日本車はEV化の波に乗り遅れたのか? 欧州がハイブリッド車つぶしに躍起になるワケ
目次
EVのほうがトータルでCO2排出量が多い!?
世界全体がエンジン車から電気自動車(EV)に急速に変わっていくなか、日本の自動車メーカーは、EV化の波に乗り遅れてしまった…。
このような論調の記事が、カーボンニュートラルとともに数多く報じられてきました。
それらは「十分な知識のないメディア」が、欧州自動車メーカーの「政治的思惑」に乗せられたものです。
長年エンジンの設計開発に携わってきたトヨタの技術者は、本当に「環境に優しい次世代車」はEVではなく、ハイブリッド車であることを実証してみせます。
EVは、走行時にCO2は出さないものの、その誕生から廃車までのライフサイクルで見ると、原動力となる「電池製造時に多くの電力を消費する」。
そのため化石燃料によって作られた電力のCO2を加えるとEVのほうが、ハイブリッド車より多くのCO2を出しているのです。
「東南アジアは日本車の牙城だ!新興国はEV化なんて不可能だ!」とか言ってる人を見ると、第二次大戦で日本が定めてた「絶対国防圏」を思い出す pic.twitter.com/gS9OcURxjp
— Brownie (@browniejp) August 9, 2022
欧州が太刀打ちできない
それを承知で欧州の各国政府がEV化を推し進め、ハイブリッド車つぶしに躍起になるのは、欧州メーカーの技術では日本に太刀打ちできないからです。
日本のハイブリッド車は、ガソリン車と比べて50%のCO2削減効果がありますが、欧州メーカーのものは30%に過ぎません。
自国の自動車産業保護のためには、日本車の席巻を防ぐ必要があるのです。
「ドイツが2030年、フランスと英国が2040年」以降、ハイブリッド車の販売禁止を決めた背景事情です。
ドイツや他国の新興メーカーもそうですし、中国や韓国のメーカーもそうです。
世界の潮流は完全にEV化なのに、日本は満足な電動車を作れないから乗り遅れてるな?って思ってます…車体だけじゃなくて、日本車は機能性にも劣っています?????
中国のメーカーの車見ると凄い機能あったりして驚きます??— 日滅の刃(第2方面軍) (@NoImperialJapan) August 8, 2022
ハイブリッド技術を無償で提供
いまや「世界最大の自動車販売国」となった中国の自動車メーカーはどうでしょうか。
じつは、EV化では政府の定めた規制をクリアーできないと悲鳴をあげ、トヨタから「ハイブリッドシステムの供給」を受けることになりました。
自信のあるトヨタは「ハイブリッド関連特許を無償で解放」したものの、「ドイツを筆頭とした欧州の自動車メーカー」は、その提供を拒んでいます。
「世界で初めてエンジン車を世に送り出した」という自尊心が許さないからです。
EV化の流れの背景には、アングロサクソンの自尊心と国家のエゴが渦巻いているのです。
ネットの声
「このままEV化が進んでいくと、車の在り方がかわっていくように思います。
今までのように、車の持ち主が好きな時に好きな距離を運転するというものではなくなってしまうのではないでしょうか。車は近距離を移動するもので長距離は別の移動手段とか、個人所有ではない特殊な車(特例で認められる内燃機関車とか、特別仕様の高価な長距離用EV車とか)をレンタルして使うようになる。そもそも、個人で車を所有することが少なくなってくるのかもしれません。少なくとも、欧州が内燃機関車を徹底的に排除するならそのような在り方になってもおかしくないと思います。結果、自動車産業そのものが縮小していく。
そうなった時、欧州の自動車産業が盛んな国はEV化促進が「欧州自動車けメーカの再興」ではなく「日本メーカつぶし」となってしまったことに気づくのかもしれません。」
「欧州がいまするべきことは車のEV化ではなく、深刻な水不足をなんとかすることでしょう。このままでは急速に砂漠化が進み、作物が育たなくなり、いずれはサハラ砂漠のようになって人が住めなくなります。日本は災害が多い国ですが、水資源に恵まれていることだけは世界に誇るべきです。水はすべての生命の源。水があるからこそ作物が育ち、生物は生きていくことができるのですから。」
「今はまだ生産時と廃棄時に大量のCO2を排出しますが、新しい材料や生産技術、リサイクル技術の開発によってCO2排出量が削減可能となると思うからです。
現状EVは高価で使い勝手が悪い、補助金がなければ売れない車です。
エンジン車もEVもまだまだ進化するのでその時々で自分に合った車を選べばよいと思います。
そういう点で私はトヨタの全方位戦略を支持します。」
EVシフトの危険な未来 間違いだらけの脱炭素政策 藤村俊夫 (著) 日経BP (2022/4/21) 2,200円
気鋭の技術戦略アナリストが徹底分析 データが語る技術のリアル
各国政府首脳は2030~2035年にかけてエンジン車の販売を禁止し、電気自動車(EV)に偏った電動化を推進する政策を相次いで表明しています。
本書は一見、環境に優しく聞こえるこの政策の根本的な間違いを技術の面から検証します。
背景を分析すると、確固たるエネルギー政策と技術に裏打ちされた戦略ではないことが見えてきます。
欧州委員会と欧州各国の政府および自動車メーカーのEV偏重主義は、顧客不在の戦略であり、いずれ破綻を来すと容易に想定できるのです。
日本企業が優位なハイブリッド車(HEV)を現実解とする自動車メーカーが環境対策と成長を両立させ、EVへの傾注が苦境に陥る道である理由をひも解きます。
第1章 EVシフトは本物か
第2章 EVが今後の主流になる?
第3章 EVはCO2 削減の切り札ではない
第4章 エンジンの潜在需要は高い
第5章 将来の自動車販売台数を予測する
第6章 自動車の全方位開発と燃料/
??エネルギーのグリーン化を同時進行で加速すべし
第7章 やはり「HEV」は現実解
第8章 自動車業界を震撼させたディーゼルゲート
「世の中、EV志向に染まっている気がして違和感がありました。本書を読まさせていただき、EVが全てではなく、選択肢の1つであることを認識できました。各種の技術が得手とするところ不得手とするところがわかりやすく解説されており面白い内容でした。」
「表題からは反EV派に見えるが筆者の深い排気ガスや燃費の知識(学者やジャーナリストではなく実際に長年自動車会社の一線で開発してきた技術者なので当然ではあるが)と規制や今後の温暖化ガス削減の技術方向性の洞察を交えた良くわかる良著である。」
「技術者に対しては、HEVやPHEV、軽EVや、代替燃料…みなさんが今関わっている技術の価値がよく分かり、行政に対しては青い地球と日本の技術を守るために何をすべきなのかが分かるようになっている。
所々トヨタさんの肩を持っているような表現には目をつぶって、皆さんにすぐに読んで欲しい価値ある1冊だ。」
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