
新料金プランが魅力的でも「キャリアメールの呪縛」から逃れられない人たち
KDDIは1月13日、新料金プラン「povo(ポヴォ)」を発表しました。
3月から、通信容量20GBを月額2480円で提供するということです。
先に発表したNTTドコモとソフトバンクの月額2980円に比べて500円安い料金設定です。
ただし、1回5分までの国内音声通話かけ放題は含まれておらず、かけ放題を付けると2社と同額の2980円となる仕組みです。
キャリアメールが話題に
3社のプランが出そろい、注目されるなか、ネット上では通信各社が提供するメールアドレス「キャリアメール」が大きな話題になっているのです。
というのも、新料金プランは3社いずれも、キャリアメールに対応していないからです。
MMD研究所の「2020年版:スマートフォン利用者実態調査」によれば、スマホでのキャリアメールの1日あたりの送信回数は、「0回」が62.9%で最多、次いで「1~10回」が32.6%でした。
SMSも「0回」が58.2%で最多。LINEは「1~10回」が57.8%で最も多かったのです。
1日の平均利用回数はキャリアメールが2.9回、SMSが3.7回、LINEが9.9回でした。
そもそもキャリアメールの利用が下火になりつつあるようですが、「それでもキャリアメールは手放せない」というユーザーもいるのです。
「今回のauの新料金プランは確かに安い。でも、キャリアメールに対応していないことが痛いです。もしキャリアメールを存続させてくれたら、auで即確定だったのに……。オプションとして300円くらいで用意してほしいです」
総合電機メーカーに勤務する40代男性・Aさんはこんな悩みを抱えています。
大手キャリアでスマホを契約しており、料金面から格安スマホは魅力的だと思っているのですが、
キャリアメールの有無が乗り換えのネックになっているのです。
多くのサイトやサービスに、キャリアメールで登録しているからです。
「昔からキャリアメールでいろいろなサイトに登録していて、それを今さらすべて登録し直すのは面倒すぎて、考えるだけで嫌になります。中でも厄介なのは、ネット銀行の認証メール。企業側がキャリアメールを推奨しているのも時代錯誤な気もします。日々、使うものなので半ばあきらめていますが、料金を安くしたい気持ちもあって……揺れています」(Aさん)
キャリアメールの維持費用も
“キャリアメールの呪縛”に囚われているのはAさんだけではありません。
化粧品メーカー勤務の30代女性・Bさんは、格安スマホとガラケー(フィーチャーフォン)との2台持ちをしているのです。
キャリアメールを維持するためだけに、月に約1000円ほどの費用が生じているそう。
「子供が通う小学校からの一斉連絡に使うメールアドレスとして、学校側がキャリアメールを推奨しているんです。フリーメールだと受信拒否される可能性があるとかで……。それでキャリアメールを登録しているので、手放すわけに行かず……。しかも、親同士のPTA活動などの学校関連も、なぜかキャリアメールが主流。他ではキャリアメールを使わないので、無駄だなあと思いながらも使い続けざるを得ない状況です」(Bさん)
Bさんを悩ますのは学校だけでなく、60代の両親との連絡手段だ。両親はともにスマホユーザーだが、未だにLINEには移行しておらず、連絡のメインはキャリアメールか電話だそうです。
何度もLINEへの移行を促してみたもののダメでした。
頑なにこだわるのには理由があるようです。
「親自身はLINEを使ってもいいと考えているようですが、親の友人がキャリアメールユーザーで、どうにもならないというのです。『フリーメールのアドレスを教えればいい』と助言して、親も一度そうしてみたのですが、相手側に迷惑メール扱いされたのか登録方法がわからないのか、それ以降、連絡が返って来ない人もいると言います。そうしたリスクを避けたいので、キャリアメールを維持しているようです」(Bさん)
過去のメールが読めなくなるのは困る
一方で、先の2人とはまた違う理由でキャリアメールを手放せない人もいます。
IT企業に勤める30代男性・Cさん。
高校・大学時代、好きなアーティストや漫画の登場人物、はたまた恋人の名前や誕生日などを入れたアドレスを使っていました。
Cさんは現在、キャリアメールをほぼ使用していないのですが、スマホとガラケーの2台持ち。
キャリアメールは「保存しておきたい」と言うのです。
「最後にアドレスを変えたのが、大学時代に付き合っていた彼女の名前入りのもので、なんとなく手放したくない。キャリアメールって、なんか特別感があって……。キャリアメール維持費用は、思い出の保管料金だと思っています(笑)」(Cさん)
キャリアメールにこだわるのにはそれぞれの事情があるようです。
安い新料金プランは魅力的だと感じつつも、「キャリアメールの呪縛」から離れられず、なかなか移行できない人も少なくないのです。
ネットの声
「MVNOにして3年経つけどキャリアメールが無いことで困ったことが一度も無いな~。銀行2つ、クレカ3つ持ってるけどどれもGmailで大丈夫。むしろGmailにすることで機種変どころか携帯会社変えても何の問題も無いし、長文のメールはPCで打とう、なんてこともできる。未だにキャリアメール必須な会社が多くあることにびっくりした。」
「最近はキャリアメール以外で拒否されたりってのはもう無いね、IIJMIOがサービス開始からキャリアメールは捨てたが、困ることはほぼ無い。メール登録し直しってのめ、もともとGmailとicloudに移行してたから特に問題なく、逆にスパムが大量に来てたのを一掃できてよかった。」
「auならauIDを作るとWEBでキャリアメールを見る事が出来る。従来型のキャリアメールではなく、WEB閲覧専用でも使えるならいいなぁ。仕組み的に、従来キャリアメールのプッシュ通知が難しいのはしょうがないので。」
キャリアメールがなくて困る場合でも、回避する手段があるはず。
使えなくなるから困るというのは理由にならないでしょう。