもあったのです。

いちばんの不憫さは、名前がなかったことでしょう。

タイトルには『帰ってきた』と謳っているのですが、久々に地球に現われたウルトラマンは「初代」とはデザインが微妙に異なる別人だったのです。

もちろん、設定上からも別人であることははっきりしていたのですが、劇中でも「ウルトラマン」と呼ばれるだけで、これでは名前が被ってしまいます

1971年4月~72年3月のTBSでのテレビ放映時には名前がなく、学年誌などには「新マン」「帰マン」と略称で紹介され続けたのです。

スーパーヒーローなのに「帰マン」という呼び方は、当時としてもどうにかならなかったのでしょうか。

後にウルトラ兄弟が集結する設定が一般化してからというもの、「ウルトラマンジャック」という名前が便宜的につけられたのですが、オンエア時はそれこそ「名前のないヒーロー」だったのです。

ヒロインの途中降板があった!

初代ウルトラマンやセブンのような変身アイテムがないのも「帰ってきたウルトラマン」にとっては不憫でした。

自動車整備士として働く主人公・郷秀樹(団時朗)は自分の意志では変身できなかったのです。

怪獣が目前に迫るといった生命の危険にさらされることでようやく変身することができました。

そのため、怪獣がすぐ近くにいないときは、ビルの屋上から飛び降りるなど自殺まがいの行為で変身するしかなかったのです。

「初代」や「セブン」を再放送でしか観ていない遅れてきた怪獣世代にとって、思わず応援したくなる魅力が「帰マン」にはありました。

憫なエピソードの極めつけが、ナックル星人が登場する第37話「ウルトラマン夕日に死す」(1971年12月放映)でしょう。

郷と相思相愛の仲だった坂田アキ(榊原るみ)とその兄・坂田健(岸田森)は、ナックル星人によって謀殺されてしまうのです

最愛の恋人・アキ、兄同然に慕っていた健を同時に失った郷は変身して戦いに挑むものの、精神的動揺を狙ったナックル星人のずる賢さの前に完膚なきまでに叩き伏せられるといった、衝撃的な内容でした。

それでも、当時の子どもたちは知っていたのです。非業の死を遂げたアキ役の榊原るみは1971年10月から始まったコメディドラマ『気になる嫁さん』(日本テレビ系)に出演するようになっていたことを…。

「裏番組が忙しくなったから、途中降板したんだな」

と、子ども心に大人の事情を察していたのです。

帰ってきたウルトラマンは隠れた名作

それでは、『帰ってきたウルトラマン』が残念なシリーズだったかというと決してそんなことはありません

メインライターを務めた上原正三は、『ウルトラマン』『ウルトラセブン』の脚本家として大活躍した金城哲夫と同世代、同じ沖縄県出身でした。

金城が『ウルトラセブン』の名作「ノンマルトの使者」を残したように、上原も問題意識のあるエピソードを数多く書き残しています。

中でも『帰ってきたウルトラマン』の第33話「怪獣使いと少年」は歴代ウルトラマンシリーズ上、屈指の名エピソードとして語り継がれています


怪獣や宇宙人よりも、暴徒化した人間のほうがずっと恐ろしいというヘイトクライムを題材にした問題作です。ウルトラマンフリークで未見の方はぜひ一度ご覧ください。

庵野&樋口コンビによる『シン・ウルトラマン』がどのような内容になるのか、詳細は明かされていません。

庵野監督はDAICON FILM時代に8ミリフィルムで自主映画『帰ってきたウルトラマン マットアロー1号発進命令』(83年)を総監督&主演したことでも知られています

『シン・ウルトラマン』に「帰マン」オマージュは果たしてあるのか、今から気になるところです。

ネットの反応

「後でとってつけたようなウルトラマンジャックは馴染めなかった…」

「50代の中年親父にとっては帰マンがリアルタイムでみたウルトラマン第一号…すごく面白かった」

「帰マンがナックル星人にやられて次の回がどうなるのか待ち遠しかった。初代マンとセブンが出てきたのはクリスマスのサプライズプレゼントだった」

不憫どころか帰ってきたウルトラマンの評価は高いですよ。シン・ウルトラマンも期待大ですね。

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