
いまだ収束の見えない「かんぽの不適切販売」。
かんぽ生命と日本郵便には一部業務停止命令が出され、グループ3社首脳は退陣。
日本郵政の新社長には元総務相の増田寛也氏が就任し、調査を拡大する方針を示しました。
しかし、不正はまだ埋もれているとされています。
いったいどうしてこのような不適切販売が広まったのでしょうか。
年金月18万円なのに保険料は40万円近く
「かんぽ」「かんぽ」「かんぽ」「アフラック」「アフラック」……。
70代後半の男性の通帳には、保険料の支払い記録がずらっと並びます。
多いときは1カ月の支払いが10本以上。
年金が月18万円なのに、保険料は40万円近くにのぼっていたのです。
2018年冬、一人暮らしの男性の自宅を長女が訪れた際、新聞やチラシに埋もれた通知を見つけました。
それがゆうちょ銀行の明細だったのです。
「お父さん、これ何?」
異常な数の保険を不思議に思ったのですが、父は「郵便局がちゃんとやってくれているから大丈夫だ」。
そう言われ、それ以上は聞けなかったというのです。
認知症で何口加入しているかもわからない
2019年6月下旬、不適切販売が報道されると、長女は「やはり」と嫌な予感がしました。
「保険証券と通帳を全部見せて」
そう父に迫ると、自分が何口加入しているかさえも知らない様子。
その後、父は数年前から認知症だったと診断されたのです。
郵便局へ問い合わせ、説明に来た局員にただしたが、「お父様のご希望でご案内しました」の一点張り。
直近に入った保険はいずれも契約から3年目で解約され、不審な点がありました。
契約から2年以内の解約だと、局員は営業手当を返すルールだが、それ以降は免れられる。
手当めあての疑いが消えなかったのです。
経緯を尋ねると、「支払いが難しいと言われた」と局員は説明。
ただ、直後に同じ局でアフラックのがん保険に入っていたのです。
茶番のような聞き取り調査
かんぽの社員から後日、調査の日程調整の電話が長女にありました。
「親族も同席したい」そう告げると、「ご本人にしか聞き取らないので、ご家族の意見は伺いませんよ」との返答。
不信感が増したのは言うまでもありません。
調査の当日、一人で来た社員が聞き取りを始めました。
社員「契約の意向はありましたか?」
男性「覚えていない」
社員「どのような勧誘を受けました?」
男性「よく、覚えていない」
所定の質問事項を順に読み上げる。
認知症の男性から確かな回答はほとんどないのですが、黙々と書き込む社員。
「茶番」のようなやりとりだったのです。
一つの契約を聞き終えると、残りの複数の契約は尋ねず、同じ内容の答えをその場で書類に写したのです。
「高齢者の方は郵便局のファン。この方々が生きている間は郵便局を助けてくれる」。
日本郵便の横山邦男社長の言葉です。
しかし、現場ではその根底が揺らいでいました。
長女の悔しさは消えません。
「郵便局の人でなかったら、父は家にあげなかった。信頼を裏切られ、『食いもの』にされてしまった」
ネットの反応
「こんなのは日常茶飯事起きているでしょう。高齢化社会で尚更増えてしまうと思いますが。かんぽ生命も厳しいノルマもたいがいにしないと、結局自分で自分の首を絞める結果になります。」
「少なくとも決裁印を押す、課長や部長クラスは不正を知っている。これは、かんぽ生命ぐるみの犯罪。」
「問題はかんぽだけではない。全ての金融機関だ。リテラシーの低い顧客に質の悪い金融商品を売りつけている金融機関はごまんとある。単に違法ではないというだけの不誠実がまかり通っている。客の利益と金融機関の利益が相反するビジネスモデルである限り、このような問題は起き続けるだろう。」
「郵政公社時代に在籍してましたけど。優積者の人達は大抵際どい営業してましたよ。そんなの上部でもわかっているんでしょうけど。評価されるんですな」
こんな被害を受けた高齢者がゴロゴロいるんですよ…。