楽天の三木谷浩史会長兼社長は2月13日の決算会見で、ネット通販サイト「楽天市場」の送料無料化を予定通り3月18日から実施すると発表しました。

三木谷社長の一存

楽天関係者が明かします。

「実は幹部は揃って送料無料化に反対していたのですが、三木谷社長は何を言っても聞かず、『とにかくやる』と周囲の反発を撥ねつけた。2000円以上で送料無料を原則としているアマゾンに対抗するために、強行したのです」

2019年8月、楽天は規約を変更し、1店舗で税込み3980円以上を購入した場合、出店者側の負担で一律送料無料にすると発表。

出店者が抗議し、今年2月10日に公正取引委員会が楽天に立入検査に入る事態になりました。

出展者側からは批判も

「アマゾンは自社で物流システムを構築し、在庫管理を行っています。一方の楽天はネット上の場所を貸しているだけなのに、有無を言わさず規約を変えたり、楽天銀行への振り込みを強要するなど、強引なやり方に出店者から批判が高まっています」(ITアナリスト)

強気な姿勢の裏で、楽天は昨年12月、独占禁止法に抵触するかどうかを公取委に相談していました。

その際、公取委から「優越的地位の乱用のおそれがある」という回答を得ていたのです。

公取委からは待ったがかかった状況の中、なぜ総量無料化を強引に進めるのでしょうか。

第4のキャリアの誤算

その背景には、三木谷氏が「アポロ計画」とぶち上げた第4のキャリア(携帯電話会社)での誤算があるようです。

本格サービスの開始は当初の昨年10月からずれ込み、今年4月を予定しています。

「楽天は4G対応の通信ネットワークの構築を急いでいるが、基地局の設置数は携帯各社が20万局規模なのに対し、3月末で4400局にとどく程度。東名阪以外はKDDIのネットワークを借用している」(同前)

他方、携帯各社は4Gよりも100倍速く、1000倍容量が大きくなる5Gへの移行を3月から開始する予定。

楽天の出遅れ感は否めません。

最終損益が赤字に

楽天の2019年12月期決算は、8年ぶりに最終損益が約319億円の赤字に転落しました。

「米配車サービスのリフトを減損したのは、これまでのM&Aのツケが出てきたことのあらわれでしょう。フリーキャッシュフローは320億円あり、当座の懸念はないが、物流整備に2000億、通信事業に6000億と投資が集中し、財務を圧迫することになる。こうした投資を継続するため、売上増の即効性がある送料無料を打ち出さざるを得なかったのです」(金融機関幹部)

三木谷氏は送料無料かを「5万店舗を乗せた楽天という船が荒波を乗り切るにはこれしかないという思いだ」と強調していますが、船から乗組員が下りれば元も子もないでしょう。

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