
日本代表はよく戦った…。
最後は息切れしてしまったけど、それは南アフリカが強かったということ。
これから日本代表はもっと強くなる。
前半は互角の戦いも
ラグビー日本代表が南アフリカとベスト4をかけて激突。
前半こそ、日本も南ア陣内に攻め込む場面が多く、5分以上の戦いを見せてくれた。
1トライと1ゴールの差で5対3と2点差で前半を終了。
傍目に見ると、前半は5分というよりも日本のほうが押しているように見えた。
それでも、攻めても攻めてもトライを奪えず反対に1トライを奪われてしまう。
相手の反則で10分間南アは一人少ない時間帯…。
そこでなんとか1ゴールを奪うことができた。
南アフリカ戦を振り返って「ボールキャリーの部分で前に出られなかった」と悔しさをかみ締めたナンバー8の姫野和樹選手。「ベスト8を達成したが、ここで終わりじゃない。新たなスタートをして4年後は優勝を狙っていかないと」と決意を新たにしていました。(写真は中尾悠希撮影) pic.twitter.com/MM5CYR36Mh
— NIKKEI Rugby (@nikkei_rugby) October 20, 2019
しかし、ここまでが日本代表のピークだったように思う。
ハーフタイムを経て、後半は完全に日本代表はガス欠だった。
前半に司令塔の田村優が後退したのも痛かった…。
後半だけではなく、前半も日本代表が誇るWフェラーリの福岡と松島が封じられている。
松島は、「とにかくプレッシャーが大きくて思うように動けなかった…」と言っている。
全般を通して、福岡と松島がボールを持って決定的なシーンというのはなかった。
福岡にフリーでボールが渡ったときに、スタジアムも沸いたが快走というわけにはいかなかった…。
南アフリカは、とにかく日本が嫌がることを徹頭徹尾行ってきた。
早い段階でボールに殺到し、早めのプレッシャーで日本FW陣に襲いかかる。
互角に渡り合っていたと見えた前半でも、モールでは押し切られる場面が多かったのは、如何に南アのプレッシャーが強かったかがわかるだろう。
そして、完全にダウンしガス欠状態になった後半は、南アのいいようにやられてしまったのだ。
ワンチームとして
試合が終わって日本代表が円陣を組む
主将のリーチが、1年のうち250日以上一緒に過ごして家族以上の絆ができたこと、日本代表の一員であることを誇りに思うことを強調した。
誰もが同じ思いだっただろう。
いったいどれだけのことを犠牲にしてラグビーに打ち込んだのか…。
地元開催で、無様な負け方はできないというプレッシャーはいかほどのものだったのか…。
そう見えても、テレビに登場する日本代表の面々は明るかった。
そこには、人柄の良さが透けて見える。笑顔が気持ちいいのだ。
日本代表の半分は外国出身者…。
そのうち8人は日本に帰化している。
他の多くも日本に高校から留学してきている者も多く、人生の半分以上を日本で過ごしたという者も少なくない。
みんな日本愛にあふれているのだ。
君が代を大声で歌ってくれる外国人を見ることができるのは、ラグビーだけかもしれない。
それほど全員がワンチームとなって戦ってくれた。
これはもうありがとうと言うしかない。
特にFW陣は、体中テーピングだらけでミイラ化していた…。
地元の利があって、スケジュール的には楽だった試合日程だったが、それでも全力で戦う日本代表にとって、予選での4戦はまさに消耗戦となったのは間違いない。
条件は同じであっても、地力や体力差というものは、南アとは比べものにならなかったと思う。
それでも互角に戦った前半は見応えがあった。
息切れした後半も力の限り戦った。
全力で向かってきた南アフリカに26対3で敗れたけども、ガチの戦いでこれだけの戦いができたことは誇るべきだろう。
過去に140点以上も取られた試合があることを考えれば、この10年20年での日本代表の進歩はめざましいものがある。
前回大会では「奇跡」と呼ばれたが、予選での全勝は「必然」となった。
次は、ベスト8からベスト4が目標となったかもしれない。
フランカーのラブスカフニ選手(写真奥)は「ここで終わってしまうのがさみしい。でも、プランを最後まで実行したことを誇りに思っている」と振り返りました。出身地の南アフリカとの一戦に、「前半が終わったあと勢いが増した。いいプレーをされた」と完敗を認めていました。(写真は笹津敏暉撮影) pic.twitter.com/ezsyi77ddS
— NIKKEI Rugby (@nikkei_rugby) October 20, 2019
しかし、ハードルを上げることなく、常にベスト8を目標にしてもいい。
少し勝ったら、優勝を目指せというのはラグビーにとっては酷だ。
今回は出来すぎたといってもいいだろう。
番狂わせが非常に少ないラグビーの試合において、地力に勝るアイルランドやスコットランドには10回戦っても1回も勝てないくらいなのだ。
それを、「奇跡」とは言わないまでも、立て続けに破ったのはものすごいこと。
これで、南アにまで勝ってしまっては、もともと調子に乗ってしまう国民性だけに、せっかく強くなった日本代表をつぶしてしまいかねない。
やるからには優勝を目指す…。
これは言っていいだろう。
しかし、日本の立ち位置は先の先を見るのではなく、目の前の一戦であることは間違いなく、それはこれからも変わらないだろう。
これからの日本代表
世界のラグビー界には、ティア1とティア2といったような歴然とした格差がある。
これは強さもさることながら、伝統が重んじられる格付けといっていい。
だからこそ、前回と今回活躍した日本でもティア1には入れない。
リップサービスで「日本はティア1に該当する」とは言われても「ティア1に入れよう」という声は聞こえてこない。
ラグビー日本代表ありがとう。日本ラグビー界を大きく変え、何よりも応援する仲間が本当に増えた。最後は美しいONE TEAMが見れた。 pic.twitter.com/KiCnPvAaDv
— 齊藤祐也 Yuya Saito (@yuyasaito428) October 20, 2019
ティア1同士では、テストマッチは頻繁に行われているが、ティア2がティア1とテストマッチすることは10年に1回程度だ。
それでも、前回2015年の日本代表の活躍から、ティア2の日本でも2015年以降、ティア1とのテストマッチは数試合行われている。
これも、ワールドカップで結果を残したからだ。
次のワールドカップまでに、今回日本に負けたアイルランドとスコットランドはリターンマッチを挑んでくるのは間違いない。
そこでどのように戦うのか、さらには他のティア1国からのテストマッチの依頼も来るかもしれない。
それだけ、日本は強くなったのだ。
これからの日本代表が楽しみで仕方がない。
ネットの声
「どれだけのことを犠牲にしながら前評判を覆し私達に最後まで諦めないことやたくさんの感動をいただきました。本当にこれだけ夢中になれるものがあったのはひさしぶりでした。お疲れ様。監督、選手、スタッフ、かかわったすべての人に感謝いたします。ありがとう」
「南アフリカは日本を全力で潰しにきたな。しかし、前半なんかは互角以上の戦いしてたよ!後半は少しフイジカルに勝る南アフリカに押されたけど素晴らしい戦いでした!感動をありがとう!負けても感動した!皆さん素晴らしい!応援も素晴らしかった!やったよ日本は!そしてキャプテンが言うようにまだまだ強くなる!」
「試合終了後、客席から自分達の子供をフィールドに迎えいれ、正に全員がファミリーとして写真に収まっているのを見て涙が出た。年間240日の合宿。家族もチームを支えていた。暫くはゆっくり休んでください。」
個人的にはデクラーク(金髪ロン毛)にやられたなって印象。田村が前半で抜けたのも痛かった。それでも日本はよく戦った。楽しいワールドカップをありがとう。