水を1日2.5リットル飲みましょう…これって正しいの??

「1日2.5リットルの水を飲むべき」という説は本当なのでしょうか。

過去数年間、多くの水を飲むことが推奨されてきました。

ですが、果たしてこれは、「科学的に正解」と言えるのでしょうか。

熱中症対策で言われた?

「水をたくさん飲みましょう」というのは、特に夏であれば熱中症対策のためによく耳にする言葉です。

厚生労働省も「健康のため水を飲もう」推進運動を行っており、

「人間のからだの約60%は水分でできており、1日2.5リットルの水を飲むのが理想」といった内容のことが書かれているポスターを出しています。

また、全米医学アカデミーは2004年に、1日の適切な水分摂取量は次のとおりに判断しています。

男性の場合、1日あたり約15.5カップ(3.7リットル)の水分
女性の場合、1日あたり約11.5カップ(2.7リットル)の水分

これらの推奨量は、水だけでなく水以外の飲料や食品からの水分も含まれています。

それらに関しては、摂取量の約20%に相当します。

つまり、男性であれば約3リットル、女性であれば約2リットルの「水」の摂取が推奨されていると判断するといいでしょう。

水分不足によるリスクに関しては、熱中症だけでなく、肌の健康が損なわれたり、

便秘や血圧の上昇などから脳梗塞や心筋梗塞など重篤な症状を引き起こす可能性もあると言われています。

水分摂取を増やすことが有益であるという科学的データは存在しない

カナダ・ローソン健康研究所とウェスタン大学の研究の主任研究者のウィリアム・クラーク教授によれば、

「1945年に米国食品・栄養委員会が『1日に少なくともコップ8杯の水(2.5L)を飲むこと』を推奨し始めてから、このガイドラインは一般的になっていきました。ですが、水分摂取量を増やすことで得られるメリットを裏づける科学的データは、実は存在しません」

と言います。

同研究では、1年間慢性腎疾患の患者が水分摂取量を増やした場合、腎機能の低下を低下を抑えることができるかどうかを検証していました。

結果的に、「水分摂取量を増やしても、腎機能の低下の抑制はされなかった」という結果が報告されています。

クラーク教授はこの研究結果に対し、

「多くの患者が普段摂取している水分量が、推奨されている水分量よりもが少ないということはわかりました。この研究では、個々の患者に合った水分摂取を高める方法を見つけることができました」

と話し、「まだ研究を続けていく必要がある」としめくくっています。

飲料水メーカーの巧妙なマーケティング

しかしなぜ、「水を飲むことを推奨する」ようなエビデンスのない論理が、一般的になったのでしょうか。

そこには、飲料水メーカーの巧妙なマーケティングが影響しているとも思われます。

メーカーは多くの人に、「もっとたくさん水を飲まなければいけない」と思わせただけでなく、

高価なボトルに入ったミネラルウォーターが私たちの身体に良いと思わせることにも成功したと言えるかもしれません。

事実、多くのボトル入り飲料水を飲んでおり、世界の飲料水産業は毎年10%ずつ急速に成長しています。

世界市場は、「2025年までに2150億ドルの価値がある」と想定しているのです。

ペットボトル入りの水に関してはサステナブルな観点から、環境破壊や使用する原材料の見直しなどが当面の課題となっています。

それと共に「ボトル入りの水が健康上の利点に関して、実は何も証明していない」ということも知っておくべきでしょう。

日本の水道水は恵まれた環境にあり、世界でもトップクラスでキレイな水道水と言われています(とは言え、オランダのアルカディス社が2016年5月に発表した、「Sustainable Cities Water Index(世界主要都市の水資源環境から見た住みやすさ格付及びランキング)」で東京は25位でした)。

当然ですが、ミネラルウォーターも水道水も、厚生労働省が定めた基準をクリアした安全なものでないと、販売はできません。

そのような中でも、その基準はミネラルウォーターと水道水とでは大きな違いがあります。

ミネラルウォーターは食品衛生法第11条に基づく「食品、添加物等の規格基準」によって基準が設けられています。

水道水のほうは、水道法第4条に基づいて厚生労働省令によって水道水質基準の検査が義務づけられています。

水道水に適用されている水道水質基準は51項目あり、ミネラルウォーターよりさらに高い基準の品質が求められています。

水分補給はできるだけ純粋な水を

だからと言って、ミネラルウォーターが危険ということではありません。

ミネラルウォーターの販売会社は独自の品質基準を設けることで、水道水質基準以上の検査をしている会社がほとんどと言っていいでしょう。

ですが、法律上ミネラルウォーターは水道水より少ない検査基準で販売できるのは事実。

安全性が気になる方は、メーカー側でどのような基準を設けているか一度確認することをおすすめします。

水を飲むことは、身体に悪いことではありません。

人間の身体の60%は水分でできており、酸素や栄養素を運んだり体温を維持したり、老廃物の排出などの生命維持に必要な役割を担っていることは周知のとおりではないでしょうか。

それだけの役割を担う水、「水は健康に良い」ということはイメージできるはずです。

ですが、ガイドラインに従って無理やり飲む必要はなさそうです。自分に合ったペースで、適度な量を飲むことがいいでしょう。

しかしながら、カフェインやアルコールの含まれた飲料は、逆に身体を渇かせてしまうおそれがあります。

適量であれば、その効果も謳われているものです。

それでも、こと水分補給という役割で考えるならば、色つきのものではなく、できるだけ純粋な水を摂取することがいいでしょう。

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