未解明だった数学の超難問「ABC予想」を証明したとする望月新一・京都大数理解析研究所教授(51)の論文が、同所が編集する数学専門誌に掲載されることが決まりました。

3日、京大が発表。

ABC予想は、素因数分解と足し算・かけ算との関係性を示す命題のこと。

4編計646ページからなる論文は、斬新さと難解さから査読(論文の内容チェック)に8年かかったということですが、その正しさが認められることになったのです。

有名な数学の難問「フェルマーの最終定理」(1995年解決)や「ポアンカレ予想」(2006年解決)の証明などと並ぶ快挙となります。

斬新な発想で理解は困難も…

望月教授は2012年8月、構想から10年以上かけた「宇宙際タイヒミューラー(IUT)理論」の論文4編を、インターネット上で公開しました。

これを用いればABC予想など複数の難問が証明できると主張し、大きな注目を集めたのです。

しかし、既存の数学が存立する枠組み(宇宙)を複数考えるという構想はあまりに斬新で、

「未来から来た論文」

とも称されました。

加えて、1000ページを超える望月教授の過去の論文に精通しないとIUT論文を読み解くことは難しく、理解できた数学者は世界で十数人しかいないと言われているいます。

望月教授は京大広報課を通じて解説を公表。

「証明完成まで20年ほどかかった」とし、

「ABC予想の解決は、IUT理論の一つの重要な帰結であるだけでなく、この理論が整数の深い性質をとらえ得るほど十分な深さを持った理論であることを示している」

としています。

京大によると、論文は同所が編集し、欧州数学会が発行する専門誌「PRIMS」(ピーリムズ)に2月5日付で受理されました。

今後、特別号に掲載される予定。

望月教授はPRIMSの編集委員長ですが、今回は除外され、特別編集委員会を設置して論文を審査しました。

「天賦の才能を持った人」

望月新一教授は1969年3月、東京生まれ。5歳の時、父親の仕事の関係で渡米し、16歳で米プリンストン大に飛び級入学。

19歳で同大大学院に進み、「数学界のノーベル賞」と言われるフィールズ賞受賞者のゲルト・ファルティングス氏に師事しています。

23歳で博士号を取得後、帰国。

京大数理解析研究所の助手に採用されると、96年に助教授、2002年には32歳の若さで教授に就任しました。

数論幾何学の業績は早くから認められ、45歳未満の研究者を対象に04年度に創設された日本学術振興会賞の第1回受賞者となったのです。

これまでメディアへの露出を避け、近況をホームページやブログで時折発信しています。

公私にわたり親交の深い加藤文元・東京工業大教授(数論幾何学)は

「普段は気さくで『普通』の人。ただし、特に数学に関しては、物事を非常に深く見つめ考える天賦の才能を持った人」

と評しています。

「(望月教授が提唱し、ABC予想を証明した)IUT(宇宙際タイヒミューラー)理論は、数学界の『革命』と言っていい。ノーベル賞が何個あっても足らないほどの成果だ」

と讃えています。

英ノッティンガム大のイワン・フェセンコ教授(純粋数学)の話

宇宙際タイヒミューラー(IUT)理論は全く新しい視点と、整数の足し算とかけ算の関係についての深い理解に根差したもの。

今世紀、数学界で得られたいかなる業績より数段上の成果だ。

それが日本から生まれたことはすばらしい。

この成果は何百年後にも記憶され続けるだろう。

ABC予想とは

1985年に欧州の数学者が提示した整数論の問題。

「a+b=c」となる互いに素な(1以外に共通の約数を持たない)正の整数a、bとその和cについて、それぞれの互いに異なる素因数の積(d)を求める。

このとき「c>dの1+ε乗(εは正の実数)」となるようなa、b、cの組は「たかだか有限個しか存在しない」とする予想。

ABC予想が証明されると、「フェルマーの最終定理」など他の難問も簡単に導き出すことができ、数学界で今世紀最も重要な業績になるとされ、世界の数学者が証明に取り組んでいる。

ネットの反応

「理数科に所属していましたが、雲の上の上の上...の次元です。もう知識も抜けているので、ちんぷんかんぷんです。が、間違いなく昨今の世界は数字と理論であふれています。一つのことが便利になるにも数学的証明がなされます。直接かかわりがなくとも数学は生活を支えてくれています。この発見が誰かの笑顔につながりますように。」

「すごいですね。数学をつきつめていくと宇宙や量子力学に行っちゃったりするんですよね。この手の論文って、まずは仮説を立てて、それに対しての証明を組み立てて仮説と同じ答えに行きつくかを確認すると聞きます。その仮説を考えつけるというのがもうすごい。」

「日本の学者さんがまた一つ歴史に名を残す素晴らしい業績を上げたと言うこと、非常に誇らしい業績だと思います。今後の数学史に名を残されるであろう大変な偉業、日本人として誇らしいです。」

理解できない理論ですが…理系の研究者は東大ではなく京大に集まりますね。

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