サンリオ、歯止めかからぬ「業績下降」。ピューロランド「V字回復」だけでは焼け石に水。

「ハローキティ」「ぐでたま」などのキャラクタービジネスで知られる老舗サンリオの業績下降に歯止めがかからないようです。

本業のキャラクタービジネスが危うい

2020年4~12月期の決算は、売上高が前年同期比3.4%減の約421億円。営業利益は同36.1%減の約24億円、純利益はほぼ半減の約15億円だったのです。

いずれも過去5年間で最悪の数字であり、5年前に比べると、営業利益はおよそ5分の1、純利益は6分の1の水準にまで落ち込んでいます。

同社は通期での業績予想を、売上高577億円(前年比2.4%減)、営業利益40億円(前年比16.4%減)、純利益23億円(同40.7%減)で据え置きとしたのですが、新型コロナウイルスの流行など不確定な要素も多く、2020年3月期以降の回復見通しは霧の中。

サンリオでいま何が起きているのか、まずは売上高や利益の内訳を見てみましょう。

国内については、物販事業(=店舗やオンラインでのキャラクターグッズ販売)の売上高が前年同期比3.9%伸び、営業利益も同70.3%増と大幅に増加。

しかし、稼ぎ頭のライセンス事業(=国内のアパレルや雑貨などへのキャラクター使用許諾)の売上高が前年同期比6.6%減、営業利益は6.7%減と低調だったのです。

一方、海外はもっとずっと厳しい状況で、売上高が前年同期比13.4%減、営業利益は同24.9%減と大幅に目減り。

とくに、同社にとって最重要地域と言えるアジアでは、日韓関係の緊張や香港デモの影響もあって、売上高が13.4%減、営業利益が20.4%減でした。

海外全体では、売上高で21億円、営業利益で12億円を失う結果となったのです。

このような事業の苦境に加え、本社経費と物流費の高止まりで販管費がふくれ上がり、全体としては冒頭に書いたような厳しい業績となっています。

また、キャラクターのロイヤリティフィー(使用料)の売上高に占める比率が5年前(2015年4~12月期)の45%から、2020年の33.4%へと減少していることも気がかり。

同期間に入場者数を大きく伸ばして「V字回復」と話題になった「サンリオピューロランド」など、テーマパークの売り上げがおよそ6割増えた(50億円→80億円)ため、ロイヤリティの比率が多少減るのは仕方ありません。

しかし、海外の売上高がこの5年間でほぼ6割減るなど(4~12月期ベースの比較)、本業であるキャラクタービジネスの弱体化はそれを上回るペースで進んでいるのです。

このまま放置すれば会社の根本まで揺らぎかねない状況です。

矢野経済研究所『キャラクタービジネス年鑑』の調査によると、キャラクタービジネス自体の市場規模は10年間ほぼ横ばいが続いており、サンリオの業績低下には同社の個別の事情があると言えそうです。

「ブロックバスター戦略」を考える

サンリオの強みであるライセンス事業は、キャラクターの知的財産権(IP)をライセンスして、それを商品化した他社から売り上げに応じた収入を得るビジネス。

そこで強力なキャラクター(あるいはコンテンツ)を生み出すには、「ブロックバスター戦略」が有効であると言われてきました。

ブロックバスター戦略とは、「さまざまなキャラクター・コンテンツに分散して投資するのではなく、そのいずれかに圧倒的な予算をかけるほうが、結果的に投資を補って余りある回収を見込める」という、いわば一極集中型の競争戦略です。

アニータ・エルバース著『ブロックバスター戦略』では、98%の利益は2%の強力なコンテンツによって獲得できるという「98対2」の法則が紹介されています。

ちなみに、同書は元サンリオ常務取締役の鳩山玲人氏が監訳を手がけています。

鳩山氏は『ダイヤモンド・ビジネス・レビュー』誌のインタビュー記事で、「ハローキティをどのようにブロックバスター戦略にシフトするか」が課題だったとした上で、次のように述べているのです。

「(コンテンツ系企業の性質として)コンテンツそれ自体のパワーが強力なため、どうしても魅力的なキャラクターをつくること、それを展開する売り場環境などばかりに目が向いてしまいます。でも実際には、生産から販売までの戦略をどのようなステップでつくっていけるかが、結果をまったく違うものにするのです」

ハローキティ「一本足打法」は本当にマズい

この戦略がいまもキャラクタービジネスで有効であるとすれば、鳩山氏が解説するように、サンリオはピューロランドやサンリオストアなど販売サイトだけでなく、キャラクターの生産から販売までを最適化するために重点投資すべきということになります。

ハローキティ以外の強力なコンテンツもしくはコンテンツホルダーを買収するなどして、キャラクターのポートフォリオを多様化し、それぞれのライフサイクルをマネジメントすることで「飽き」に対応する必要もあるでしょう。

同じエンタテインメント・キャラクタービジネスの分野では、ミッキーマウスをはじめ強力なコンテンツを多数抱えるディズニーが、ピクサーやマーベル、ルーカスフィルムといったアニメ・映画会社を買収して、より強力なコンテンツを獲得。

それらのコンテンツを活用した動画配信サービス「Disney+(ディズニープラス)」は開始後わずか3カ月で2860万人(2月3日時点)の会員を集めているのです。

ディズニーの手法と直接比較するのは無理があるのですが、サンリオも(何とかとはいえ)利益を捻出できている間に、ブロックバスター戦略に立ち返る必要があるのは間違いありません。

もちろん、筆者の言うブロックバスター戦略とは、マイメロディーもぐでたまも捨てて、ハローキティに投資を集中させることではないのです。

ディズニーのような、コンテンツやスタジオの買収により新たな集中投資先を見つけ出す必要があるという意味です。

ハローキティ「一本足打法」の先には地獄しか待ち受けていないのは言うまでもありません。

サンリオの経営陣もそんなことは当然分かっているはずです。

ネットの反応

「そうなんですか。知らなかったです。娘がキティが好きで、名古屋まで非売品を昔買いに行った記憶があります。その娘も、もうすぐ40歳でその影響か、私も未だにキティのパンツを買ってます。頑張ってください。ファンはたくさんいると思いますので。」

「日本に限れば、子供の数が減っているので、必然的にファンシーグッズの購買層も減って業績が下がるのも当然かも。キャラクターいっぱいあるんだから、インフルエンサーになりそうな外国人アーティストとかがファンになってくれるように売り込みをうまくすればいいんじゃないかなー。キティ仕様の車とかキティ仕様の家とかもあったけどあれって海外にもあるのかな。ウケると思うけどな。」

「最近は昔のキャラも大復活して良い感じだと思っていたのに、業績下降気味だったなんてショックです。キャラクターグッズは趣向品なので、経済自体が良くならないとなかなか難しいと思います。」

そのキャラクターがいかに可愛いとしても、あまりにも機能とかけ離れた値段の設定…常識のある人は、たまのギフトでしか買わないでしょうね。

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