
年金を担保にお金を借りられる 年利2.8%で平均借入額は51万円。
「急な入院でまとまったお金が必要になった」
「自宅を建てて40年。住宅ローンが終わった途端、家中の設備が壊れ始めた」
年金担保貸付
現役世代と同様、年金受給世代も、急な出費で頭を抱えることは多くなっています。
しかし、利用できる融資制度は少なく、年齢制限が比較的緩い銀行などのカードローンが見つかっても、
貸付利率が高く、年利14%を超えることもザラなのです。
しかし、年金受給者だからこそ特別に利用できる融資制度があります。
それが、「年金担保貸付」です(年金担保融資ともいいます)。
これは、独立行政法人福祉医療機構(以下、WAM)の代理店が窓口となり、年金を担保にして融資を受けられる制度。
貸付の上限額は一部のケースを除いて200万円です。
融資利率は年利2.8%(労災年金担保貸付の場合は、2.1%)。
銀行のカードローンなどと比べると、条件はかなりいいといえるでしょう。
「返済は、年金から天引きされるため、返済期日にお金がないと慌てる必要がありません。いざというときのために、知っておいて損はない制度だといえるでしょう」(社会保険労務士の井戸美枝さん)
公的年金が担保
担保の対象となる年金は、国民年金、厚生年金などの公的年金のみ。
国民年金基金や確定拠出年金などの私的年金は含まれません。
「年金担保貸付は、年金受給者の借り入れ問題から生まれた制度です。銀行から融資を受けられなかった高齢者が、消費者金融などから借金をしてしまい、通帳や印鑑を取り上げられるケースが多発しました。そういった被害を防ぐため、昭和50年に設立され、現在では年間7万人ほどが利用しています」(WAMの年金貸付担当者)
返済期間は2年6か月以内。
月々の返済額は、年金受給額の3分の1が上限とされており、1回の借り入れ額の平均は51万円ほどだということです。
「申し込みには連帯保証人が必要で、返済中に亡くなった場合は、不足分を連帯保証人が払う必要があります。家族に迷惑をかけたくない場合は、信用保証機関による保証制度を利用することもでき、その場合は死後の支払いが不要になりますが、年率2.76%が基本利率に上乗せされます」(前出・年金貸付担当者)
注意点としては、利用の目的が「保健・医療」「介護・福祉」「住宅改修等」「教育」「冠婚葬祭」「事業維持」「債務等の一括整理」「生活必需物品の購入」に限られること。
普段の食費、衣類購入費などの生活維持費や、家族旅行などのために借りることはできません。
生活必需品の購入のために
利用者の資金の使い道の中でいちばん多いのが、電化製品や家具、自動車など、生活必需物品の購入だそう。
「夏場にエアコンが壊れたのに、購入代が貯まるまでがまんしていると、体調を崩して医療費がかさむなど、結果的にマイナスになる恐れがある。そういったケースでは利用してよいと思います」(ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さん)
借り入れ後に収入を予定している場合も、使いどころです。
「自宅を売って介護施設に入る際、入居にかかる費用が一時的に足りない場合などです。自宅の売却後に売却益で返済する予定なら、一時的に借り入れても、差支えはありません。自宅をバリアフリーにリフォームする場合なども、施工後に介護保険で費用が補填されるので、賢い使い方といえます」(前出・風呂内さん)
上手に利用したい年金担保貸付ですが、実は2022年3月末で受け付けを終了する予定となっています。
【年金担保貸付制度、21年度末で廃止】
年金担保融資については以前から廃止すべきとの意見があったが、21年度末までに廃止されることになった。もともと額が大きくない年金収入から天引きされると生活困窮に陥り、それが原因で生活保護を利用するケースが少なからずあったこともあり問題視されていた— 身寄りドットコム (@miyori_support) March 1, 2020
理由は、返済に苦労する人が多かったことや、複数回利用して“依存”する人などが続出したためです。
年金生活における資金繰りは、慎重に行うべきですね。
ネットの声
「年金担保を年金の前借りと考えてる人が多く、返し終わったら、資金使途もなく、借りるだけ借りるという人が多いです。急な出費に対する借入が難しいのは理解できますが、年金はあくまで生活資金ですので、廃止となるべきだと思います。」
「年金担保融資は令和4年3月末で廃止される。年金担保融資を受けてから、生活保護申請に来る悪用が絶えない。」
「タコが足を食ってるようなもんか。ここまで来たらおしまい」
老後の生活のためですから、年金でお金を借りることのないようにしたいものです。