楽天と日本郵政が手を組んだ…ドコモ・ソフバン・auは戦々恐々

携帯大手に激震必至:2400億円調達した楽天の「歴史的提携」

日本郵政、ウォルマート、テンセントと日米中プラットフォーム構築か

「最も古いビジネスの一つである日本郵政と、1997年に生まれたネット・ベンチャーの歴史的な提携」――。

3月12日に発表された楽天グループの2400億円増資は、楽天モバイルを5G時代のフロントランナーへと一気に押し出す可能性があります。

ネットとリアルのビジネスが国境を越え融合する新たなフェーズが始まりました。

郵便局に楽天ののぼりがはためく

全国津々浦々、2万4000局の郵便局にスマホを持った米倉涼子が微笑む「楽天モバイル」のショッキング・ピンクの、のぼりがはためく様子…。

NTTドコモ、au(KDDI)、ソフトバンクの首脳陣は、恐らく眩暈を覚えることでしょう。

のぼりがはためくかどうかは定かではありませんが、全国の郵便局で楽天モバイルの加入手続きができるようになるのは間違いなさそう。

料金値下げで楽天モバイルに煽られている携帯電話大手3社にとっては「悪夢」としか言いようのない組み合わせです。

3月12日、楽天グループは「第三者割当増資で約2400億円を調達する」と発表。

出資するのは日本郵政グループ、中国ネット大手のテンセント・ホールディングス、米小売り大手のウォルマートと、個人としての三木谷浩史楽天グループ会長兼社長。

最大の引き受け先は1500億円を出資する日本郵政です。

楽天と日本郵政は2020年12月に物流分野で協業を進める業務提携を結びましたが、今回、協業の範囲を携帯電話事業やDX(デジタルトランスフォーメーション)などに広げた形です。

楽天からの申し出により、日本郵政が楽天の発行済株式の約8%を保有する大株主になることで、両社の関係をより強固にすることでも合意しました。

販売拠点は大手3社の10倍に

この日、東京・大手町で開かれた記者会見には三木谷、日本郵政グループ社長の増田寛也らが出席。

全国に2万4000局の郵便局を持ち、ゆうちょ銀行には1億2000万の口座を持つ――リアルの世界では強固なビジネス基盤を持つ日本郵政ですが、デジタル化の進展で年賀状など郵便の配達件数が激減し、リアルの資産は重荷にすらなっていたのです。

楽天との提携は価値を喪失しつつあるこれらリアルの資産をDXで蘇らせる可能性があります。

増田は記者会見で楽天を「最高のパートナー」と呼んだのです。

しかし、この提携でより大きなメリットを手にするのは楽天なのは間違いありません。

2020年春に自前の通信回線を持つMNO(移動体通信事業者)として携帯電話に参入した楽天は、参入から1年で当面の目標である300万件加入を達成。

5G(第5世代移動通信システム)時代の挑戦者として注目を集める一方で、その大半はインターネットを介した契約であり、実店舗での手続きは極めて少ないのです。

なぜなら楽天モバイルの実店舗は全国に約200店しかありません。

大手3社の実店舗はそれぞれ2000店舗を超えているのです。

しかし、冒頭に書いたように、今後は資本業務提携を結んだ日本郵政傘下の全国2万4000店舗で販促ができるようになります。

三木谷が「最も古いビジネスの一つである日本郵政と、1997年に生まれたネット・ベンチャーの歴史的な提携」と呼ぶ今回の組み合わせによって、楽天モバイルは大手3社の10倍のリアルな販売拠点を手に入れたのです。

日本郵政の資産は郵便局だけではありません。

全国に張り巡らせた強固な物流網も、数年前の「宅配クライシス」で苦労した楽天にとっては大きな魅力。

流通総額4兆5000億円を超えた楽天市場の巨大な物流を支えるため、三木谷は2018年に「ワンデリバリー構想」をぶち上げ、約2000億円をかけて宅配大手だけに依存しない自前の物流網の構築に乗り出しました。

日本郵政の物流網はAI(人工知能)を活用した自動化などの面では立ち遅れているかもしれませんが、物流ではまず「実際に荷物を置くスペースがあること」が大事です。

リアルなスペースさえあれば、そこにロボットを持ち込んで効率を上げていくのはそれほど難しいことでないでしょう。

アマゾン・ドット・コムとの激烈な物流競争においても日本郵政との提携は大きな意味を持つのです。

楽天の2020年12月期決算で1142億円の最終赤字を計上しました。

コロナ禍の巣ごもり消費で主力の楽天市場は絶好調で、モバイルと物流への巨額投資を敢行したことによる「健全な赤字」ですが、財務にこれまで以上の負荷がかかっている面は否めません。

第三者割当増資で2400億円の資金を調達できたことは、財務面の不安材料を消す意味もあるのです。

2400億円の使い道について、三木谷は会見でこう語っています。

「今、世界はトランスフォーメーションの真っ只中にあり、この5年で世の中は根本的に変わるだろう。(その変化の波をとらえるため)物流、モバイル、AIなどに積極的に投資していく。物流へのAI導入などでは(出資した)日本郵政さんにかなり貢献できると思う」

ウォルマートとのタッグの狙いはアマゾンか?

国内では日本郵政との提携に注目が集まりがちですが、見逃せないのが、テンセントとウォルマートによる出資です。

出資額はテンセントが約657億円、ウォルマートが約166億円。

テンセントは中国最大のSNS「ウィー・チャット」を運営し、ゲームソフトやフィンテックでも世界有数の規模を持ちます。

ウォルマートは言わずと知れた世界最大の小売会社であり、ネットスーパーなど「小売のDX」で、あのアマゾンと互角の戦いを繰り広げています。

株式時価総額で言えば世界6位(テンセント)と世界17位(ウォルマート)が楽天をパートナーに選んだことになるのです。

楽天はすでにウォルマート傘下の西友とネットスーパーを展開しており、2020年12月には米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)と組んで西友を事実上、買収しました。

今回、ウォルマート本体が楽天に出資したことにより、両社が米国でタッグを組み、アマゾンに対抗していく道筋も見えてきたのです。

「プラットフォーマー」と呼ばれるGAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)のビジネスが強大ですが、原則としてはネットの中に閉じていました。

これからは、ネットスーパーや車の自動運転のように、ネットとリアルが融合して新しい価値を生み出していくフェーズに入るのは間違いありません。

その意味では日本郵政のようにリアルの資産を持つ古い企業にもデジタルに飛び移る「ワン・チャンス」が巡ってきたのです。

放っておけばハガキ消滅とともに役割を失うはずの日本郵政は、ギリギリのタイミングで次世代プラットフォームの一角にしがみつく可能性を手に入れたのかもしれません。

今回の資本業務提携は楽天を軸に、日米中の巨大企業がネットとリアルを融合した新しいプラットフォームの構築に動き出した第一歩と見ることもできます。

ネットの声

「楽天モバイルの紹介を郵便局でするのであれば、郵便局員がしっかり理解して責任を持てるようになってからにして下さい。仮にパンフを置くだけだとしても、後は楽天に訊いて下さい、では混乱するだけ。楽天に問い合わせても返事はいつになることやらというのが実情です。まさかノルマを設定しないでしょうが、特に高齢者に対する無理な推奨はやめて下さい。」

「郵便局で楽天の手続きが出来るようになるとして、それは楽天モバイルの店員が郵便局に常駐してやってくれるのか、それとも郵便局員が手続き業務を習得しなきゃいけないのか?後者だったら郵便局員にとっては災難でしかない 日本企業は全く新しい業務が増えても、給料は増えず負担が増えるだけ……」

「郵便局員に楽天関連の無茶なノルマがまた増えるよ。楽天の醜いサポートのクレームも郵政窓口に殺到し、ただでさえ人材不足の郵便局員がますます辞めていく流れに必ずなる。楽天は2400億も金を出してもらってしめたものだが、郵政は三木谷に上手いこと利用されたな。」

その手があったかという感じですが、良い予感と悪い予感が混在します。



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