あめつちのうた 朝倉宏景(著)講談社 (2020/6/17)

舞台は、甲子園球場のグラウンド整備を担当する実在の会社「阪神園芸」。

主人公の雨宮大地は絶望的な運動神経の持ち主。

社会人野球の選手だった父親や高校球児の弟にコンプレックスを抱えながら、阪神園芸でグラウンドキーパーとして働くことになるのですが…。

著者自身が高校野球の経験者。

これまでも野球に関する作品はあったのですが今回は裏方の仕事を取り上げました。

「編集者からの提案でしたが、もともと興味がありました。阪神ファンで甲子園もよく見ています。以前大雨が降ったとき、阪神園芸の方々の整備で、試合開始までに水たまりがない状態になったのをよく覚えています」

阪神園芸の整備は技術の高さから、“神整備”と呼ばれて人気が高いものです。

グラウンド作りは高い技術と経験が必要。

天候を読み、土の状態を見極めるのです。

掘り返され、雨を吸い込むことでしなやかで美しいグラウンドになるように、

大地も仕事に向き合い、周囲と関わることで弟への嫉妬、親への葛藤を掘り下げ、自分の道を見つけていきます。

野球をあきらめていた阪神園芸の先輩・長谷や、同性愛者であることを隠す親友・一志らも、もがきながら答えを探していくのです。

「今年は甲子園(の高校野球大会)が開催されず、(球児は)気持ちの整理をつけるのに時間がかかると思う。でも、挫折やピンチ、グラウンドで言うとぐちゃぐちゃな状態でも、晴れたらより一層強くなれる。将来が見通せず不安な若い世代にも読んでほしい」

「ストーリー、展開、感動のラスト、全てが期待以上でした!」

「甲子園の映像でよく見かける光景ですがあれは「阪神園芸」が請け負っているんですね。最高の状態を作り上げる職人、その中で成長する。その中で成長する新入社員。」


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