インターネット通販サイトを運営する楽天の送料無料化方針に対し、公正取引委員会が28日、実施阻止のため、東京地裁に緊急停止命令を申し立てたことについて、出店者からは「よくやってくれた」と歓迎の声が上がったのです。

出展者側は歓迎

送料無料化は激しい競争を繰り広げるアマゾンに追い付くための荒技でした。

しかし、送料負担を強いられる出店者側の理解を得られないばかりか、「消費者保護」を重視する公取委からも是正を求められたのです。

楽天は28日、「法令上の問題はない」と強気のコメントを発表したのですが、停止命令が出れば、戦略の練り直しは避けられないでしょう。

出店者側は「強行されると、出店者の負担が増える。方針を改めてほしい」と期待しています。

楽天は撤退する出店者に対し、出店料の払い戻しなどに応じる方針を既に打ち出したものの、支持する声は広がっていません。

出店者の撤退があいつげば、競争が低下し通販サイトの品ぞろえや価格にマイナスの影響が出る可能性もあります。

「消費者利益」を前面に出し、送料無料化の必要性を訴える楽天だが、長期的にも消費者の利益につながるとの展望を早期に示すことが求められそうです。

楽天とアマゾンの違い

楽天創業者で会長兼社長の三木谷浩史氏は、送料無料化について以前から「何が何でも成功させたい」と発言しています。

検査の実施をにおわせる公正取引員会を批判するなど正当性を強く主張してきたのもそのためです。

しかし、楽天が展開する事業の本質を考えると、今回の送料無料化にはそもそも無理があり、三木谷氏の思惑どおりには進まない可能性が高いといえるでしょう。

楽天は国内ネット通販大手であり、競合としてアマゾンがよく比較されます。

楽天とアマゾンは似たようなビジネスに見えますが、事業構造は大きく異なっているのです。

楽天は一部を除いて、消費者に直接、商品を売っているわけではなく、楽天市場に店を出す小売店から出店料を取っています。

楽天にとっての顧客は消費者ではなく出店者であり、いわば場所貸しのビジネスなので、どちらかというと不動産業や百貨店に近い形といえるでしょう。

これに対してアマゾンは商品のほとんどが直販であり、純粋な小売店です。

そのため、消費者が直接的な顧客であるといえます。

もちろん楽天も消費者が楽天市場で買い物をしてくれないと出店者がいなくなってしまうので間接的には消費者も顧客といえるのですが、ビジネスの世界では誰からお金を受け取るのかという違いは極めて大きいのです。

アマゾンの優位は必然

アマゾンは消費者に選んでもらうことがシェア拡大の絶対条件なので、消費者の利便性向上に経営資源のほとんどを投入してきました。

一方、楽天は商品の販売は基本的に出店者に委ねられるため、どんなサービス内容にするのかは出店者次第です。

アマゾンは商品を買う前から、それがいつ届くのかほぼ例外なく分かるようになっていますが、楽天にそうしたサービスがないのは、自らが小売店ではないという部分に起因しています。

送料は楽天本体が負担すべき

商品の配送も全て出店者に任されているので、楽天はウェブサイトの運用に専念していればよく、経営的にはとても身軽といえるでしょう。

こうした身軽さが初期には功を奏し、楽天は一気にシェアを拡大できました。

しかしネット通販が当たり前の存在になってくると、サービス水準が重要となるので、場所貸しという事業構造は逆に不利になるのです。

コツコツと自社物流網を構築してきたアマゾンが優位に立ったのは必然といってよいでしょう。

三木谷氏はアマゾンに負けている理由について「送料」だと発言していますが、正しい認識とは言えません。

ネット通販の利用頻度が高い消費者の多くがアマゾンを支持しているのは、サービスが利用者目線で設計されているからで、送料の問題ではありません。

仮に送料が経営戦略の重要なカギを握るのなら、出店者ではなく楽天本体が負担すべきであり、この点についても矛盾があるのです。

同社の苦境は事業構造そのものが原因で、日本を代表する起業家である三木谷氏がこの事態を把握していないはずはありません。

それにもかかわらず、送料無料化を強引に推し進めようとしているのは、同社にはもはや選択肢がなくなりつつあるのが現実だからです。

三木谷氏に求められているのは、小手先の対応ではなく創業者にしかできない抜本的な戦略転換であるといえるでしょう。

ネットの反応

「楽天が送料で対抗するには無理がある。アマゾンは違う店舗の商品も自社販売にしてるから、複数購入の場合も一括発送に出来るし、コンビニ受け取りも選択出来て便利。家で宅配を待ってる必要がない。」

「三木谷社長は、あれだけ忙しくて楽天市場の状況を把握出来ているとは思えません。心と頭は携帯電話事業みたいです。現場=店舗やECCの情報が上層部に届いているとは思えません。今回の3980円以上送料無料という愚策は、楽天側に「大義名分」は無く、三木谷氏には経営者としての「品格」も無いようです。言ってる事とやってる事が常に矛盾している。これが楽天主義というものか…。」

「ただ、そんなアマゾンのアキレス腱となりうるのは、チャイナからものを売ろうとするやつらの存在。やつらは評価を偽装して二束三文の商品をいかにも優れたもののように見せかける。これのおかげで評価が信頼のおけるものではなくなり、アマゾンでものを買うことを難しくしている。やつらを締め出して評価の信頼を取り戻さないと、消費者がアマゾンから離れていく未来もあり得る」

アマゾンのメリットは一括発送に対応しているところ。ビジネス形態が違うので送料で対抗するのには無理があるんですけどね。

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