これがなかったら世界が困ってた?日本人による大発明

意外に知らない日本人による大発明 インスタント麺や青色LED以外にも

「日本人による発明」と聞いて何が思い浮かびますか?

安藤百福が開発した「インスタントラーメン」はNHKの朝の連ドラ「まんぷく」で注目されましたし、ノーベル物理学賞を受賞した青色LED、身近なところでは電気自動炊飯器も日本人が発明による発明です。

ただ、日本人による発明はこれだけではありません。

現代の生活に欠かせないこんなものも日本人が発明したのを知っていますか?

レントゲンの生みの親はドイツ人 胃カメラを発明したのは日本人

ケガをした時に骨折していないかを調べたり、健康診断で臓器に病気がないかを調べるX線検査。

ここで使われるX線を発明したドイツの物理学者・ヴィルヘルム・レントゲンの名前は多くの人が知っています。

でも、「胃カメラ」を発明した人の名前はほとんど知られていません。

実は胃カメラは杉浦睦夫という日本人研究者が発明したものなのだそう。

高千穂光学工業(現オリンパス)の研究所にいた杉浦は当時東京大学附属病院の医師だった宇治達郎から「胃壁を胃の内部から撮影する装置」についての相談を受けました。

「まあなんとかなるでしょう」と答えた杉浦でしたが、研究所の所長に相談すると「それはダメだよ。光がないじゃないか」と言われたそうです。

この言葉に奮起した杉浦は胃カメラの開発に没頭。

胃の中を撮影するための超小型レンズの製作や強い光源の研究など全てが手探りの中で、1950年についに「腹腔内臓器撮影用写真機」を完成させます。

ここで開発された胃カメラがのちの内視鏡診断の確立に大きな役割を果たしました。

オリンパスが内視鏡で7割もの世界シェアを持つのはこんな理由があるのだそうです。

世界最強磁石を発明 弱点を克服した日本人

自動車やスマホ、家電などなど、私たちの生活の必需品の数々は「磁石」なしでは作ることができません。

磁石にはさまざまな種類のものがありますが、一番磁力が強いのがネオジム磁石。

このネオジム電池が開発されたのは1984年。開発者は佐川眞人という日本人です。

ネオジム磁石ができるまで、「世界最強の磁石」は1960年代後半にアメリカで開発されたサマリウム・コバルト磁石でした。

実はこの磁石ができるまで、日本は強力磁石の開発で世界をリードする「磁石王国」だったのですが、サマリウム・コバルト磁石の出現でその地位をアメリカに明け渡すことに。そこに登場したのがネオジム電池でした。

ただ、磁力は強かったもののネオジム磁石は熱に弱いという弱点がありました。

そのため住友特殊金属にいた佐川は上司に「あなたの磁石はおもちゃにしか使えないよ」と言われて愕然としたそう。

この「強力だけど熱に弱い電池」を工業化するのに役立ったのがジスプロシウムというレアアースでした。

これを磁石に混ぜると磁力は弱まるものの耐熱性は高まるということで、本来の磁力からは弱まったものの、サマリウム・コバルト電池よりも強力なまま200℃まで耐えられるネオジム磁石を作り出し、工業化できたそう。ちなみにジスプロシウムなしでは80℃くらいまでしか耐えられなかったようです。

世界の産業や人間の生活を変えた日本人の発明は実はまだまだたくさんあります。

「日本はイノベーションが起きない国」と言われますが、決してそんなことはありません。

「世界が驚く日本のすごい科学と技術: 日本人なら知っておきたい」を読めば日本の技術の豊かさと幅広さに驚くはずです。

世界が驚く日本のすごい科学と技術: 日本人なら知っておきたい 笠間書院 (2022/4/25) 1,650円

7000 年受け継がれる漆、奈良の大仏のめっき技術、世界初の全身麻酔、世界最強ネオジム磁石、EV の要「リチウムイオン蓄電池」、照明を変えた青色LED、人工知能の将棋など、日本が世界に誇る文化や発明、科学、技術を、ベストセラー『絶対に面白い化学入門 世界史は化学でできている』(ダイヤモンド社)の著者が、縄文時代~現代の流れに沿って紹介。

日本で発明された技術を歴史的に位置づけるとともに、日本の科学技術史の過去・現在の「光」を浮かび上がらせ、現在・未来を担う人々を応援する内容です。

【目 次】
まえがき
01 七〇〇〇年受け継がれる縄文の美「漆」
02 七〇〇〇年前の縄文時代のヒスイの玉作り
03 日本独自の砂鉄と木炭からの鉄作り「たたら製鉄」
04 いかなる地震でも倒れない?法隆寺の五重塔がスゴい
05 一四〇〇年の歴史を超え進化する和紙
06 おいしく長期保存するための発酵技術漬物・醤油・味噌
07 金ピカな東大寺大仏を造ったのは最先端のめっき技術
08 継承された古代技術の粋「日本刀」
09 一〇五四年かに座の超新星の記録が残る『明月記』
10 膨大な時間をかける天然藍染め
11 江戸時代の人の屎尿の肥料へのリサイクル
12 江戸在住医師たちによる革命的翻訳事業
13 四〇〇〇万歩を歩き通して日本地図を完成した伊能忠敬
14 医療の暗黒時代の終焉へ
15 江戸時代から存在した珍しい朝顔や金魚
16 「酸素」「窒素」などの化学用語は江戸時代に創られた
17 発明王・田中久重の「からくり」作りの心が進めた日本技術の近代化
18 世界で初めて日常生活で使える乾電池を作った屋井先蔵
19 コッホに師事し、近代日本医学の礎を築いた北里柴三郎
20 ノーベル賞級と絶賛されたタカジアスターゼとアドレナリンの発見
21 工場制手工業から機械工業へ豊田佐吉の動力織機
22 「甘味」「酸味」「苦味」「塩味」の基本味に加わった、日本発祥の「うま味」
23 世界初の化学療法剤は、秦佐八郎らが開発した梅毒の治療薬サルバルサン
24 日本人を脚気から解放した鈴木梅太郎のオリザニン
25 日本人の伝統的な食文化、和食が世界に認められた
26 今日のがん研究の道筋をつけた山極勝三郎・市川厚一の人工がん実験
27 アルマイト加工はアルミニウム中心の軽金属時代をつくった
28 世界で初めてブラウン管に文字を表示させた高柳健次郎
29 レーダーから電子レンジまで現役の大発明「分割型マグネトロン」
30 昭和天皇の即位式で実証された日本の写真電送技術
31 第二次世界大戦の行方も変えた八木・宇田アンテナ
32 中谷宇吉郎が明らかにした様々な雪の結晶が生まれる条件
33 世界最強のアルミニウム合金「超々ジュラルミン」
34 深刻な大気汚染から日本を救った脱硫・脱硝・集じん除去技術
35 今日の内視鏡診断に大きく寄与した杉浦睦夫の胃カメラ
36 ご飯炊きの重労働から主婦を解放した世界初の全自動炊飯器
37 トランジスタの黎明期、多数の不良品の原因から…

 

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