経済産業省がホンダと経営危機に陥っている日産自動車の経営統合を両社に働きかけたことが話題になりました。

結局は両社が取締役会にかける前の段階で断り、御破算になったということです。

経産省が仕掛けた両社の経営統合案に、関係者からは「あまりに不見識。よくもこんな提案を出したものだ」と驚きの声があがっています。

そもそも日産に提案したところで、親会社の仏ルノーが「うん」と言わなければ話は1ミリも進まないのです。

日産があっさり断ったことから、経産省によるルノーへの根回しはなかった可能性が極めて高いといっていいでしょう。

それだけに「まるで子供のおつかいレベルの交渉」とも揶揄されています。

ホンダと経営統合すれば共倒れの恐れも

ホンダ関係者も「巨額の赤字を抱える日産を受け入れる体力など、ホンダにはない。共倒れになれというようなものだ」と突き放します。

救済する側のホンダはともかく、される側の日産にすら「門前払い」で断られた経産省。

なぜ、そこまで無理筋の経営統合を働きかけたのでしょうか。

そこにはルノーの深刻な業績悪化があったのです。

ルノーが2020年7月30日に発表した1-6月期の純損益は72億9000万ユーロ(約9000億円)と過去最高の巨額赤字に。

元凶は連結子会社である日産の業績不振です。

ルノーが計上した巨額赤字のおよそ3分の2に当たる48億ユーロ(約5950億円)が日産の赤字によるものだからです。

新型コロナの感染拡大は収まるどころか勢いを増し、少なくとも年内は現在の苦境が続くでしょう。

そうなればルノーの2020年12月期決算は推定で150億ユーロ(約1兆8000億円)もの純損失に陥るのです。

日産よりも規模が小さいルノーにとっては、経営破綻レベルの巨額赤字となります。

フランス政府も融資枠を保証

同社の筆頭株主であるフランス政府は、6月に50億ユーロ(約6200億円)の融資枠を保証しました。

ルノーの経営危機を回避するための措置なのですが、日産の赤字で融資枠分の支援が吹っ飛んだ格好となりました。

カルロス・ゴーン前会長時代に日産との経営統合を執拗に求めてきたフランス政府ですが、

今はルノー最大の経営懸念となっている日産の切り捨てを真剣に検討しているはずです。

日産との経営統合推進の急先鋒だったジャン・ドミニク・スナール会長も、今年に入ってその言葉を「封印」しています。

5月に発表した仏ルノー、日産、三菱自動車の新たなアライアンス戦略では、従来の商品計画や開発の一体化が見直され、

各社が開発した技術を相互供与する「業務提携」レベルにまで後退したのです。

グループで一本化して開発に取り組むべき次世代エネルギー車の本命である電気自動車(EV)も、ルノーと日産がそれぞれ担当することになりました。

すでにルノー・日産グループの「解体」に向けた動きは始まっています。

ルノーが日産との共倒れを回避するには、早急に日産を切り離す必要があるからです。

早い話が43.4%を保有する日産株の売却です。

日産を買いたがる会社はあるのか

問題は売却先です。

今、どん底の日産を買いたがる会社があるとすれば、その筆頭は中国の自動車メーカーでしょう。

日産が持つ中国と米国の自動車工場と生産技術は、中国車メーカーにとっては台数ベースで世界最大の自国市場を押さえる上でも、

金額ベースで世界最大の米国市場で展開する上でも有用なリソース(経営資源)だからです。

当然、米中市場が「生命線」となっている日本車メーカーにとっては、日産が中国車メーカーに買収されれば強力なライバルが登場することになります。

経産省が日産とホンダに経営統合を働きかけたのも、ルノーが日産を中国企業へ売却するのを警戒しているからなのは間違いありません。

いずれ日産も、シャープが台湾の鴻海精密工業(フォックスコングループ)に買収されたのと同じ道をたどるでしょう。

シャープはまだ自社で身売り先を選ぶことができました。

一方、日産の売却先を決めるのはルノーです。

ルノーと同社筆頭株主のフランス政府は、最高額を提示した企業に売却するでしょう。

たとえ望まない会社であったとしても、日産には拒否する権利はないのです。

「その日」は、着実に近づいています。

ネットの声

「ルノーの赤字が、日産の赤字が原因ってそれは違うんじゃないの?日産からの利益貢献が、無くなっただけでルノー本体が利益を出せばいいだけの話。日産の利益に依存してただけだと思うがいかが?」

「実質的に経営破綻しているともとれる最近の動きである。
ゴーンによるニッサンの私物化だけが原因とは到底思われない。それを言うなら、石原以降の経営者全員が日本を代表する自動車会社を食い物にしてきた結果である。
そんな会社に巨額の国による支援をすることには国民的拒絶感あり、経産省の拙劣な対応と旧経営陣に対する責任の追及は絶対に外されない事を忘れてはならない。」

「今の情勢で日産が中国企業になれば、アメリカでは車が売れなくなる可能性が有ります。そんな日産を中国企業を買うでしょうか。そもそもルノーは単体では赤字企業で、日産からの株主配当で生きてきた会社です。ですから日産の配当は自動車業界一でした。日産をしゃぶり尽くし新車の開発費まで配当にまわしました。ルノーは売れない株をもって最後まで付き合うか、日産に安く売るしかないのではないでしょうか。」

日産を買収する企業はあるでしょう。

しかし、それが中国だったらかなりまずいことになりますね。

ホンダはどことも組まないと思いますが、背に腹は代えられない状況もあるかも??

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