「愛のコリーダ」に出演した藤竜也が当時を回想

台本読んで「セックスシーンが多い」と、ぼう然も「人間そうだもんな」と納得

藤竜也(83)が3月16日、都内で行われた第6回大島渚賞記念上映会に登壇した。

この日、大島監督が手がけ、藤竜也が主演した1976年(昭51)年の映画「愛のコリーダ」が上映された。

日本公開は大幅なカットと修正が…

「愛のコリーダ」は、1936年(昭11)に発生した愛人の女性が交際中の男性の性器を切り取る猟奇事件「阿部定事件」をモチーフに、男女の情念と官能の世界を描いた。

主演の藤竜也は料亭「吉田屋」の主人の吉蔵、松田英子(暎子)さんが店の住み込み女中の定を演じた。

76年にカンヌ映画祭(フランス)監督週間に出品。

同年の日本公開時は製作サイドが納得しないまま大幅な修整とプリントをカットした形で上映。

00年には、ノーカットながらもボカシが入った「愛のコリーダ2000」が、24年ぶりに劇場公開された。

当初はキャスティングから外れていた…

藤竜也は「最初、私の予定じゃなかったみたいで」と当初は吉蔵役にキャスティングされていなかったと明かした。

「製作発表の2、3日前に崔さんから『赤坂の事務所で大島さんに会ってくれませんか?』と電話があった」と、大島組のチーフ助監督だった崔洋一さんから連絡があったと説明。

その後、台本と巡り合った。

「その場で読んで欲しいと読み始め…セックスシーンが多いんで、ぼう然としちゃいましたけど。これ、映画になるのかな? と」と、セックスシーンがあまりに多く、驚いたと振り返った。

それでも「セックスシーン、セックスシーンと重ねた向こうの、男と女の情念を表現できる。実際、人間は、そうだもんな、いいなと思った」と納得したという。

愛のコリーダ後は失業状態!?

その後、プロデューサーを務めていた若松孝二監督から「飲みに行きましょうか」と誘われ、新宿ゴールデン街に飲みに行き「お互い、何となく朝の3時までジーッとしていた」中、出演を求められ「やらないつもりだったら、この時間まで飲んでいませんよ」と正式に受諾。

翌日に製作発表だったという。

藤竜也はこの日、03年「アカルイミライ」で自身を起用した、黒沢清監督(69)と対談した。

近況について聞かれ、黒沢監督が「次回作を準備中という名の失業状態…うまくいけば年内に撮影に入れれば」と答えた。

藤竜也も「失業しております。本(台本)を書いてくださる、というのはあるけれど、いつか分からない感じ」と笑った。

ネットの声

「内容が内容だっただけに色んな俳優に断られて藤竜也氏に行き着いたんだったよな…。出演直後は暫く仕事が無い状態だったけど、引き受けないと一緒後悔すると思ったと後年インタビューで仰っていたのが印象的。」

「あの時代で大島渚監督だから出来た作品ですよね。愛のコリーダ(コリーダは闘牛)で出会った二人が死ぬまでからむ話ですよね。殺された吉蔵は小料理屋の大将で、そこで偽名を使って働いてたのが阿部定で、吉蔵は死ぬ瞬間まで偽名の「加代」って呼んでますよね。」

「その場面の無修正映像を見た事がありますが、監督や撮影スタッフの前でも出来るなんて凄いな。さすがはプロだなと感心しました。」

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