日本の終身雇用が崩壊…欧米型の雇用システムへ

終身雇用制が崩壊、欧米型の雇用システムへ

テレワークの浸透は、「雇用システム」の変化の大きなきっかけになります。

日本型経営の本質的な要素として語られてきた「終身雇用制度」の崩壊は、いまや不可避といっていいでしょう

「雇用システム」が10年進む

「終身雇用制度」に関しては、戦後、人手不足に悩む企業を中心に次々と導入され、日本の高度成長を人材面から強力に支える役割を果たしました。

しかしながら、バブル崩壊と、それに続く“失われた20年”の間、一部の大企業を除き、終身雇用制度を維持する余裕はなくなりました。

総務省「労働力調査2019年」によると、コロナショック直前の2019年の転職者数は過去最多の351万人に上ったほか、大手求人サイト等の調査では、社会人の半数以上が転職を経験したことがあるという結果が出ていることからもわかるとおり、新卒で雇用された人が、定年まで同じ会社で働き続けることは非現実的になりました。

その意味では、終身雇用制はコロナショック以前から、既に崩壊しつつあったとみて然るべきですが、リモートワークの浸透が従来型の「雇用システム」の息の根を止めることは間違いないでしょう。

ビジネスパーソンにとっては、新たな雇用システムのなかで、いかにして自らの能力・スキルに磨きをかけ、どのようなキャリアを築き上げていくか、この先長く続く職業人生を左右する選択が迫られています。

「メンバーシップ型」から「ジョブ型」へ

終身雇用制の崩壊とともに、雇用システムはどのように変化していくのでしょうか。

まず、考えられるのは、従来型の「メンバーシップ型」雇用から、欧米型の「ジョブ型」雇用への転換です。

「メンバーシップ型」雇用とは、一言でいえば、“人”に対して“仕事”を割り当てる雇用形態です。

まず、終身雇用を前提として、職務を限定することなく、幅広い人材をポテンシャルで採用。

入社後はジョブローテーションによって、さまざまな業務・ポストを経験させることで、ゼネラリストを育成していく仕組みです。

「メンバーシップ型」雇用の特徴に関しては、終身雇用を前提に、長期的な視野に立った人材開発を行える点や、雇用の安定性を担保できる点などがメリットとして挙げられる一方、仕事の成果ではなく、労働時間に対して対価を支払うことが想定されているために、長時間労働に陥りやすいのです。

あるいは、社員のスキルと仕事内容のミスマッチが起こりやすく、生産性が上がりにくいといったデメリットが指摘されています。

一方、「ジョブ型」雇用は、“仕事”に対して“人”を割り当てる雇用形態です。

職務内容を明確にし、「職務記述書(ジョブ・ディスクリプション)」を提示したうえで、専門的な能力、スキルを持った人材を社内外から募り、雇用します。

必要な能力を明確にして雇用契約を締結するため、人事評価は時間ではなく、成果を基準にして行われるのが一般的です。

「ジョブ型」雇用はこれまでも、高度なスキルや専門的な知識を持った人材を確保し、企業が競争力を高めていくうえで効果的な手法として注目を浴びてきたものの、人件費のコスト削減を図るケースや、世界共通の等級制度の確立を図るグローバル企業を除き、「ジョブ型」雇用の導入はなかなか進みませんでした。

しかし、「メンバーシップ型」雇用から「ジョブ型」雇用への転換の流れは今後、一気に加速していくはずです。

その理由の1つは、前段で述べたテレワークの急速な浸透にあります。

テレワークは、ICT(情報通信技術)の活用により、時間や場所の制約を取り払い、いつでも、どこでも働けるようにする仕組みです。

働き方の自由度を高め、緊急事態宣言下など、いかなる状況においても事業の継続が可能になる反面、上司にしてみると、労働時間や仕事の進捗状況を管理しにくい側面があります。

つまり、テレワークを進めるうえでは、労働時間に対して対価を支払う「メンバーシップ型」雇用よりも、成果に対して対価を支払う「ジョブ型」雇用の方が、親和性が高いのです。

「同一労働同一賃金」ルールが導入

大企業では2020年から、中小企業では2021年から「同一労働同一賃金」ルールが導入され、同じ仕事に就いている場合には、正規雇用も非正規雇用も関係なく、同じ賃金が支払われることになりました。

指摘するまでもなく、この「同一労働同一賃金」ルールと相性がいいのは「ジョブ型」雇用です。

新入社員をポテンシャル採用する点や、ジョブローテーションによって育成を図る点、時間に対して対価を支払う点など、「メンバーシップ型」雇用には、「同一労働同一賃金」との両立が難しい部分が少なくないからです。

こうした観点からも、「メンバーシップ型」雇用から「ジョブ型」雇用への転換に向けた流れが今後ますます加速することは確実といっていいでしょう。

大げさに聞こえるかもしれませんが、「来年度から我が社は新卒採用をやめる。人材はスペシャリストを中途で確保し、雇用システムは『ジョブ型』に変える」──。

業界のリーディングカンパニーがそう宣言した瞬間に、他企業も一気に追随し、「ジョブ型」雇用が急速に浸透するはずです。そして、その日は明日かもしれません。

ネットの声

「金融業界のプレイヤーによる業務の違いが詳細に記載されており、金融業界を目指す就活生や専門性の高い金融職へ転職を考えられている方にオススメしたい。また、業界の名だたる方のインタビューが添えられており、実務内容や求められるもの(適性)、ロールモデルのイメージが進んだ。
本書では金融プラス経営という今後の働き方への示唆も富み、キャリアを考える際の参考書になると思う。自分はこれから何をしたいのか、どう生きたいのか、会社の看板が無くなった時自分に何が出来るのだろうと考えた時、この本を手に取ってみて欲しい。」

「自身の将来のキャリアを考えるにあたり大変参考になりました。
将来を漠然と考えている高校生や大学生もぜひ読んで改めて将来自分が何をしたいか、そのためにどのようなキャリアを歩みたいかを考えてほしいです。」

「予約購入しました。これまでは、社内でのキャリア形成について考えていましたが、コロナショックによりリモートワークが主流となり今までの働き方に疑問を持ち始めていました。今回、和田氏、堀江氏共著の本書に出会い、より豊かな生活を過ごすために、どこの会社でも戦えるキャリアづくりの良いきっかけとなりました。M&A、事業再生、PEファンド業界に少しでも興味がある方は勿論ですが、前述の理由から特に20代前半の方にはお薦めの書籍です。」

 

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