令和4年からアルバイトやパートの社会保険適用が拡大。具体的に何が変わるの？
高齢者や女性などの社会進出が進み、働き方も多様化しました。
短時間労働者（アルバイトやパートなど）として働く人も多くいます。
そして、現在の社会保険適用者以外の短時間労働者についても、一定の要件を満たしている場合は社会保険加入が必須となり、社会保険適用の拡大が平成28年10月に実施されました。
今後、令和4年10月と令和6年10月に段階的に社会保険適用が拡大される予定です。
目次
短時間労働者の社会保険加入要件とは
平成28年9月以前の「短時間労働者の社会保険加入要件」は、1週間の所定労働時間または1ヶ月の所定労働日数が正社員の4分の3以上の人が対象でしたが、
平成28年10月以降の「短時間労働者の社会保険加入要件」は、
（1）事業所の規模が被保険者501人以上（常時）
（2）所定労働時間が週20時間以上
（3）賃金が月8万8000円以上
（4）雇用期間が1年以上の見込み
（5）学生ではないこと
となりました。
そして令和4年度10月以降の変更点は
（1）の事業所の規模が常時501人以上から「常時101人以上」に
（4）の雇用期間が、1年以上の見込みから「2ヶ月を超える」見込みに
さらに令和6年度10月以降の変更点は
（1）事業所の規模が常時101人以上から「常時51人以上」になる予定です。
社会保険加入のメリット・デメリットとは
短時間労働者として働く場合に、社会保険に加入することによるメリットとデメリットが出てきます。
主なものは以下の通りです。
最大のメリットは、「社会保険の保険料」は労使折半となっており、企業が保険料の半分を負担、自己負担は半分で済むということです。
また厚生年金保険では、掛け金が将来の年金に上乗せされることもメリットの1つです。
デメリットは、保険料を払うので収入が減ることです。
また配偶者の扶養に入っている場合は、配偶者の扶養から外れることになります。
本日、社会保険の調査がありました。
社会保険加入2名とフルコミとアルバイトしかいない弊社に隙はなく5分で終わりました。— さんぺーしゃちょっ！ツイ廃@草刈り職人系不動産屋 (@rersampei) November 1, 2021
社会保険料のシミュレーション
では、もしパートで働いていて社会保険に加入することになったら、社会保険料はどうなるのでしょうか。
具体例として、パートの「Aさん」38歳の社会保険料を、平成4年度の社会保険加入要件を当てはめ、計算してみましょう。
「Aさん」は現在専業主婦ですが、パートで令和4年10月より介護の仕事をし、賃金は月10万円（時給1000円、週25時間、月4週間）で半年間働く予定とします。
Aさんは、令和4年10月度の社会保険加入要件を満たし、社会保険料の額を決める基準となる標準報酬月額は9万8000円となります。
この場合、Aさんは月に健康保険料4821円、厚生年金保険料8967円、合計で1万3788円負担することになります。
したがってAさんの手取り金額は8万6212円（＝10万円－1万3788円）になります。
「社会保険」には、医療保険・年金保険・介護保険（40歳から加入）・雇用保険・労災保険の5つがありますが、ここでは健康保険と厚生年金保険で計算しています。
元々パートで働いてるのに、待遇変わらなかったらただのアルバイトですよね??
フルタイムなら、社会保険加入必須でその分引かれちゃいますしね。
私も同じ立場だったら、ちょっと…と遠慮するかも。— きなこ (@kinako3108) October 31, 2021
その他の注意点としては
一般的に106万円と130万円は社会保険料の壁と言われ、扶養に入っている人が短時間労働者として働く場合は、注意が必要です。
その内容は以下の通りです。
106万円（月8万8000円×12で計算）の壁とは
賃金が、年額で106万円になると配偶者の扶養から外れると言われていますが、実際には「年間の賃金」ではなく「月間の賃金」で計算されます。賃金が月8万8000円以上になり、さらに「社会保険の適用要件」を満たした場合に、社会保険に加入することになります。
130万円（標準報酬月額11万円×12で計算）の壁とは
130万円の壁とは、社会保険の適用要件とは違い、「被扶養者枠」（配偶者等の扶養）に入れるかどうかという壁です。年収が130万円を基準として、社会保険を適用するかどうかを健康保険組合等が判断します。
短時間労働で働く場合でも、働き方によっては社会保険に入る必要があり、個人においても世帯でも収入が変わることがありますので注意が必要です。
社会保険料を払わずに短時間労働で働く選択肢もありますが、将来的に安心して暮らすための保障も考える必要があるのではないでしょうか。
特に厚生年金は、現在負担した部分は年金として老後に加算されますので、長い目で見て働き方を考える必要があります。
私はアルバイトで時給1100円、月20日以上8時間勤務くらいで社会保険も入って手取り15万くらいです！
時間にすると月150-160時間ですかね…
いきなり失礼しました。ご参考にまで…?????♀??????♀?— ハル (@halhal_mn912) October 31, 2021
ネットの声
「将来の年金増加より、現在の手取り額の確保を優先するんじゃないかな？これまで１３０万円の壁を守るために、配偶者の扶養に入っているパート従業員が年末に休みを取って来たんだし。その前に企業は健康保険と厚生年金保険の折半を免れるために、合法的な策を取っています。」
「国民皆保険制度が崩れないようにするための苦肉の作としか思えない改正ですよね。それに複数企業で１人の人が週２０時間未満で働いていたら事業主側は把握しきれないですし。こうやって控除させることにより、手取収入が増えないから最低賃金上げても収入が増えたと実感できないんですよね。」
「要するに社会保障制度が逼迫しているからでしょ。こんな渇いた雑巾を絞る方法では、根本的な解決にはなりません。唯一の方法は社会保険を一律３割負担で統一するのと、年金の受給額の上限を大幅に下げることです。じゃないと現役世代がどんどん疲弊してシャレにならない世の中になりますよ。」
