
厳しい戦いが続くHRC。
課題の空力面での躍進なるか
F1やeVTOLの知見を活かせ!
目次
タイヤをうまく使えなかった
F1をはじめ、四輪レースを戦う車両には、羽……つまりウイングが装着されているのが常である。
これは、平たく言えばダウンフォース……つまり車体を路面に押し付ける力を、空気を使って生み出そうというものだ。
そうすることで、高いスピードでコーナーを曲がることができるわけだ。
最近ではこのウイングが、MotoGPのマシンにもつけられることが当たり前になりつつある。
もちろんこのウイングも、マシンを路面に押し付ける力を得るためのものである。
しかし四輪マシンとは異なり、二輪車は右に左にと大きく車両を傾けることになるため、ダウンフォースを安定して得るのは容易ではない。
MotoGPマシンに取り付けられたウイングは、一体どんなことを目指しているモノなのか?
改めてホンダ・レーシング(HRC)に尋ねた。
2024年のMotoGPでHRC勢は大苦戦。
トップ10フィニッシュを一度も記録できないという、最悪のシーズンを過ごすことになった。
この原因のひとつについてHRCの佐藤辰レース開発室長は「タイヤを他社よりもうまく使えなかった」と説明する。
しかし「タイヤをうまく使えない」とは、一体どういうことなのか?
そう尋ね、さらに詳しく説明を求めた。
「タイヤをグリップさせるためには、当然荷重をかけなければいけません。その荷重をかけることが、ある意味うまくできていませんでした。エアロとエンジンという2大要素があると考えています。2024年には、その部分を開発してきました」
2025年はホンダからMotoGPにスポット参戦が決まった中上選手。2/15、2/16に西日本のバイク用品店4店舗でサイン会が開催されます。しかし、2/16(日)は10:30に広島で、同日の15時に福岡県の久留米市で開催らしい。新幹線のダイヤを調べたらギリ間に合いそうですが、それにしてもMotoGPライダーとは思え… pic.twitter.com/nwdAc3uOmb
— どこいこ (@dokoiko_touring) January 22, 2025
二輪のエアロ
二輪のエアロとは、どんなモノを狙ったものなのか?
「基本的にはタイヤをグリップさせるためのものです。F1と同じですね」
そう佐藤開発室長は語る。
「でも、二輪の場合にはダウンフォースではなくなってしまいます」
「四輪では、車体が左右に倒れることがありませんよね? そしてピッチングとか、ヨーイングという、横方向の動きもそれほど大きくありません。だからとにかくダウンフォースをかけて、タイヤを路面に押し付ける力を生み出せば、クルマが速く走るということになります」
「でも二輪では、前後にとんでもなく動きます。左右にも60度くらいずつ傾きます。究極で言うと、ライダーがぶら下がるような格好にもなります。つまりわけの分からない動き方をするんです」
「その中でタイヤに荷重をかけるとなると、ダウンフォースだけではだめ……ダウンフォースをかけても、タイヤにうまく荷重がかからないんです」
だからこそ、四輪車のウイングとは異なり、カウルの両側に輪っかのような空力パーツがついている……それにより、様々な状況に対処しようとしているのだ。実に複雑なことが起きている。
「タイヤに荷重をかけるということ自体は四輪と変わらないものの、F1や四輪レース車両とは違うかな……二輪独自の形に変えていかないと、タイヤのグリップをうまく発生させることができません」
「車体がこう動いたら、こう働くとか、ライダーが動いちゃったらその羽って荷重を生み出せるんだっけとか、そういう色んなことが起きています。空力はかなり難しいです。でも、そこをやらないと、今のMotoGPではなかなか速く走れません」
HRCの空力開発は、MotoGPマシンの開発拠点である朝霞でも行なっているものの、今では四輪レースの開発拠点であるHRC Sakuraでも行なわれているという。
「当然風洞実験もしますし、CFD(計算流体力学)もやっています。あらあゆるシミュレーションをしていますよ」
「朝霞でもやっていますし、Sakuraにも風洞施設があるので、そこも使うようになっています。F1などのリソースも使わせていただいてやっています」
だからやっぱトレーニングには600っしょ!こちらはファクトリーホンダのジョアン・ミア。月末にスタートするセパンでのテストに向けて、CBR600RRを使ったトレーニングでフィジカルを整えていく。ホンダさんちはオフトレでのモトクロス禁止令はないようで、ダートで飛んだり跳ねたりもしているようだ。… pic.twitter.com/NJklNT3Rtx
— MMGP (@motto_motogp) January 22, 2025
オールホンダで技術を共有
2022年、それまでは二輪のレース専門会社であったHRCに、ホンダの四輪レース部門も取り込まれ、新生HRCとなった。
その協調関係が徐々に現れつつあるようだ。
しかもそれに留まらず、オールホンダ体制でMotoGPでの強さを取り戻そうとしている。
「四輪の方と人の交流もやっています。でもどう見ても、F1の方がすごいんですよ。解析、設備……お金のかけ方も含めてですね。彼らの方がやっぱり最先端を行っています。ただ我々としては、世界の最先端の技術を知れるというのはすごく有益なので、それを教えていただいたり、協力してもらっています。二輪にそのままフィードバックできるもの、できないものがありますけどね」
そう佐藤開発室長は語り、さらに次のように続けた。
「ホンダは四輪、汎用、飛行機と色々やっていますんで、オールホンダで技術を共有してもらっているというのは、非常に重宝しています」
「例えば空力の面では、eVTOL(いわゆる空飛ぶクルマ)をやっていた方にも入っていただいています。彼はシミュレーションも含めてやっておられるので、それをそのままHRCに活かしてもらっています。(2024年9月の)ミサノテストで投入された新しいカウル等も、彼にやっていただきましたね」
ここ数年、MotoGPでは苦しい戦いが続いてしまっているHRC。しかしF1やスーパーGT車両、そしてeVTOLと、まさにオールホンダでの復活が目指されている。
中上クン、早速頑張ってる??
ホンダのマシンをどうか改善したって下され…????#MotoGP #MotoGP_jp https://t.co/Tkw8BPnzUx— ぢゅりぞう@腰痛持ち (@gntm_joy4) January 19, 2025
ネットの声
「プライベーター(今でいうサテライトチーム)は下手したら周回遅れにされていた大昔と違い、今はポールからポイント圏内まで予選タイムが1秒も差がないなんてことも珍しくないくらい拮抗してる。
そんな中でその0.何秒かのギャップを埋めるのは途方もない挑戦だし、エンジニアには敬意しかない。
願わくば、マルクや小椋のようにホンダとは別の道を行ったライダーに「もう一度一緒にやろう」と言わせるようなマシンを作って欲しいし、ホンダならそれができると信じてる。
まずは今季、コンスタントに表彰台を狙うところから、是非」「F1も、第2期のマクラーレンとの低迷期を脱したのは、ホンダジェットのエンジン技術者のアドバイスだったので、2輪もオールホンダで勝てるマシンを作ってほしい。」
「25年のうちに結果が出せるか?は、、、この記事見るとまだまだ無理っぽい。
本気でやるならF1の人に聞く、、、のではなく、人を連れてくる、、、でしょうに。
早く本気になってくれ。」