眠れないときはどうしたらいい?目を閉じているだけでもOK
asian man suffering from insomnia sitting on bed head down covering face with hands.

厚生労働省の2018年の調査では「睡眠で休養が十分にとれていない」人の割合は21.7%。

日本人の5人に1人が睡眠に悩みを抱えています。

自身も不眠症に長く悩まされた経験を持つ精神科医の岡田尊司さんの新書『人はなぜ眠れないのか』より、睡眠の質を上げるための基礎知識やTipsをご紹介します。

目を閉じて横になるだけでも休息できる

不眠症の人では、眠らねばならないという気持ちが強すぎて、そのことが緊張を生み、睡眠のために必要なリラックスを妨げています。

明日活動するために眠らなければならないという焦燥感ばかりが強く、夜のこの休息の時間を楽しむという心の余裕はありません。

眠れないことは、時間の浪費であるばかりか、翌日の活動に支障を来し、体調にも響くと、損失やマイナスのことにばかり考えが結びついてしまうのです。

すぐ眠りに落ちて、朝までぐっすりという眠りが可能だとしたら、それは、かなり睡眠負債がたまっているからに他なりません。

たっぷり眠っているうえに、完璧な眠りを欲して、睡眠薬に頼るという矛盾した事態も起きてしまうのです。

不眠症の人の多くは、完璧な睡眠というものを求めすぎているのです。

それは、自然な眠りではなく、むしろ不自然な、人工的な眠りになってしまいます。

ただし、うつ病や統合失調症のような疾患があって、多めの睡眠を必要としているという場合は、話は別です。

その場合は、薬の助けを借りてでも、十分睡眠をとることが、神経細胞の回復や損傷の予防に不可欠なのです。

そうでない多くの通常の不眠症では、理想的な眠りに対する過剰な欲求と、その欲求が妨げられるのではないかという恐れのほうに、むしろ苦しみの原因があります。

眠れないこと自体よりも、そちらのほうが問題なのです。

つまり、睡眠に対する偏った囚われ、言い換えると認知の歪みを修正しなければいけません。

固定観念の枠組み自体を変え、新しい視点から事態を捉え直すリフレーミングという作業を行う必要があります。

これは、認知行動療法と呼ばれるもので、自分で行うことも可能です。

囚われの根底には、眠れないことは悪いことだという信念があります。

そこから、さらに、眠れないことによって生じるダメージを次々と考えて、余計にあせってしまうという悪循環に陥り、さらにストレスを感じるのです。

そうではなく、眠れなくても、よいこともあるので、別にかまわないし、体が眠りを必要とするときが来たら、起きていたくても眠ってしまうと、受け止め方を切り替える必要があります。

ここまで述べてきたことも、ある意味、睡眠についての囚われをリフレーミングするためのものでもあるのです。



ほどよい睡眠負債も必要

睡眠不足は、長期間続けば有害であるにしても、むしろほどよい睡眠負債は、よく眠るためには必要だということもみてきたし、ごく短い睡眠しかとれなくても、休養をとることで健康を維持することは可能であり、常に完璧な睡眠をとる必要はまったくないのです。

短期間であれば、睡眠時間が短くなることは、むしろプラスの効果があることもみてきました。

ストレス・ホルモンが高まることは、脳や体の活性を高め、パフォーマンスを向上させる面もあるのです。

「眠れなくても、大丈夫だし、むしろよいこともある」と、常々自分に言い聞かせることが大事なのです。

それに関して重要なことの1つは、眠れなくても、目を閉じて横になっているだけで、よい休息になるということです。

たとえば、横になっているだけで、肝臓や腎臓への血流は数十パーセント増え、老廃物の代謝や排出が進む。目を閉じていることで、脳からα波が出て、休息状態になります。

40年も眠れていないキューバ人の男性が、元気で暮らしていられるのは、彼が目を閉じ、横になって休息をとっているから。

一晩か二晩眠れなくても、ちゃんと休息をとっていれば、どうということはないのです。

このことを思い出し、のんびり休息するつもりで横になっていれば大丈夫です。

バカンス中のヨーロッパ人たちは、浜辺やプールサイドの寝椅子で、何時間も横になって過ごしますが、あれと同じように、休息していることを楽しむことです。

『人はなぜ眠れないのか』岡田尊司(著) 幻冬舎 (2011/5/1)

日本人の五人に一人が不眠症と言われるほど、睡眠の問題で悩む人は多い。

どうすればスムーズに、朝までぐっすり眠れ、心身の疲れがとれるのか。

かつて不眠症で悩んだ経験をもつ精神科医の著者が、睡眠学や不眠症臨床の最新知見から、不眠症を克服する具体的方法や実体験に基づく極意まで、豊富なエピソードを交えてわかりやすく伝授。

この方法を会得すれば、睡眠を思いのままにコントロールすることも、さほど難しくはない。

自分の体内時計のリズムが一目でわかる、記入式の睡眠チャート付き。

ネットの声

「眠れなくなる理由から眠りのメカニズムについて解説されています。快適な睡眠を得るためにどうしたら良いのかも解説されており、眠剤使用しがちだった自分も最近は無しでも快適に眠れています。」

「治療家として、日々うつ病や自律神経失調症と向き合っています。これらの方は睡眠障害を併発していて、それがまた回復を悪くしてもいます。言葉で説明しても難しい睡眠の内容をこの本は適切に分かりやすく紹介し、偉人で睡眠の問題を抱えていた人の話も掲載しています。うちの患者さんに勧めているほど良い内容です。読み物としてもなかなか面白いですね。必読の1冊です」

「睡眠に対する考えが整理できた気がします。以前、「主治医が見つかる診療所」で漢方医の丁宗鐵(ていむねてつ)先生が、一日のスタートを朝の目覚め時ではなく、前夜の就寝時と考えて実践しているとコメントされていました。この考えは、卓見だと考えます。」

 

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