新型コロナウイルスの影響で、マスク不足が続いているようです。

ネット通販では1箱60枚で4万円超えという異常な価格もつきました。

マスクの高額販売をしているのはどんな人たちなのか。

「プロの転売屋というより、『普通の人』がかかわっている可能性が高い」というのですが…。

「1枚700円のマスク」が売られる異常事態

新型肺炎の影響でマスクが高額で取引されていることが問題になっています。

産経新聞によると、アマゾンでアイリスオーヤマの「サージカルマスク60枚入り」が最低価格でも4万2000円(1枚当たり700円)で出品されていたというのです。
※産経新聞「マスク1箱4万円超え ネット通販で高騰 新型肺炎影響」2020年1月30日)

このような風潮に世間は黙っているはずもなく

「人が困っているときに足元をみやがって!」
「火事場泥棒だ!」

とネットの声は非難ごうごうですが、それでも菅官房長官が2月12日の記者会見で「例年以上の毎週1億枚以上を供給できる見通しができた」と発表するまで、高額転売の騒動は収まらなかったのです。

一連の騒動で高額転売する人に強い興味を持つ人も多いでしょう。

社会常識として「それはやっちゃダメだろ」という行為を平気でやってしまう人の心理が知りたくなるものです。

加えて、本当にマスクを売って儲かったのか…。

1月18日1000円→2月4日1万4000円

ネット転売の詳しい情報を持っている人はいないのか…。

いろいろ調べていくと、オークファンが提供している「オークファンプロplus」という解析ツールにたどり着きました。

ヤフオクの落札相場や落札数の動向を知ることができるというものです。

本当にそんなことができるのか心配になりそうですが、オークファンはネットの商品売買リサーチツールで10年以上の実績があり、2013年にはマザーズに上場しています。

データの正確さは信頼できそうです。

「マスクはここ1カ月間、異常な価格で取引されていますね」

取材に応じてくれたのはメディア事業部の杉本聡部長。

ヘルスケアのカテゴリーに属するマスクの落札相場と落札件数のデータを見せてくれました。

1月18日のマスクの落札価格は1000円程度で、落札件数も20件前後。

20日に2500円の値をつけ、23日には3000円を突破。

その後、4000円、5000円と価格は跳ね上がり、31日にはついに1万円を超えます。

落札件数も2400件近くなり、10日間で120倍もの人がマスクを買い求めるようになったのです。

「その後、2月4日には1万4000円を超えて、落札相場は1万5000円ぐらいで9日まで推移していきます。落札件数も5000件前後で取引され続けました」

「ヤフオク」でのピークは2月9日だった

しかし、2月11日には落札価格は1万5000円台をキープし続けるも、落札件数は一気に3500件まで落ち込んでしまいます。

「2月9日がピークのようですね。マスク不足が解消されることが政府からも発表されましたから、高額転売はこれから収まっていくと思います」

淡々と話す杉本部長。

まるで株のチャートでも見ているかのように、冷静に状況を分析しています。

このような高額転売は業界ではよくあることなのでしょうか。

「今回のマスクは確かにイレギュラーです。ただ、このようなことが過去になかったわけではありません。例えば、2011年に品薄になった桃屋の『食べるラー油』も、スーパーの在庫がなくなってネットで高額取引されました。最近で言えば台風で養生テープが不足して、ネットで高値を付けました。メディアで話題になった商品が品薄になって、それを高額取引するという現象は昔からあることです」

マスク1000枚を25万円で落札する人の狙い

この人たちはマスクを売って儲かったのか?

杉本部長はデータを見ながら

「ピーク時に1000枚のマスクを25万円で落札した案件がありますね」

と教えてくれました。

マスクの種類や仕入れルートによって、一概に原価は出しづらいのですが、マスクを仕入れたことがある人の話によると、不織布のマスク1枚の仕入価格は50枚で200円ぐらいだというのです。

つまり1枚4円。

4円で仕入れたマスクを250円で売れば、ボロ儲けといっていいでしょう。

モラルが吹き飛んでしまう人の気持ちも分からないこともないですね。

「でも、そんなに儲からなかったと思いますよ。品薄になると仕入価格も上がりますし、商品がないから、ヤフオクから高値で仕入れて、アマゾンで売るような人もいますからね。ネット通販に不慣れな人はデータを見ないで転売するから、引き際も分からなくて、結局、不良在庫を抱えて大損するケースが多いんです」

今回はネット通販の相場価格を調査するツールを使ったことで、マスクの高額転売ブームが一時期的なものだと知ることができました。

しかし、まだまだマスクは売れると信じ続けて、儲かったお金でさらに仕入れて、マスクを高値で売り続けている可能性は十分にあるようです。

そう考えれば、高額転売している人たちは、高額で仕入れたマスクで儲けを出すために、異常な価格をつけるしかないのでしょう。

高額転売」は素人が簡単に手を出せる商売になった

2014年の鳥インフルエンザの際、マスクを大量に仕入れた経験のあるネット通販会社の社長の話。

当時、どのくらいマスクで利益を出したのか聞いたところ、「全然儲からなかったよ」とため息交じりで答えてくれました。

「大量にマスクを仕入れたら調子よく6000万円ぐらい売れたんだ。でも、突然、売れなくなってね。結局、6000万円の在庫を抱えることになったよ」

このネット通販会社は5年がかりで在庫を売り続け、最後は施設に寄付して、ようやくマスクの在庫地獄から解放されたというのです。

今回の新型肺炎でマスクを仕入れたか聞いたところ、「もうこりごりだよ」と苦笑いをしていました。

マスクを高額で転売している人は、実のところ、私たちのすぐそばにいる、ごくごく普通の人なのではないでしょうか。

先述した経営者のように失敗した経験のある人であれば、絶対に手を出さない商材なのです。

リサーチツールを使いこなす転売のプロでも、このように価格変動の激しい商材には手を出さないはずです。

高額転売は根っからの大悪党のような人がやることだと思っていた人も多いでしょう。

しかし、素人が簡単に手を出せる商売になったことを考えると、普通の人のモラルそのものが崩壊しているのかもしれません。

ネットの反応

「転売の場を提供し、ちゃっかり甘い汁を吸っているフリマサイトを取り締まるべきなのでは?価格が高騰すればするほど手数料を徴収できるんだから見てみぬふりは悪徳すぎるでしょ。運営をするんならモラルが欠如されている出品は取り消しするなどの対応をするべきだ。」

「買う人がいるからでしょ。昨日、京都の駅近くに新しくできたドラッグストアに三枚入りのマスクが普通に売っていたけど、家に花粉用に早くから買ってた家族のやつ2箱あるし、ない人のためにほっといた。買い占めずに、多くの人に渡ればいいなー。」

「結局なんの対処もしないまま終わったね、まぁ判ってはいたけど情けない話だわ、これを教訓にもっと悪質な転売が増えるんでしょうね、だって規制も何もされないならやったもん勝ちだって思うよね」

チャンスと思ったらどっと参入するのはビジネスの常套手段ですが、実際に儲けた人はさっと逃げてますよね。

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