
ネトフリ日本法人が12億円申告漏れ…国税指摘、売り上げ大半がオランダ法人へ
米動画配信大手「ネットフリックス」の日本法人が東京国税局の税務調査を受け、2019年12月期までの3年間で計約12億円の申告漏れを指摘されたことが関係者の話でわかりました。
配信業務を行うオランダ法人から業務に見合った利益の分配を受けていないと判断。
売り上げの大半はオランダ法人に流れており、専門家は巨大IT企業への課税を強化する「デジタル課税」の導入を急ぐ必要性を指摘しています。
業務に見合った利益の分配
関係者によると、日本法人「ネットフリックス合同会社」(東京都港区)は、国内会員向けのコールセンター業務のほか、映画やアニメなどを手掛ける国内の制作会社との契約業務などを担当。
19年までの3年間に、複数の制作会社に計百数十億円を支払い、配信権を取得したのです。
その後、ネットフリックスのオランダ法人が日本法人から配信権を取得し、インターネット上で配信サービスを展開。
この際、オランダ法人は日本法人が制作会社に支払った配信権取得費とその取得経費を日本法人に支払っていたのです。
これに対し、同国税局はオランダ法人が日本法人の貢献によって得た配信権を利用して巨額の利益を上げていたことに着目。
日本法人は配信権取得費と経費だけでなく、業務に見合った利益の分配も受ける必要があったと判断しました。
嫁さん仕事自分休み
朝ごはん用意して弁当詰めて洗濯して…
終わったらのんびりコーヒーいれてNetflixみながら一息…おや、出掛ける気力が… pic.twitter.com/3df5CTXY1p— ダイエッターライペン (@GoblinSharkMoe) March 20, 2022
大半はオランダ法人へ
同国税局は一般的な取引と比較するなどして日本法人に本来支払われるべき分配額を算定し、計約12億円が申告漏れに当たると指摘したそう。
過少申告加算税を含む法人税などの追徴税額は約3億円とみられます。
日本法人は取材に「国税当局と討議して修正申告した」と文書で回答しました。
一方、日本法人は国内会員から月額約1000~2000円の視聴料を集め、19年12月期の売上高は約300億円に上ったとみられます。
しかし大半は配信業務を行うオランダ法人に「配信料」などとして支払われており、日本で納めた法人税額は3億数千万円程度にとどまったそう。
Netflixで
コタローは1人暮らし見てる
可愛いくてクスッと笑えて切ない
本当に切ないね pic.twitter.com/msgGOyDGvG— ちるめ (@fufufu8011) March 20, 2022
オランダで納税
オランダには多国籍企業への様々な税優遇制度があり、多くの巨大IT企業が拠点を置いています。
ネットフリックスのオランダ法人は日本のほか欧州やブラジルなどで配信業務を行っているとされ、18年12月期の売上高は約55億ユーロ(約7300億円)に上ったのです。
各国での売り上げを配信料名目などで集め、オランダで納税していた形になります。
◆ネットフリックス
2007年にインターネットで視聴サービスを開始。15年に日本市場に参入。
20年の全世界売上高は約250億ドル(約2兆9800億円)で、21年末の会員数は約2・2億人。
コロナ禍の巣ごもり需要で業績を伸ばし、日本の会員数は500万人を超えます。
ケンティーの桜のようなを見るためにNetflixまた入ったけど前みたいに韓国ドラマに気持ちがいかないんだよなー。とりあえず何度も見たライドオンタイムセクゾ回見てまた新たな気づきに泣く。トークサバイバーでも見るかな。
— ももたま (@momotama2929) March 20, 2022
デジタル課税 一刻も早く
ネットフリックスは、独自の技術を用いて配信業務を行っているとされます。
そうした技術や著作権、特許などは「無形資産」と呼ばれ、その使用料などの名目で企業の利益が国外に移されることがあります。
今回は、日本の会員が払った視聴料が、配信料などの名目でオランダに流れていました。
無形資産は価値の評価が難しく、現在の税法では利益の移転を防ぐのは困難とされます。
しかし、企業の利益は本来、生み出された場所で課税されるのが原則です。
グーグルやフェイスブック(現・メタ)などの「GAFA」も、各国でその額に見合った納税をしていないと問題視されてきました。
経済協力開発機構(OECD)加盟国を含む136か国・地域は昨年10月、GAFAを含む多国籍企業への課税を強化するため、2023年にも「デジタル課税」を導入することで最終合意しました。
売り上げの10%を超える「超過利益」の25%分について、各国での売上高などに応じて配分する案が検討されています。
ネットフリックスも含め、全世界で約100社が対象になるとみられます。
国税OBでデロイトトーマツグループの山川博樹税理士は「無形資産の価値をどう評価するかという答えのない議論を解決に導く画期的なルールだ。巨大IT企業は極端な節税策を取りづらくなるだろう」と期待を寄せます。
OECDの試算では、デジタル課税の対象になる利益は全世界で年間14兆円超となります。
申告時の事務負担の増大など課題も多いが、一刻も早い導入が求められます。
「ネトフリ日本法人が12億円申告漏れ…国税指摘。売り上げ大半がオランダ法人へ」
国際巨大企業への対応が甘い日本!そこを見透かされ、食いものにされている。
愛情よろしく!??— 加治将一 (@kaji1948) March 20, 2022
ネットの声
「今回の場合、取得した費用のままオランダ法人に売った形にしたと思うが、利益を上乗せせずに売るのはおかしい、としたということだろう。これだと次の税回避対策を考えればいいだけなので、根本解決としてグローバル企業に対する税回避策をまじめに考えて改正する必要がある。」
「日本人からの売上や日本での利益なのになぜ日本で税金を払わないのかな?税制が安いからって外国で税金を払ったら日本に還元されないのにね。」
「日本のインフラを使っている以上、日本で売り上げがあるものについては日本で納税させるようなシステムが必要だね。ただ、日本自体はすでに魅力的な市場ではないだろうから、やり過ぎて「日本からは撤退」みたいなことにならないように注意も必要だね。」