若い世代を中心に「コツコツ投資」に取り組む動きが出てきました。

株式などの市場平均並みの収益を目指す「インデックス投資信託」を長期で積み立てる手法です。

コツコツからくる連想は「堅実」「確実」「安心」といったものですが…。

この流れが定着するかどうかは、今後の焦点になってくるでしょう。

対象商品を絞り込んだつみたてNISA

コツコツ投資が浸透してきたのは、投信積立を後押しする制度が広がり、初心者でも投資に踏み出しやすくなったことが大きいといえます。

株式や投信の運用益を非課税にする少額投資非課税制度(NISA)が2014年に始まりました。

さらに、18年には積み立て専用の「つみたてNISA」がスタートしたのです。

つみたてNISAは金融庁が対象商品を長期投資に向く投信約170本に絞ったのが特徴。

購入時手数料が無料で、運用中に負担する信託報酬率が低い低コスト投信限定で、多くはインデックス型です。

投資初心者でも商品を選びやすくなったのです。

このところ株式市況が好調だったことも追い風になったのは間違いないでしょう。

つみたてNISAの投資枠をフルに活用するため、制度が始まった18年1月から毎月3万3333円を、日本を除く先進国株指数(MSCIコクサイ)連動投信で積み立てたとすると、19年12月で元本80万円に対し収益は約10万6800円になったのです。

初心者でもその“効果”は実感できるはずです。

しかし、株式運用のリターン(成果)は、収益を生むこともあれば、損失を負うこともあります。

長期投資が有効とされるのは、長期的にならせば年率5~6%程度の収益が期待できるためですが、短期では損をする局面は十分ありうるのです。

近年、先進国株でもリーマン・ショックなどピーク時からの下落幅が約50%に達する暴落は約10年に1度、同10%以上の大型調整は1~3年に1度起きています。

行動経済学の研究では、人は得る利益より、失う損失を重く受け止める傾向があるそうです。

相場下落で損失が出ると、投資が嫌になりやめてしまうケースは意外に多いのです。

しかし、長期投資に取り組むなら、短期的な相場の動きに一喜一憂するのではなく、続けることが重要になってくるのは間違いありません。

理解されにくい「投資のリスク」

カギとなるのは「投資のリスク」の考え方です。

資産運用には「リターンとリスク」があります。

リターンはわかりやすいのですが、リスクには注意が必要です。

日常生活で「リスク」といえば「危険なこと」を指すのですが、投資における「リスク」の意味は少々異なります。

というのも投資においてのリスクはリターンの変動のブレ幅を指すのです。

ブレ幅が小さければ「低リスク」、大きければ「高リスク」ということです。

ここが誤解を生みやすいのでしょう。

19年12月、20年度の税制改正大綱が閣議決定されました。

NISA制度を見直し、現行の「一般NISA」は24年から、つみたてNISA対象商品に限る積立枠と、従来通り現物株にも投資できる枠の「2階建て」に刷新することになったのです。

この制度改正をめぐる報道で、つみたてNISA対象商品を「低リスク」と誤って説明をする記事が大手メディアで相次ぎました。

つみたてNISA対象商品は「低コスト」ですが、そのすべてが、リターンのブレ幅の大きい株式を投資対象としています。

決して「低リスク」ではないのです。

金融庁は一連の記事を「誤報」と断じています。

「コスト」と「リスク」を取り違えたのですが、誤った説明がなぜ広がったのか経緯はわかりません。

しかし、つみたてNISA対象商品は金融庁が選ぶため

「国のお墨付きの初心者向け商品なのだから“危険”が少ないはずだ」と思い込んだ、という推測はできます。

リスクとどう向き合うか

懸念されるのは、一般にもこうした思い込みを生みやすい素地があることです。

つみたてNISAなどで「コツコツ投資」が後押しされ、メディアや個人投資家ブロガーの情報発信で、長期的にはリターンが期待できることは伝わってきました。

しかし、インデックス投資は「低リスク」でも「安全な商品」でもないのです。

下落相場になったとき、思い込みは失望に転じる可能性があります。

コツコツ投資は身近になってきましたが「国が勧めるから」「みんなが始めたから」では長続きしにくいといえるでしょう。

取り組むなら「長期・積み立て・分散」の効果を理解し、最悪時にどれぐらいの損失なら許容できるかを想定することが大切です。

自分なりのリスクとの向き合い方を考える必要があるということですね。

ネットの反応

「このインデックスは今後も長期で上昇していくと予想したとき、今のうちに全力で買うべきなのに、つい積み立てにしてしまう。感情抜きに利益を求めるのは難しいよね。」

「リスクの意味を勘違いしている人も、積立投資と分割投資の違いを理解していない人も多い。大切なのは基本的な考え方の勉強、興味があれば少額でもいいから実践してみて学ぶこと。興味なし、やりたくないという人もそれは一つの選択。」

「積立NISAは税金が掛からないという意味で低コスト、ドルコスト均等法で定期的に積立すれば長期的には儲かることから低リスクってだけ。」

長期投資では元本割れの確率は下がるのですが、リスクはどんどん高まっていくという基本を理解することが大切ですね。

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