【MotoGP】今年のホンダとヤマハはひと味違う!少しずつだけど確実に復調してる!

ホンダ、ヤマハに復調の気配…

試行錯誤の末たどり着いた「エンジンの遅さ」とは?

カタールGP4位のザルコは「着実に前進している」

マルク・マルケスを筆頭に絶好調のドゥカティ勢は、4戦を終えてスプリント、決勝とすべてのレースで表彰台を独占している。

この記録をドゥカティがどこまで伸ばすのか興味はつきない。

その一方、数年来低迷を続けてきた日本のメーカーが今季は着実にリザルトを残しており、ホンダ、ヤマハが表彰台に立つ日も近いことを感じさせている。

ホンダがパワーを落とした理由

5メーカーが参加するMotoGPクラスで、ホンダはコンストラクターズポイント49で2位につける。

以下、3位アプリリア(43)、4位KTM(42)、5位ヤマハ(42)と、4メーカーが激しく争っている状態だ。

ドゥカティは148ポイントと独走状態。

まさに1強4弱といってもいい状態だ。

ホンダの復活を支えているのは、サテライトチームのヨハン・ザルコである。

昨年の鈴鹿8耐で優勝した日本でもお馴染みのライダーである。

7月で35歳のMotoGPクラス最年長。

この数年、コンストラクターズで最下位に沈んでいたホンダを引き上げた功績は大きく、彼の走りと頑張りが、ワークスチームのジョアン・ミル(転倒は多いが随所で速さを見せる)とルカ・マリーニ(4戦連続トップ10前後でフィニッシュ)の刺激になっていることは間違いない。

今季、ホンダがリザルトを残しはじめた要因のひとつは、ホンダライダーたちが異口同音に語る「エンジンの遅さ」にあり、コースサイドで見ているとその変化が手に取るようにわかる。

この数年、ホンダRC213Vはありあまるパワーをうまくコントロールできなかった。

そのためスピニングがひどく、それを抑えるため制御をかけ過ぎることになり、結果的に加速につながらなかった。

その現象が今年はなくなった。

おそらく、パワーを落としたことで適切な制御が可能になってスムーズな加速が実現、それがラップタイムに反映されたのだと思われる。

そうやって「乗りやすさ」が実現した反面、トップスピードは落ちることになり、ライダーは次の段階として「もっと速いエンジンを」を要求するようになっているのだ。

2025年型RC213Vは基本的に24年型と変わらないが、車体やエンジン、制御などの「細かい改良の積み重ねが結果につながった」と言われている。

実際、ザルコはこのマシンの潜在能力の高さを何度もコメントしているし、それがやっと結果につながるようになった。

また、ホンダのエアロパーツはドゥカティを模倣している印象が強かったが、最近は個性を感じさせる。

ザルコ自身もRC213Vのパフォーマンスをうまく引き出せるようになってきたのではないだろうか。

カタールGPで4位と表彰台まであと一歩に迫ったザルコは、現状をこう語る。

「表彰台を争えるポジションで走れたし、バイクのフィーリングも本当に最高だった。今大会はチームと非常に良い仕事ができた。これは昨年から積み重ねてきた取り組みの成果。今はバイクをコントロールできていると感じるし、それがパフォーマンスの向上につながっている。着実に前進していることが何よりも重要だし、この勢いをキープしていきたい」

この言葉通り、シーズン中にホンダが表彰台に立つ日はそう遠くはないように思うし、強いホンダ復活を期待してしまう。

そして、ドゥカティで破竹の快進撃を続ける32歳のマルケスが、いつか訪れるキャリアの終盤をホンダで戦ってほしいと願うのは僕だけではないと思う。

ヤマハが取り戻したハンドリングの良さ

コンストラクターズ5位のヤマハも、第4戦カタールGPでファビオ・クアルタラロが注目を集めた。

予選ではクアルタラロがタイトル争いを繰り広げた2022年シーズン以来、3年ぶりのフロントローとなる3番手。

その日のスプリントではドゥカティ勢が上位4位までを独占し、クアルタラロがそれに続いて5位でフィニッシュ。

久しぶりの快走に笑顔が弾けた。

翌日の決勝レースは序盤の混戦を抜け出せず7位に終わり、悔しそうだった。

クアルタラロは21年にフランス人として初めて最高峰クラスでタイトルを獲得。

22年は連覇を果たせなかったが、ドゥカティのフランチェスコ・バニャイアとタイトル争いを繰り広げた。

しかし、23年以降のヤマハは急激に競争力を失っていく。

その要因はドゥカティを筆頭にアプリリア、KTM勢が空力面で進化したからだというのが一般的な見方だが、実はヤマハもまた、エンジンのパワーアップが足を引っ張ったのではないかと思う。

加速、最高速に勝るドゥカティ、アプリリア、KTM勢に対抗するためにエンジンの回転数を上げてパワーを上げた結果、エンジンのフィーリングが変わり、ハンドリングの良さが失われた。

それを改善するための試行錯誤がようやく実を結びつつあり、今季はなんとかシングルフィニッシュの常連にこぎつけたのだ。

21~22年のパフォーマンスにはまだまだ届いていないが、ホンダ同様、どん底から這い上がってきたことを感じさせている。

それにしても興味深いのは、ホンダはありあまるパワーに苦戦、ヤマハはパワーを上げたことでマシンのバランスを失い、それを是正するために多くの時間を要したこと。

この数年、エアロばかりが注目されるが、結局MotoGPマシンに求められるのは「乗りやすいバイクを実現するエンジン」に尽きるのではないだろうか。

グランプリはタイ、アルゼンチン、アメリカ、カタールと続いた大陸移動がひとまず終わり、ヨーロッパラウンドに入る。

その初戦となる第5戦スペインGPの舞台はクアルタラロが得意とするヘレスである。

過去2年はまったくいいところなしの10位と15位だったが、今季のレース結果は今後を占うことになりそうだ。

完全復活をかけるエンジン開発

そして、ここに来て大きな話題は、ヤマハがいよいよV4エンジンでテストを開始するということ。

5メーカー中4メーカーがV型4気筒エンジンを搭載するMotoGPクラスで、唯一、直列4気筒エンジンを採用してきたヤマハが、しばらくは2種類のエンジンの開発を続けながら実戦に挑む。

27年から、MotoGPクラスは速すぎる1000ccのスピードを落とすため、排気量を850ccに下げる。

ヤマハにとっては直4とV4のどちらがいいかを見極めるための先行テストになる訳だが、V4をモノにするにはそれなりの時間が必要になるし、ヤマハのスタッフも「そう簡単ではない」と語る。

直4とV4を並行して開発するのは人材を分散させ、かつコストも増大するわけで、ヤマハは復活に向けて大きな勝負に出ることになる。

復活の気配が漂いはじめたホンダとヤマハは、スペインGPからのヨーロッパラウンドでどんな戦いを見せてくれるのか。今季こそは期待してレースを待ちたい。

ネットの声

「大型フライホイールがドゥカティのトラクションと最高速の伸びにつながったとわかってから,同じ方を向くかと思ったら違っていた。
ヤマハはヤマハらしさを追求しハンドリングを向上させた。クワタラロが生き生きしてきている。ホンダはホンダらしい尖ったエンジンを捨てて,スムーズな乗りやすさを追求してきた。もっと前にこの開発方向でペドロサにタイトルを取らせてやりたかったな。ホンダはF1の新骨格を取り入れたら燃焼室の小さなモーターのようなエンジンができるはず。垣根のなくなったHRCとして協力し合い,ぜひ復活してほしい。」

「ホンダはマルケスしか乗りこなせない専用機になってから10年くらい経つわけで、10年も方向性を見誤ったマシンを作り続けてきたんだから、今年の巻き返しまで相当な労力をつぎ込んだはず。
最期はマルケスですら乗りこなせないマシンになり果て、本人にも見放された。
ペドロサやクラッチローが芳しくない事に着目して開発していたら、ここまで悲惨なことにはなっていなかっただろうね。」

「日本勢にはもう一度返り咲いてもらいたいですが、ドゥカも簡単には下がりません。モトGPのエンジンレギュレーションが変更したらどうなってくるか。モトGPは1人走らせるのにシーズン10億円と聞いたコトがあります。正に湯水の如くですがチームやメーカーもスポンサー資金の確保が大変です。ドゥカティも親がランボルギー

ニ、VWグループですからトランプ関税の影響はあると思います。もちろん他のチームもやモータースポーツ全般に戦々恐々ですね。」

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