高齢者でも5時間以上は寝てほしい…認知症発症リスクが高まるよ

5時間未満の睡眠時間の高齢者、認知症発症と死亡率上昇のリスク

アルツハイマー病やその他の認知症を抱える成人は、米国だけでも600万人近くにのぼります。

また、米国では2050年までに、1600万人の成人がアルツハイマー病とともに生きるようになると推定されているのです。

そうした認知症や全般的な死亡率に、睡眠不足が関係している可能性があります。

この知見は、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院とボストン・カレッジを拠点とする研究チームにより、2021年2月発行の「エイジング」誌で発表されました。

データを分析すると

研究チームは今回の研究にあたり、国民健康加齢傾向調査(NHATS)のデータを分析しました。

この調査は、メディケア(高齢者および障害者向け公的医療保険制度)の加入資格を持つ米国の65歳以上の人を対象に実施されているものです。

この長期的調査には、睡眠時間(一晩あたりの時間)、入眠潜時(毎晩、眠りに落ちるまでに要する平均時間)、日中に昼寝が必要かどうかなどの項目が含まれています。

また、日中に注意力を保つことが難しいかどうかや、認知症の発症、5年の調査期間における全死因死亡率(原因を問わない死亡率)も調査されました。

研究チームは、調査対象群から成人2810人(平均年齢76歳)のデータを抽出し、睡眠障害、認知症、全死因死亡の関係を調べました。

その結果、一晩の睡眠時間を5時間以下と報告した人は、7~8時間と報告した人と比べて、認知症発症のリスクが2倍になることがわかったのです。

認知症発症のリスクが

毎晩の入眠までに30分以上かかる人は、認知症発症のリスクが45%高かったのです。

睡眠不足を報告した人や、日中に昼寝が必要な人、日中に注意力を保つのが難しいと回答した人でも、5年の調査期間における全死因死亡率が高かったのです。

一方、先行する複数の研究では、睡眠の質の高さや睡眠時間の長さが、認知症発症率および死亡率の低下と結びついていることが示されています。

「米国老年医学会ジャーナル(Journal of the American Geriatrics Society)」で発表された2018年の研究では、60歳以上の日本人1517人を対象に、10年にわたる追跡調査を実施しました。

その結果、一晩の睡眠時間が5~6.9時間の人では、調査期間における認知症発症率と死亡率が低いことがわかったのです。

睡眠不足も

睡眠は健康を保つうえで重要な要素だが、過小評価されることも多いのです。

睡眠障害の例としては、成人の最大3分の1に見られる不眠症(眠りにつくのが難しい、もしくは眠れない)、睡眠時無呼吸症候群もしくはいびき、レストレス・レッグス症候群(むずむず脚症候群)、ナルコレプシー(居眠り病)などがあります。

それ以外にも、睡眠に関連する病名は100種類近くにのぼるのです。

神経障害のある人は、睡眠障害を患うリスクが高くなります。

そのため、前述の2件の研究でもそうだったように、相関関係と因果関係を見極めるのはまだ難しいようです。

また、閉塞性睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害を患う人は、心血管疾患、肥満、2型糖尿病を発症する率が高く、その点も同様に死亡率の評価を難しくしているのです。

過去11カ月の新型コロナウイルス感染症パンデミックは、住宅事情の不安定化や、住む場所を失う事例の増加につながっている。そうした問題も睡眠不足に関係しています。

脳の健康や長寿と睡眠の因果関係は、依然として実証が難しい。

そのため、睡眠衛生に注目してさらなる研究を進め、成人後の生涯にわたって睡眠障害を評価して治療することは、高齢化社会において取り組むべき問題と言えるでしょう。



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