ジャックポット 筒井康隆 (著) 新潮社 (2021/2/17)

嗤え、歌え、踊れ、狂え。今日も世界中が〈大当たり〉!

読者の度肝を抜く超=私小説的短篇集。

コロナ禍、 戦争、 ジャズ、 映画、 文学、嫌=民主主義、 そして息子の死――。

かつてなく「筒井康隆の成り立ち方」を明かす最前衛にして超弩級の〈私小説〉爆誕!

亡き息子との〈再会〉を描いた感動の話題作「川のほとり」収録。

「2017年から2021年にかけての短編集です。「ジャックポット」と「川のほとり」を読みたくて購入しました。
全14作品、総じて、狂気めいた凝縮と言語遊びと生真面目さを感じます。「わかる人にだけ、わかればいい」という開き直りをもって、いい気分で書いている感じが伝わってきます。
やはり、「川のほとり」(高齢で死を覚悟している筒井氏よりも先に、51歳という若さで亡くなった息子さんとの邂逅。非常に切ない。)や、「ジャックポット」(新型コロナを題材にした故事ことわざのパロディの大群が大爆笑)が抜群だと思います。
他にも、「一九五五年二十歳」(なぜ当時のことをこれほどまでに詳細に覚えているのか。やはり天才だと再認識させられる。)や、「縁側の人」(「雨ニモマケズ」のパロディが爆笑もの。)など佳品も多いです。」

「本書は年齢や筒井作品への理解度が高い読者に向けた作品が多数で、若い読者やさほど筒井作品を読み込んでいない読者には難解かもしれません。ただ筒井康隆が、本書収録の「ニューシネマ『バブルの塔」』」のラストに記された多くの作家達や、それ以外のあらゆる日本の表現者に影響を与えた巨大な存在であることは間違いありません。
その筒井康隆の現時点での到達点、表現の極北がこの本です。」

「本書の読み方として「作品中で紹介される楽曲をネットで検索して聴きながら読む」「文中の分からない語句を検索しながら読む」ことをオススメします。(筒井さんの作品に出てくる奇天烈な語句が本当にあるのか創作なのか、曖昧なまま読み進めるのも楽しいですが、新しい日本語を知れる文学作品が今やほとんどなくなってしまったので、ここは各自で調べてもらい本来の日本語の豊かさを知るのも一興かと思います。「中公、嶋中社長の恐怖演説」など若い読者はうっかり読み飛ばしてしまうような劇薬が紛れ込んでいるのも筒井作品の魅力です。言葉の洪水にぜひ耽溺してください。単なる語呂合わせと思っていた言葉が事実に基づいていたりするので、その背景を知ることで作品の深みが何倍にも増していきます。私は「聞き耳ネコちゃん」というワードがCIAのスパイ計画に由来する事実を初めて知り爆笑しました。ほんと油断できません)」


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