日本は高温多湿の国だ。さらに雨が多い。夏など4日間のツーリングに出かけると1日は雨に当たると思っていいだろう。北海道より南は梅雨もある。レインウェアは必需品なのだ。

バイク用レインウェアは必須

雨に濡れたまま走り続けると、体温が奪われ体力を激しく消耗する。それによってライディングに集中できなくなり、事故を起こしやすくなるのだ。

雨の日の走行は視界が悪くなるなど、ただでさえバイク乗りにとって障害が多い。雨の中を快適に走るためには、レインウェアは必須だ。

バイク乗りが理想とするレインウェアは雨を完全にシャットアウトするもの。そして、動きをさまたげず、ウェアの着脱が楽で風通しの良いものだ。

これは、夏場の雨天走行を一度でも経験したことのある人ならわかるだろう。今のところ、パーフェクトに応えるレインウェアはないが、考え方や工夫しだいで雨(というよりも高温多湿な日本独特な気候)との上手なつきあい方ができる

PVCやハイパロンなどのレインウェアは、縫い目から浸水を防ぐ構造になっていれば、最も防水性が高い。しかし、体から発散する蒸気がこもって内側が濡れる。自分の体から、どれだけの水分が蒸発しているのか、試しに台所でゴム手袋を1時間はめっぱなしにしてみるとよくわかる。

内側から発汗してじっとりと濡れるはず…これがいわゆる蒸れなのだ。

蒸れの対策としてPVC製のレインウェアは、あちこちに風通し用のスリットを設けられていて通気性を確保している。

そして、ほぼパーフェクトに近い防水性を実現しつつ、透湿性を持たせて蒸れを解消しようというのがゴアテックスなどの新素材だ。

ここで注意しておきたいのは、透湿性とはウェア内部に湿気がこもらないという意味だ。そのため、風通しが良くて涼しいというわけではない。

ゴアテックスなどの新素材について、「防水性と通気性を両立」なんて説明している本もあるが通気性は言い過ぎだ。

これらの新素材の広告を見ると、レインウェアについて何の問題もないかのような印象を受ける。

しかし、こういった類いの広告は、女性誌に見られるようなダイエット関連のものと五十歩百歩だと思っていいだろう。

ゴアテックスも万能ではない

冬の林道ツーリングで、ゴアテックスのジャケットの内側に水分が付着し、フリースジャケットが濡れたことがある。これは外気温が零度という特殊な条件下での極端な例だ。


よくあるのは股の部分の浸水…シートの股の部分に雨が溜まり、そこに体重がかかって擦れるために浸水するのだ。

新素材といってもパーフェクトではない。

ライディングウェアを選ぶ

ゴアテックスなどの新素材を用いたライディングウェアが選択肢の王道といっていい。これらはもちろんレインウェアも兼ねている。

バイク専用のライディングウェアはデザインが仰々しいので敬遠している人も少なくないだろう。それでも、一度着用してみると手放せないくらいよくできている。

カプセルに包まれたような状態でのライディングといえばわかりやすいかもしれない。風圧に対する研究成果が活かされているのだろう。

しかも、レザージャケットと比べると保湿性も高く、当然のことながら軽い。

ゴアテックスなどの新素材のライディングウェアは、レインウェアを持つ必要がないので重宝しそうだ

しかし、ずぶ濡れの状態で食堂に入ったり、宿に入ったりするのはマナーに反する。専用のレインウェアであれば、食堂や宿に着いたときにそれを脱いで入ることができる

雨の日のドライブインなどで、レインウェアのズボンを膝まで下げて食事をしているバイク乗りを見かけることがある。何とも無様な姿だが、これは濡れたレインウェアで椅子を濡らさないための配慮なのだ。

心優しいバイク乗りは傍目の悪さなどは気にしないものだ。

たとえゴアテックスのライディングウェアを持っているとしても、レインウェアは別に用意したほうがいい。レインウェアを重ねることになるので防水性が増す分、蒸れやすくなるのでなおさらゴアテックス製に頼ることになる。

足元の防水について

足元の防水の一般的な方法はゴアテックス製のブーツと、足首がでない長めのレインパンツをはくことだ。

これでほぼ下半身の防水は大丈夫だろう。ゴアテックスなどの新素材を使っていないブーツの場合は、オーバーシューズなどの対策を立てるようにすると大丈夫だ。

バイク用レインウェアのポイント

バイク用レインウェアのポイントを箇条書きにしてみる。

風圧のかかる前面を徹底的に調べる
ポケットが付いているものは特に縫い目やフラップの具合に注意する。逆に言うなら、何もないシンプルなものがいい

ゴアテックスの布地から雨が滲みてくることはまずない
たいていは縫い目から浸水する。針の先ほどの穴や一本の糸が浸水の原因となる。

フロント・ジッパーを覆う雨返し(レインガター)が幅広で、しっかりしているものを選ぶ

襟と手首も浸水経路となる
そのため、きちんと締められているものを選ぶ。たいてい、ベルクロープが付いているので、着用時にきちんと締めること。締め方が悪いと、いくらいいレインウェアでも役に立たない。

バイク用のレインウェアは走行中のばたつきを抑える工夫がしてあるが、アウトドア用はレイヤードのためにゆったりした作りになっている。疲労の原因になるので、ばたつきを軽視してはいけない。

レインウェアのばたつきは、ベルクロープで袖を縛るなどの工夫をすれば劇的に抑えることができる。

バイクは高速で走行中の雨を防水しなければならない。
走行中の風圧を受けるのと、雨の下を歩くのとでは求める防水能力はまるで違ってくる。一般のアウトドア用のレインウェアはそこまで計算に入れていない。


もっとも、バイク用として売られているレインウェアも諸条件を満たしているとは言い難いところもある。

補修やクレーム処理に応じてくれるメーカーの製品を選びたい。

スマートにレインウェアを着こなしたい

完全に防水ができるレインウェアはないといっていいが、ある程度は着用する側にも責任がある。優れたレインウェアできちんとした着用をすれば限りなく浸水を防ぐことができる。

レインウェア選びでバイク乗りのセンスを試されることもある。抜かりなきように。

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